わが家は親子でASD!発表会への参加、今年はどうする?感覚過敏の息子の決断は・・・

ライター:鈴木希望
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環境の変化に適応できなかったり、感覚過敏ゆえのつらさがあったり。発達障害を持つお子さんにとって、行事への参加は至難の業。お子さんの頑張る姿をご覧になりたい親御さんにとっても悩ましいところだと思います。行事の出欠を迷う息子に対し、わたしがどのように対応したかをお話しいたしますね。

「みんなで過ごすのが嫌なわけじゃないんだよ。でも……」

ガスコンロを新調すればパニックを起こし、部屋の模様替えをすれば熱を出すほど変化に弱い年長組の息子・ハル。

ついでに感覚過敏のため、人の声のざわめきが苦手。行事への参加は容易なことではありません。
通っている保育園にも、そのあたりの事情はご理解頂き、基本は本人の意思を尊重するかたちで出欠を決めていました。

2歳児クラス後半から通い始め、出席と欠席の両方を経験し、
それぞれのメリット・デメリットを知ったうえで迎えた保育園生活最後の発表会。

お知らせが届いた当初である10月下旬、息子は「出たくない」と言っていたのですが……。
わたし:「そっか、出たくないのか。どうして出たくないの?」

想像はつくけれど、一応理由を聞いてみます。

ハル:「土曜日は休みだって決まっているのに、保育園に行くのは気持ち悪いから……」

アスペルガー症候群である息子は、決まりごとを変更するが大の苦手。

ハル:「あとやっぱり、声のザワザワは耳と頭が痛くなるし、人がいっぱいいるのは怖いし…。
でも、みんなでおゆうぎしたり歌ったりするのが嫌なわけじゃないんだよ。練習したり準備してるの、楽しいしさ。……のん(息子はわたしをこう呼びます)は発表会、見たい?

わたし:「ハルが出たくて出るんならね」

ハル:「そっか……どうしようかな……」

わたし:(まるっきり嫌なわけじゃないのか、今回は。でも、わたしのために出欠を決めるのって、何かが違う気がする……)

どうしたら彼にとって良い選択ができるのかわたしはしばし考えました。

わたし:「うん、じゃあさ、こういうのはどうかな」
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発表会のために息子が作った小道具。ミキサー付きターンテーブル。
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指示ではなく提案で。最後に決めるのは息子だから。

わたし:「じゃあさ、わたしがちょっとハルに合わせよう。他のお父さんお母さんに合わせてもらうわけにはいかないからね。
もしハルが発表会に出られたら12月の平日、わたしの仕事が忙しくない日に保育園を休んで遊びに行こう。
でもどうしても出たくなかったらそれでいい

ハル:「もし発表会に出て、途中で声のザワザワや人込みが怖くなったらどうしたらいい?」

わたし:「そしたら先生かわたしにそう言ってね。途中で帰ろう。この話、ちゃんと先生に話しておくよ。
とりあえず出るための準備をわたしはするけど、必ず出ろってことじゃないからね。
当日ハルが決めたことにわたしは絶対反対しないし、余計な提案もしない。だから、それまでゆっくり考えてもらえるかな?」

ハル:「じゃあ、そうする」

一言ひとことに頷きながら、わたしの目をしっかり見据えて返してくれた息子に、決断を委ねることにしたのです。

当日の朝。信じているから、最後まで意見しない。

わたし:「ハル、どうする?」

ハル:「やっぱり行きたくない。大人がいっぱい来るのも怖いし、声のざわざわで気持ち悪くなるのも嫌だ」

わたし:「わかった。じゃあ保育園に電話するね」

日頃息子が練習やリハーサルに楽しみながら取り組む姿を知っている保育士さんは一言。

先生:「ぎりぎりまでおうちにいて、最後の演目だけでも出るというのはどうでしょう?」

柔軟なご提案をくださいました。
しかし、朝に決めたことに絶対反対しないし、余計な提案もしない、という約束。
この約束を信じてくれてる息子を裏切るわけにはいきません。
「せっかくですが……」と前置きをし、お礼を伝えてからお断りしました。

前日まで、息子は何度も何度もわたしに質問してきました。発表会、休んでもいい?出た方がいいかなあ?、と。

発表会に向けての練習の楽しさ、想像し得る感覚のつらさを比べ、思いが揺れたのでしょう。
それに対してわたしは一貫して「当日まで考えなよ」との旨を返すのみでした。

もしわたしが「出て欲しいなあ」だとか、「うーん、無理する必要はないんじゃない?」だとか、意見を口にすれば息子はもっと楽だったかもしれません。

ただそれは、息子の判断力を信じていないこと。

意地悪な言い方をしてしまえば
「実は言うほど変化も音の響きもつらくないんじゃない?」「友達と過ごすのだってそこまで楽しくないんじゃない?」と疑うのと大差ないことだと思ったのです。

「辛いと訴えるのも、楽しいと教えてくれるのも、本心だと信じている。
だからあなたは、自分にとって一番いい方法を見つけられるはずだって、わたしは信じられるんだよ」

信じているからこそ、彼の決断を見守ろう、と。
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