転びやすい、力加減のコントロールが苦手、動きががさつ、姿勢が崩れやすい、集中力が続かない、場面に合わせた声の大きさの調整が苦手等々、こうした日常生活における困り事の原因は、平衡感覚や固有感覚、触覚といった初期感覚につまずきがある場合があります。
平衡感覚は体のバランスをとるのに必要な感覚。バランスボールに座ったり、自転車に乗ったりするときに倒れないよう無意識にバランスをとろうとするあの感覚です。
固有感覚は自分の体の位置や動きを把握する感覚。例えば目を閉じた状態で、左右の手にそれぞれ重さの違うものを持っても、どちらが重いのか答えられるあの感覚です。
触覚は手で触れたり体に接触したモノを感じる感覚。識別系と原始系があり、前者は手触りによってそのモノが何か判別し、後者は手触りによって自分に害を及ぼす危険がないかを判断します。
視覚や聴覚など五感と呼ばれる感覚に加え、無意識に使われていると言われる「平衡感覚」「固有感覚」「触覚」(初期感覚)。
これらの感覚の感じ方が「敏感」か「鈍感」かによって、日常生活や行動面における警戒や大胆さなどに影響をもたらすと言われています。
例えば、痛みに鈍感で爪が剥がれても平気、気温に鈍感でどんなに暑くても上着を脱がない、平衡感覚が敏感で乗り物酔いしやすい、平衡感覚が鈍感で座っているとすぐに椅子をガタガタしてしまう等々、これらの事象の原因の多くは初期感覚のつまずきが原因かもしれません。
これらの感覚を正常に身につけることでボディイメージが備わると言われています。ボディイメージとは自分自身の輪郭をイメージする力で、「体の輪郭」や「体の大きさ」「体の傾き具合」「力の入り具合」「手足や指の関節の曲げ伸ばし具合」などを実感できます。
ボディイメージをつけることで、自分の体を思い通りに動かすことができ、不器用さの解消にも繋がったり、人との適切な距離感も身につくので、対人関係のトラブルにも発展しづらくなります。
ユリシスではボディイメージをつけるため「スパイダーネット」という運動遊びを取り入れています。
「スパイダーネット」とは読んで字のごとく「クモの巣」で、部屋中にクモの巣のようにビニール紐を張り巡らし、子どもたちは紐に引っ掛からないよう進んでいくというもの。
ゲーム感覚を味わってもらうため奥にお宝を置き、そのお宝を〇〇秒以内に取ってくるという「ミッション方式」を採用。これが受け、子どもたちはトム〇ルーズよろしく果敢にミッションに挑みます。
クモの巣に引っ掛からないように、そろ〜りそろ〜りと慎重にゆっくりと体を動かします。この「ゆっくり体を動かす」というのがポイントで、この時、子どもたちの体の中で平衡感覚、固有感覚、触覚が研ぎ澄まされ、感覚統合が活発に働いているのです。
楽しみながらボディイメージを身につける「スパイダーネット」。子どもたち曰くアトラクション感覚がクセになるそうですよ(^3^♪
運動遊びvol.45/「スパイダーネット」でゆっくり動く
教室の毎日
24/03/04 22:39