こんにちは。
児童発達支援事業所STELLA KID(ステラキッド)鶴ヶ峰教室です。
今回は発達障害を抱えるお子さんのうち、気になる行動の一つである「自傷行為(行動)」についてのお話です。
【自傷行為の例】
発達障害を抱えるお子さんの中には自傷行為が見られるお子さんが少なからず存在します。
<具体的例>
・壁に頭を打ち付ける
・自分を叩く
・皮膚をむしる
・手首など自分を噛む
・髪を抜く
・リストカット
・鉛筆などを腕などに刺す
・傷口をいじる
・薬を過剰に摂取する など
【自傷行為の原因】
発達障害を抱えるお子さんの自傷行為の場合、主な原因は3つに分類されます。
<社会的理由(コミュニケーション)による自傷行為>
発達障害を抱えるお子さんに見られる顕著な特性として「コミュニケーションの苦手さ」が挙げられます。
もう少し細かく言うと、
・会話のキャッチボールの困難さ(マイペースすぎるなど)
・相手の表情(感情)の読み取りにくさ
・自分の気持ちを上手に表現できない
などがあるわけですが、これらの特性は発達障害を抱える本人が意識して直そうと思っても簡単にできるものではありません。
また、発達障害は周囲の人からは気づかれにくいという特徴があり、本人としては真面目なつもりでも周りから叱責を受けたりすることが多い傾向にあります。
これらの特性を抱えて社会で生きていくということは非常にストレスがたまるもので、そうした葛藤や不安に抑圧された結果、自傷行為という形で表出されてしまう場合があります。
また、自傷行為をすることで、表出しにくい自分の気持ちや意思を表現しよう、汲み取ってもらおうとするケースも見られます。
特に、思春期に入るとホルモンバランスの乱れなどの影響もあり自傷行為が増えることもあります。
<身体的特性ゆえの自傷行為>
以前にも当ブログでお話しさせていただきましたが、発達障害を抱えるお子さんの特性には感覚過敏や感覚鈍麻があります。
こうした特性に基づく自傷行為の場合、他人から見ると傷口に塩を塗るような行為(治りかけの傷を鉛筆でいじる等)を行ないます。もちろん、痛みを感じていないわけではありませんが、周りの人から見るとまるで体を痛めつけることを楽しんでいるように誤解されてしまう場合があります。
ほかにもほんの少しの怪我、汚れなどを神経質と思うくらい気にする、危険で不安定な遊びを好むなどの傾向も、身体的特性に基づく反応・行為である可能性があります。
<余暇時間の使い方の問題>
余暇時間を有意義に活用できている場合は自傷が少ないと言われます。
しかし、余暇を有意義に使えず持て余してしまっている場合や、そもそも興味の対象が限定的で余暇を有意義にすごそうにもできない場合、その時間の過ごし方として自傷という表現が現れる場合もあります。
そのほか、環境に影響されて引き起こされる自傷行為もあります。
・パニック・癇癪による衝動的な行動として自傷が起こる場合
・興奮状態など気持ちが高揚しすぎたために自傷が起こる場合
などがあります。
【自傷行為の対処方法】
以下は自傷行為を<社会的理由のもの><身体的特性に基づくもの><余暇の過ごし方の問題>と分類した際に念頭に置いておくべき対処方法です。
<社会的理由による自傷行為の対処>
・コミュニケーションの能力に課題があり、それらのストレスなどが原因となっている場合です。
この場合、言葉で気持ちや考えを伝えることが難しいことが多いので、別の手段を用いて気持ちを伝えられるように絵カードなどのツールを生活の中に導入し、それらを使って気持ちを伝える方法を身につけられるようにしましょう。
<身体的特性に基づく自傷行為の対処>
・感覚過敏が自傷行為を誘発している場合です。
例えば光や音などの刺激に弱く、その影響が自傷行為に結びついている場合は、そうした刺激を取り除く手段を検討します。具体的には外からの刺激を少なくするためにパーテーションやイヤーマフなどを用いて外部の余計な刺激をシャットダウンします。
<余暇の過ごし方が原因の自傷行為>
・子どもは大人ほど余暇を過ごす方法のバリエーションが豊富ではないため、することがなくなるとストレスを感じ始めます。それが退屈だけで済めば良いのですが、退屈しのぎが自傷という形で表出されるのは避けたいところですので、普段から子どもの余暇の過ごし方にバリエーションを持たせるようにしましょう。
【自傷行為の対処で最も大切なこと】
最後になりますが、自傷行為を見かけたとき最も大切なことは次の3つです。
(1)安全確保
・自傷行為がおきた時は周りの環境を確認し、危険なものを遠ざけ、怪我のリスクを下げます。また、壁に頭を打ち付けるなどの行為が現れた時は、行為自体を止めるのではなく、壁と頭の間にクッションを挟むなどして対処します。
(2)過剰に反応しない
・自傷行為には先にも述べたように要求を通したい、注目を集めたい、拒否を示したいなどのコミュニケーションとしての側面があります。仮に、そうした意図で自傷行為が行われている場合、「自傷を行うことで周りが意見を汲んでくれた、注目してくれた」という経験を積んでしまうと、自傷行為はエスカレートしていく可能性があります。そうした悪循環を避けるべく、自傷行為に対処する時は慌てず、騒がず、落ち着いて子どもの安全を確保し、落ち着くのを待ちましょう。
(3)落ち着けたらお話をする
・パニック、癇癪の状況下で自傷行為を行なっている場合、大人があれこれ話をしても子どもは聞いていません。また、無理に静止して落ち着かせようとすることはさらなるパニックを生みかねません。
こうした場合は落ち着いて安全確保を行なったのち、場所を変えるなどして落ち着けるのを待ちましょう。そして、落ち着いたことを確認してから状況を振り返りお話をしましょう。この時に、落ち着けたことを褒めるのを忘れずに。
いかがだったでしょうか?
私自身、リストカットなど自傷行為をするお子さんを目にしてきました。リストカットなどは特に周りへのインパクトが強く、手首を切る=『死』という構図が連想されがちですので、周りは慌てて静止しようとします。しかし、実は彼ら(彼女ら)の多くは死ぬために手首を切っている訳ではないのです。
とはいえ、こうした自傷行為をそのままにしておいても、問題解決には至りませんし、万一の事故につながる可能性も否定できません。
そんな事故を防ぐためにも、自傷行為に隠されている原因や理由を丁寧に分析し、それらが解消される方法を考えていくことで、彼らの支えになれたらと思います。
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・不器用
・視線が合わない
・幼稚園、保育園、小学校への就学が不安だ
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※自治体の助成により無料もしくは低額にて療育が受けられます。
まずは市役所/相談支援事業所/当事業所にご相談ください。
※児童発達支援事業は、放課後等デイサービス(放デイ)と同じく障害児通所支援事業に属する療育施設であり、「児発」などの略称で呼ばれる場合もあります。
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19/07/16 17:25