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エンタメ療育スタジオ Rough&Diamondsのブログ一覧

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「できた」を積み重ねる療育

子どもが何かを覚える瞬間には、目には見えない小さな階段があります。大人から見ると簡単に思える「ピンクを選ぶ」という行動も、子どもにとっては、見て、聞いて、理解して、選ぶといういくつもの段階を含んでいます。その階段を一段ずつ、安全に、楽しく上がれるようにすることが、療育の中でとても大切な関わりになります。 普段のラフダイの療育トレーニングの中で、うまくいった対応事例や成功事例をご紹介していければと思います。 今回は特別編として、ラフダイの療育理念の中でよく使われる手法・技法の一つである「ディスクリートトライアルトレーニング」について、簡単にお話しします。 普段のレッスンの中でも、先生たちにはこの考え方を常に意識しながら関わってもらっています。 ディスクリートトライアルトレーニングは、とても簡単に言うと、「子どもが成功しやすいように、学びを細かく分けて積み重ねていく方法」です。 療育の中では「スモールステップ」という言葉をよく使いますが、それをさらにもっと細分化した考え方だと思ってもらえるとわかりやすいかもしれません。 大切なのは、いきなり難しいことを求めないことです。 たとえば、ピンクのボールと青いボールがあるとします。 子どもに色の認知を入れたいとき、大人はつい最初から「ピンクはどっち?」と聞きたくなります。 でも、まだ色の理解が十分でない子に対して、いきなり二択を出してしまうと、最初からつまずいてしまうことがあります。 本人にとっては、何を見ればいいのか、何を基準に選べばいいのかがまだ整理されていない状態です。 だからこそ、まずはインプットから始めます。 「これはピンクです」 そう伝えたうえで、「ピンクにタッチしてみてね」と促します。 このとき大切なのは、子どもが必ず成功できるように、こちらがアプローチしてあげることです。 最初から正解を試すのではなく、正解できる状況を作る。 学ばせる前に、成功できる経験を設計する。 療育で大切なのは、できるかどうかを試すことではなく、できるようになる道筋を一緒につくることです。 実際の関わりでは、こんなふうに進めます。 「後から色を説明するよ。わかった色にタッチしてみてね」 「これはピンクです。ピンクにタッチ」 子どもがタッチできたら、「上手にできた」としっかり返します。 もう一度、同じように繰り返します。 「これはピンクです。ピンクにタッチ」 またできたら、しっかり成功として受け止めます。 そのあとで、少しだけ段階を上げます。 「これは何色ですか?」 そこで子どもが「ピンク」と言えたら、「正解」と返します。 このように、いきなり二択や判断を求めるのではなく、まずは一つの情報を確実に入れていきます。 そして、本人が「自分でできた」と感じられるようにしていきます。 この「自分でできた」という感覚がとても大切です。 スモールステップで進めるということは、ただ簡単な課題にするという意味ではありません。 判断材料を一つに絞り、そこから確実に二つ、三つへと増やしていくことです。 最初は一つだけ。 次に、もう一つ。 そして、少しずつ選択肢を増やしていく。 そうすることで、子どもは「できた」「わかった」「楽しい」「うれしい」という経験を連続して積んでいくことができます。 この連続が、自己肯定感につながります。 失敗ばかりが続くと、子どもは学びそのものを避けたくなってしまいます。 でも、成功できる形で課題が設計されていると、子どもは前向きに取り組みやすくなります。 「またやってみよう」と思える。 「自分にもできる」と感じられる。 その気持ちが、次の学びの土台になります。 たとえば、最初にピンクをしっかり理解できるようになったら、次に青を入れていきます。 「これは青だよ」 「こちらはピンクだよ」 「じゃあ、ピンクにタッチしてみてね」 この段階で、たとえ周りに少し気になるものがあったり、別の言葉が聞こえたりしても、子どもの中に「ピンク」という認知がしっかり入っていれば、自信を持って選ぶことができます。 その自信があるから、一つの認知として定着していきます。 そして、ピンクができたら青。 青ができたら、また違う色。 このように繰り返しながら、少しずつ理解を広げていきます。 小さな成功は、小さなまま終わりません。積み重なることで、子どもの中に「自分はできる」という大きな感覚を育てていきます。 ラフダイの普段のレッスンでも、このディスクリートトライアルトレーニングの考え方を主に取り入れながら進めています。 色の認知だけではありません。 物をあげる、渡す、受け取る、見る、待つ、選ぶ。 こうした日常の中の一つひとつの行動にも、同じ考え方が使えます。 大人にとっては自然に見える動作でも、子どもにとっては複数の理解や判断が必要なことがあります。 だからこそ、細かく分ける。 できるところから始める。 必ず成功できる形にして、少しずつ段階を上げる。 この流れを大切にしています。 療育は、子どもに「できないこと」を突きつける場ではありません。 子どもが「できた」と感じられる瞬間を、どれだけ丁寧につくっていけるか。 その積み重ねが、学びを楽しいものにしていきます。 そして、楽しいと感じられるからこそ、子どもは次のステップに進んでいけます。 普段の生活の中でも、「こういう時はどうしたらいいんだろう」と感じる場面はたくさんあると思います。 困り感は、家庭によっても、お子さんによっても違います。 でも、その困りごとの中には、細かく分けて見ていくことで関わり方が見えてくるものがあります。 いきなり大きな変化を目指さなくても大丈夫です。 まずは一段。 次に、もう一段。 子どもが安心して上がれる階段を、一緒に作っていくこと。 それが、療育の中で大切にしている関わりです。 何か困っていることや、「こういう時どうしたらいいんだろう」という場面がありましたら、いつでもご相談ください。 小さな成功を一つずつ重ねながら、その子に合った進み方を一緒に考えていければと思います。

