活動の時間に「動」と「静」を繰り返すことで集中力がつくという話をさせてもらいましたが、「動」と「静」どちらもカバーしている運動遊びもあります。今回ご紹介する「お玉でボールロープウェイ」もそのひとつ。
使うのは調理用のお玉とカラーボールたくさん、そしてボールを入れるカゴ。ルールは簡単、まず離れたところに空のカゴを置く。お玉にカラーボールを乗せ、1 分以内に離れたカゴに歩いて何個入れられるかというもの。
お玉に乗せたカラーボールは、歩く度に少し揺れて、微調整しながら歩かないとすぐに落ちてしまいます。この微調整が意外と難しく、手先はもちろん、歩くスピードや、いかに振動をお玉に伝えないように歩くかという高度なテクニックも要します。
何度か子どもたちにチャレンジしてもらったのですが、一度もボールを落とさずにできる子は数えるほど。ほとんどの子は途中で落としてしまいます。スピードを上げようとして勢い良く走ると、振動がダイレクトに伝わってしまい、ボールはコロコロと。なかなか上手くいきません。
ボールロープウェイは、お玉に乗せたカラーボールを目でしっかり見て落とさず歩くという、目と手と足を同時に動かす「協応運動」です。
協応運動とは、手と足、目と手など別々に動く機能をまとめてひとつにして動かす運動のことを言い、縄跳びやスキップ、ボールを目で追いながら足で蹴るなどの運動もこれに当たります。大方のスポーツにおいて必要とされる能力と言えます。
「協応運動」は、掴む・放すなど無意識に反応する「反射運動」や飛ぶ・走るなど、ひとつの動作を行う「基本運動」よりもより高度な技術を要します。つまり、発達段階が未熟であるほど、この「協応運動」はスムーズにいかないことが多い。
難度が少し高めの動きにおいて、体の動きにぎこちなさを感じるのは、単に運動神経の良し悪しではなく、脳機能の発達によるものと思われます。
ボールロープウェイで簡単な「協応運動」に取り組むことで、体のぎこちなさを改善できると思っています。これらを続けた先には、お話に集中しても姿勢を崩さない、お友達に対する力加減を調節できる、けがをしにくくなる、転びにくくなるなどの効果が期待できます。
発達段階に応じて、少しレベルの高い子には、歩く場所をカラーテープ上に制限しても面白い。足元にも意識を向けさせることで、難易度が増し、より参加意欲も増すという訳。
まぁ、子どもたちからすればそんな堅苦しい話は抜きに、ゲーム感覚で、ただただボール運びが楽しいと感じてもらえればいいなと思っています♪
運動遊びvol.4/バランス上手!お玉でボールロープウェイ
教室の毎日
23/06/14 23:05