1.よくあるエピソード
「もう公園から帰る時間だよ」と声をかけても「あと1回だけ!」と遊具から離れられず、最後は大泣きしてしまう……。
「切り替え」が苦手なお子さんによく見られる姿です。
2. その背景について
実はこれ、決して「わがまま」や「約束を軽視している」わけではありません。
脳の発達プロセスで見ると、お子さんが確実に成長のステップを登っている証拠でもあります。
人間の脳のうち、思考や行動のコントロールを担う部分(前頭前野)の機能は、成長とともに段階を踏んで育っていきます。
いま育っている力:「夢中になる力(シングルフォーカス)」
「切り替えが苦手」という状態は、裏を返せば「自分の外の世界に強い興味を持ち、目の前のことに意識を100%注ぎ込めるようになった」という、脳の発達における大きな成長(第1段階)を意味しています。ひとつの作業や遊びに深く没頭できる力は、将来好きなことを探求したり、技術をじっくり身につけたりする上で大きな強みになります。
パニックの理由:「ブレーキ機能とのタイムラグ」
脳の仕組みとして、「夢中になるエネルギー」が先にぐんぐん育ち、それを制御する「気持ちにブレーキをかけて行動を切り替える機能」はあとから時間をかけて追いついてくるという発達のタイムラグがあります。そのため、大好きな公園遊びに全集中している最中に急に「終わり!」と言われると、育ち途中のブレーキが追いつかず、脳が処理しきれずにパニックを起こしてしまうのです。つまり、大泣きや抵抗はわがままではなく、「意欲の成長にブレーキ機能の発達が追いついていない過渡期の姿」なのです。
3.「約束を守る力」の育て方
まだ自分でブレーキをかける力が育ちきっていない時期だからこそ、頭ごなしに叱っても、無理やり引き剥がしても、毎回お菓子で気を引いてごまかしても、子ども自身の「自分をコントロールする力」は育ちません。
心理学や行動療法では、子どもが安心して過ごせる枠組みを作るために「限界設定(Limit Setting)」という支援技術を使います。これは、「子どもの気持ちは尊重するけれど、守るべきルール(行動の線引き)はブレずに示す」という関わり方です。
追いついていない脳のブレーキ機能を大人が外側からサポートし、子ども自身が「自分で納得して気持ちに折り合いをつけ、約束を守る体験」を積み重ねていくことが大切です。
切り替えで使える3つのステップをご紹介します。
①あらかじめ「終わりの条件」を子どもと一緒に決める(事前に見通しを持つ)
大人からの急な命令は脳のブレーキが追いつきませんが、遊ぶ前に約束があれば、脳にあらかじめ終わりの準備をさせることができます。
「今日は時計の長い針が『6』のところに来たらおしまいね」と事前に約束をします。
そして、「時計の針が6になったら」など、終わりを目で見える形にしておくと、脳が自ら切り替えの準備を始めやすくなります。
②感情には共感し、限界設定(Limit Setting)をブレずに維持する
子どもが泣いたからといって「じゃあ特別にあと1回ね」とルールを曲げてしまうと、脳は「大泣きすればルールが変わる」と誤って学習してしまい、ブレーキを育てる機会を逃してしまいます。
泣いたり怒ったりしたときは「悔しいよね、もっと遊びたかったよね」と気持ちを言葉にして共感します。
その上で、「でも、さっき決めた時間だからおしまいだよ」と守るべき線引き(限界設定)は静かに・一貫して守ります。
「自分の気持ちは受け止めてもらえた上で、世の中には変わらないルールがある」と知ることが、健全な感情コントロールの第一歩になります。
③葛藤しながらも守れたプロセスを褒める(自己肯定感を育てる)
渋々であっても、葛藤の末に遊具から離れられた瞬間は、お子さんが自分の欲求(ブレーキ)をコントロールできた大切な一歩です。
「約束通り時計の針を見て、やめられたね!かっこいい!」
「自分で気持ちをコントロールできたね」と、物をあげるのではなく、言葉にして伝えます。
この「できた!」という達成感が、成長途中のブレーキ機能を少しずつ育てていきます。
4.最後に
社会の中で生きていく上で、「自分の思い通りにならない場面で折り合いをつける力」や「約束を守る力」は、子どもの将来を支えるとても大切なライフスキルです。
この力は、恐怖心やその場しのぎの対応で身につくものではなく、「事前に見通しを持つ」「自分で納得して動く」「約束を守れた自分を誇らしく思う」という肯定的な体験の積み重ねによって、時間をかけて育っていきます。
大人も焦らず、お子さんの「心のブレーキ」が育つ過程を一緒に見守っていきましょう。
では、また(^^)/
くるみの日々の活動はInstagramで!