エンタメ療育スタジオ Rough&Diamonds/「できた」を積み重ねる療育
教室の毎日
26/08/09 08:41 公開
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ダンス療育で育てる、ちょうどいい力加減

近くにいる相手へ、思いきり強く投げてしまう。遠くにいる相手へ、届かないほど弱く投げてしまう。そんな姿を見ると、大人はつい「もっと強く」「やさしく投げて」と言いたくなります。でもその子は、わざと間違えているのではなく、まだ自分のからだの力加減をうまく感じ取れていないだけかもしれません。 ボール投げが苦手な子は、意外とたくさんいます。 近い距離なのに強く投げすぎてしまったり、遠い距離なのにふわっと弱く投げてしまったり。相手に届かなかったり、逆に相手がびっくりするほど勢いが強かったりすることもあります。 こういう場面で大切なのは、「なぜできないの?」と責めることではありません。 まず見るべきなのは、その子が何に困っているのかです。 ボール投げが苦手といっても、苦手さの中身はいくつかに分けて考えることができます。ひとつは、相手までどれくらい距離があるのかを捉える力。いわゆる空間認知です。 もうひとつは、その距離に対してどれくらいの力で投げたらいいのかを調整する力です。 これは「固有感覚」と呼ばれる感覚に関わっています。自分のからだが今どこにあって、どのくらい力を入れると、どんなふうに動くのか。そうしたからだのコントロール力の土台になる感覚です。 この固有感覚に凸凹があると、「ちょうどいい力」がわかりにくくなります。 だから、近いのに強く投げてしまう。遠いのに弱く投げてしまう。本人の中では一生懸命やっているのに、結果として力加減がずれてしまうのです。 そんな子に対して、「もっと強く投げるんだよ」「なんでできないの」「強すぎる、やめて」と言い続けても、なかなか練習にはなりません。 むしろ、失敗した感覚だけが残ってしまうこともあります。 できないことを責めるより、できるようになる入口を変えてみる。 そこで活用できるのが、ダンスや音楽を使ったアプローチです。 ボール投げという動きは、よく見ると「フレー、フレー」と応援するような腕の動きにも似ています。腕を振る、力を入れる、力を抜く、速く動かす、ゆっくり動かす。こうした要素を、音楽に合わせて楽しく経験していくことができます。 「強く」 「やさしく」 「速く」 「ゆっくり」 こうした違いを、言葉だけで理解するのは難しい子もいます。でも、音楽の中でからだを動かしながら繰り返していくと、少しずつ感覚として入っていきます。 頭で覚えるというより、からだと脳で覚えていくのです。 はじめは、ただ楽しく動くだけでも十分です。音楽に合わせて腕を大きく振ったり、小さく振ったり。力いっぱい動かしたり、そっと動かしたり。テンポを変えながら、からだの中にいろいろな力加減を経験としてためていきます。 そのうえで、子どもにとってわかりやすい表現に置き換えていきます。 たとえば、「1の強さ」「3の強さ」「5の強さ」のように数字で表す方法があります。数字がわかりやすい子には、この段階づけがとても有効です。 また、動物に例えることもできます。 「アリさんの強さ」 「ウサギさんの強さ」 「ライオンの強さ」 このようにイメージしやすい言葉に変えることで、力の強弱がぐっと掴みやすくなります。 ただ「弱く投げて」と言われるよりも、「アリさんの強さで投げてみよう」と言われた方が、子どもはからだでイメージしやすいのです。 そして、ダンスの中で練習した力加減を、実際のボール投げにつなげていきます。 「今度は、ダンスでやったアリさんの強さで投げてみよう」 「次は、ウサギさんの強さで投げてみよう」 「少し遠いから、ライオンほどではないけど、ウサギさんより強めにしてみよう」 こうして、ただボール投げだけを繰り返すのではなく、楽しい経験の中で覚えた感覚を実際の場面に活用していきます。 すると、少しずつ相手との距離に合わせて投げる力を変えられるようになっていきます。強すぎたり弱すぎたりしていた投げ方が、だんだん「ちょうどいい」に近づいていくのです。 もちろん、一度で急にできるようになるわけではありません。 でも、楽しい中で何度も経験していると、子どもは失敗を怖がりにくくなります。「またやってみよう」と思えるようになります。その積み重ねの中で、いつの間にかできることが増えていきます。 ここで大事なのは、やはり「楽しい」ということです。 楽しくないことを、進んでやりたい人はなかなかいません。子どもにとっても同じです。苦手なことを苦手なまま真正面から繰り返すだけでは、練習そのものが嫌になってしまうことがあります。 でも、音楽があって、動きがあって、遊びがあって、笑いがあると、苦手なことへの入口が変わります。 「できた」は、楽しい経験の中でいちばん自然に育っていく。 ボール投げが苦手な子に必要なのは、厳しい反復だけではありません。 その子のからだが何に困っているのかを見て、空間の捉え方や力加減の感覚を、楽しく育てていくこと。ダンスや音楽を使いながら、強い・弱い、速い・ゆっくりを、からだで覚えていくこと。 そして、できた感覚を一つずつ増やしていくこと。 それが、エンタメ療法の大切なポイントです。 ボールを投げるという小さな動きの中にも、子どもの感覚や認知、からだのコントロールがたくさん詰まっています。だからこそ、できないところだけを見るのではなく、そこに向かう道のりを楽しくつくっていきたいのです。 「もっと強く」ではなく、「ウサギさんの強さで」。 「強すぎるよ」ではなく、「今度はアリさんでやってみよう」。 そんなふうに言葉と体験を変えていくことで、子どもは少しずつ、自分のからだと仲良くなっていきます。そして気づいたときには、相手に届くちょうどいい力で、ボールを投げられるようになっているのです。

