「そっと」という言葉があります。「少しの程度」「静かに」といった意味がありますが、気づくと日常生活の様々なシーンにおいてこの言葉を使っています。
水の入ったコップをテーブルに置くとき、「そっとね」。お部屋のドアを閉めるとき、「そっとね」。寝ている子に毛布をかけるとき、「そっとね」。
要するに力加減のコントロールができるかどうかなのですが、発達にのびしろのある子どもたちは、意識していないと動きがダイナミックになり、「そっと」を上手く体現できないことがあります。
そこでユリシスでは、この「そっと」を意識的に体現できる「ジャンボおはしゲーム」を実施しています。
プールスティックをおはしに見立てて、カラーボールを摘み、離れたカゴに入れるという運動遊びです。
手で掴んで入れるのとは違い、スティックを操作する技術が必要です。スティックの長さを頭に入れ、どこをどう持って摘めばボールが持ち上がるかがポイントです。
そして次に、挟んだボールを落とさずに運ぶ技術。挟む力が強すぎるとボールはバランスを崩して落ちてしまい、逆に弱すぎてもボールが固定されずに落ちてしまう。「適度な力で挟み続ける」技術が必要で、このときにまさに「そっと」を体現しています。
子どもたちにやってもらうと、最初から上手にできる子もいれば徐々に上手になっていく子、まだまだ伸びしろたっぷりな子などさまざま。
よくやるのは、「1分間に何個カゴに入れられるか」といった制限時間付きのタイムレース。「1番になりたい」「記録を作りたい」「あの子に勝ちたい」など、負けん気の強いユリシスの子どもたちに合った方法で提供します。
先日は上位3人が大接戦を繰り広げ、「自由時間もやりたい」といった嬉しいリクエストも飛び出すほど。ヒートアップして、みんな額に汗をかいていました。
ただし勝負に勝つには焦りは禁物で、焦れば焦るほど手元は狂うし、慌てると余計な力が入って失敗するリスクは高まります。
勝つためには、いかに無駄な動きを省き、冷静かつ慎重に、そして正確にボールを挟んでより早く運ぶことができるか。これこそ、この微妙な力加減を子どもたちにぜひ味わってもらいたいと考えています。
シンプルに見えて、実は様々なスキルを求められる「ジャンボおはしゲーム」。カラーボールだけじゃなくて、今度は色んなボールを摘んでみようかな♪
運動遊びvol.23/そっとを体現「ジャンボおはしゲーム」
教室の毎日
23/10/23 22:44