@KURUMI_DAYSERVICE
「もう公園から帰る時間だよ」と声をかけても「あと1回だけ!」と遊具から離れられず、最後は大泣きしてしまう……。
「切り替え」が苦手なお子さんによく見られる姿です。
2. その背景について
実はこれ、決して「わがまま」や「約束を軽視している」わけではありません。
脳の発達プロセスで見ると、お子さんが確実に成長のステップを登っている証拠でもあります。
人間の脳のうち、思考や行動のコントロールを担う部分(前頭前野)の機能は、成長とともに段階を踏んで育っていきます。
いま育っている力:「夢中になる力(シングルフォーカス)」
「切り替えが苦手」という状態は、裏を返せば「自分の外の世界に強い興味を持ち、目の前のことに意識を100%注ぎ込めるようになった」という、脳の発達における大きな成長(第1段階)を意味しています。ひとつの作業や遊びに深く没頭できる力は、将来好きなことを探求したり、技術をじっくり身につけたりする上で大きな強みになります。
パニックの理由:「ブレーキ機能とのタイムラグ」
脳の仕組みとして、「夢中になるエネルギー」が先にぐんぐん育ち、それを制御する「気持ちにブレーキをかけて行動を切り替える機能」はあとから時間をかけて追いついてくるという発達のタイムラグがあります。そのため、大好きな公園遊びに全集中している最中に急に「終わり!」と言われると、育ち途中のブレーキが追いつかず、脳が処理しきれずにパニックを起こしてしまうのです。つまり、大泣きや抵抗はわがままではなく、「意欲の成長にブレーキ機能の発達が追いついていない過渡期の姿」なのです。
3.「約束を守る力」の育て方
まだ自分でブレーキをかける力が育ちきっていない時期だからこそ、頭ごなしに叱っても、無理やり引き剥がしても、毎回お菓子で気を引いてごまかしても、子ども自身の「自分をコントロールする力」は育ちません。
心理学や行動療法では、子どもが安心して過ごせる枠組みを作るために「限界設定(Limit Setting)」という支援技術を使います。これは、「子どもの気持ちは尊重するけれど、守るべきルール(行動の線引き)はブレずに示す」という関わり方です。
追いついていない脳のブレーキ機能を大人が外側からサポートし、子ども自身が「自分で納得して気持ちに折り合いをつけ、約束を守る体験」を積み重ねていくことが大切です。
切り替えで使える3つのステップをご紹介します。
①あらかじめ「終わりの条件」を子どもと一緒に決める(事前に見通しを持つ)
大人からの急な命令は脳のブレーキが追いつきませんが、遊ぶ前に約束があれば、脳にあらかじめ終わりの準備をさせることができます。
「今日は時計の長い針が『6』のところに来たらおしまいね」と事前に約束をします。
そして、「時計の針が6になったら」など、終わりを目で見える形にしておくと、脳が自ら切り替えの準備を始めやすくなります。
②感情には共感し、限界設定(Limit Setting)をブレずに維持する
子どもが泣いたからといって「じゃあ特別にあと1回ね」とルールを曲げてしまうと、脳は「大泣きすればルールが変わる」と誤って学習してしまい、ブレーキを育てる機会を逃してしまいます。
泣いたり怒ったりしたときは「悔しいよね、もっと遊びたかったよね」と気持ちを言葉にして共感します。
その上で、「でも、さっき決めた時間だからおしまいだよ」と守るべき線引き(限界設定)は静かに・一貫して守ります。
「自分の気持ちは受け止めてもらえた上で、世の中には変わらないルールがある」と知ることが、健全な感情コントロールの第一歩になります。
③葛藤しながらも守れたプロセスを褒める(自己肯定感を育てる)
渋々であっても、葛藤の末に遊具から離れられた瞬間は、お子さんが自分の欲求(ブレーキ)をコントロールできた大切な一歩です。
「約束通り時計の針を見て、やめられたね!かっこいい!」
「自分で気持ちをコントロールできたね」と、物をあげるのではなく、言葉にして伝えます。
この「できた!」という達成感が、成長途中のブレーキ機能を少しずつ育てていきます。
4.最後に
社会の中で生きていく上で、「自分の思い通りにならない場面で折り合いをつける力」や「約束を守る力」は、子どもの将来を支えるとても大切なライフスキルです。
この力は、恐怖心やその場しのぎの対応で身につくものではなく、「事前に見通しを持つ」「自分で納得して動く」「約束を守れた自分を誇らしく思う」という肯定的な体験の積み重ねによって、時間をかけて育っていきます。
大人も焦らず、お子さんの「心のブレーキ」が育つ過程を一緒に見守っていきましょう。
では、また(^^)/
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