④【嘘をつくということ~5歳の時に僕がついた嘘】〜その4
北海道中央児童相談所が編集して、平成12年3月に発行された、子どもの虐待防止事例集「子どもと家族の援助のために」には、嘘についてこんなふうに書かれている。
嘘をついてどうしようもないからと、コブができるまで叩かれる子どもがいた。万引きも限りなくしていて、店の人に見つかっているのに認めないし、ポケットに盗んだ物が入っているのに認めない。父親は腹が立って思わず叩いてしまうが、叩いても絶対に認めない。そのため、「どうして、こんなに嘘をつくのか」と父親から相談を受けた時の、助言だ。
○確かに、「絶対に叱らないから」といくら安心させても、嘘を認めない子どもはいます。
○嘘をつくのは、自分を守るためです。
○なぜ、自分を守ろうとするのでしょう。
○自分が盗んだことを認めるのは、自分が「悪い子ども」であるということを公にしてしまうことになります。周囲のすべての人に悪い子であることがわかってしまい、軽蔑のまなざしにさらされることになります。子どもは、周囲の人の蔑視と憎悪を避けようとして嘘をつきます
○もともと、この子どもは依存することができずに、寂しさや虚しさでいっぱいです。
○この寂しさや虚しさを埋めようとして万引きをしていると考えられます。
○子どもの心はすさんで、非常に不安定です。
○叱れば叱るほど、殴れば殴るほど、さらに不安定になるばかりで、事態が改善に向かうことはありません。
○子どもの心の寂しさや虚しさを埋めていくことが必要です。 -北海道中央児童相談所-
この事例集は、その内容から、おそらく、僕の師匠の故貞方宏氏が書いたものと思う。
そして、ここには、たくさんの重要なことが散りばめられている。
子どもの発達のこと、子育てのこと、しつけのこと、心をはぐくむということ、心理検査のこと、そして、虐待のこと。
児相の職員はもちろん、関係機関の人、そして、今子育て真っ最中のお母さん、お父さんなど、多くの人に読んでもらいたいと思う。
…… 次回に続く ……
◆但田たかゆき
④【嘘をつくということ~5歳の時に僕がついた嘘】〜その4
教室の毎日
23/03/05 23:17