ひらひらと舞うカラフルで柔らかな布を目で追いタイミングを合わせてキャッチ。ビジョントレーニングのひとつとして、度々「レインボーキャッチ」を取り入れています。
ビジョントレーニングとは、目でものの性質や状態を捉える力を高め、見たものを正しく認識したり、自分の身体をイメージ通りに動かす機能を向上させるためのトレーニングのことを言います。簡単に言えば「見る力を鍛える」ことですね。
視力の良し悪しではなく見たものに対して行動に移せるかどうかがポイントで、例えば近づいてきた自転車を瞬時に避けたり、飛んでくるボールをキャッチしたり。赤信号を見て止まれるかどうかもビジョントレーニングによって培われるものだと思います。
ビジョントレーニングを重ねることで個人差こそあれど、転びにくくなる、板書がスムーズにできる、音読がスムーズにできる、などの効果を期待できると言われています。
ユリシス・キッズTakabataで行っている「レインボーキャッチ」は、赤・青・桃・黄・紫・緑・橙の7色の“シフォン”と呼ばれる柔らかな布を使って行います。
ふわりと天井高く浮かせてひらひらと舞い降りる布を目がけて子どもたちはタイミングを合わせてキャッチするという運動遊び。
まず最初に1人一枚布を渡し、自分で上に向かって投げ、ひらひらと舞い降りる布を自分でキャッチするところから始めます。
布の感触や舞い降りるスピードなど個別に実感することで布に慣れてもらう狙いがあるのですが、思惑通り、この段階では皆、思い思いに布を放って楽しんでいます。
頭上から布を落としてキャッチするだけでもトレーニングになるので、より支援が必要な子にはこの段階でマンツーマンでしっかり関わっています。図上から布を落とす高さを変えるだけで距離感が掴め、空間認知力の向上も期待できます。
次のステップとして、今度はスタッフとマンツーマンで行います。スタッフが布を天井近くまで放り、「ハイ!」の合図で子どもは離れた所から走ってキャッチ。徐々に距離を伸ばし難易度を上げていくのですが、子どもたちにとってこれが意欲を掻き立てる。
まるでオリンピックの走り高跳び決勝のような心地よい緊張感に包まれる。どんどんレベルアップしていく自分を実感でき、多くの子は自信に満ち溢れた表情を浮かべます。この時の子どもたちの目の輝きときたら!
レベルアップすればするほどビジョントレーニングになるので、子どもたちをやる気にさせればしめたもの。
またレベル1は桃、レベル7は紫といったようにレベル毎に布の色を変え、エンタメ要素を強めているのもポイント。布じゃなくて普通のティッシュでもできるけど、ティッシュじゃちょっと味気ないし視覚的にもつまらない。カラフルな方が子どもたちもワクワクするからこそのレインボー。
そしてさらに次のステップとして、今度は7色同時に放り投げ、「緑!」などと色を声に出して指示。子どもたちは指示された色をキャッチするという遊びに移行します。これは聞く力も加わることになり、より高度なビジョントレーニングと言えます。
スタンバイする子どもたちの表情は真剣そのもの。聞き耳を立て、聞いた情報を元に瞬時に判断、キャッチする色の布を追視、そこに向かってタイミングを合わせて走る、手を伸ばす、指で掴む。布をキャッチするまでは、いくつかの協調運動によって成り立っていることが分かります。
一見シンプルだけど、様々な運動能力の向上を期待できる「レインボーキャッチ」。発展系として「ゼブラ柄」や「ヒョウ柄」なども揃えたアニマルキャッチなんてのも面白いかな〜なんてことも思案中です♪
運動遊びvol.20/「レインボーキャッチ」で見る力を養う
教室の毎日
23/10/12 22:42