エンタメ療育スタジオ Rough&Diamonds/ダンス療育で育てる、ちょうどいい力加減
教室の毎日
26/08/08 10:17 公開
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エンタメ療育で育てる、伝えたい気持ち

子どもが何かを伝えようとしている瞬間には、ほんの小さな火種のようなものがあります。まだ言葉になっていないけれど、目線や表情や手の動きの中に、「これを見て」「これがしたい」「聞いてほしい」という気持ちが宿っている。その火を大人が先回りして消してしまうのか、それとも言葉につながるまでそっと育てるのか。発語の支援は、実はそこから始まります。 子どもの発語やコミュニケーションについて、よく相談を受けます。 「言葉がなかなか出てこないんです」 「一語文しかないんです」 「そもそも誰かに声をかける様子があまり見られません」 こうした悩みは、とても多いです。そして、その背景にあるものは一人ひとり違います。 ただ、日々のトレーニングの中で大切にしているポイントがあります。大きく分けると、二つです。 一つ目は、子どもの興味関心を育てること。 二つ目は、「この人に伝えたい」と思う気持ちを育み、それを言える環境を作ること。 この二つは、とてもシンプルに聞こえるかもしれません。でも実際には、とても繊細で、難しい部分でもあります。 なぜなら、言葉はただ教えれば出てくるものではないからです。 まず、子どもの心が動く必要があります。 面白い。欲しい。やってみたい。見てほしい。もう一回したい。誰かに聞いてほしい。 そういう内側の動きがあって、はじめて「伝えたい」という気持ちが生まれます。そして、その気持ちが少しずつ言葉につながっていきます。 言葉の前には、必ず心の動きがあります。 いきなり文章で伝えることができなくても、最初は「ねえねえ」という呼びかけかもしれません。指差しかもしれません。視線かもしれません。手を引くことかもしれません。 そこから少しずつ、「言葉で伝えると伝わるんだ」という成功体験を重ねていく。 その積み重ねが、発語やコミュニケーションの広がりにつながっていきます。 ただ、この場面で大人がやりがちなことがあります。 子どもが何かを伝えたい気持ちを見せた瞬間に、大人や支援者が先にくみ取ってしまうことです。 「〇〇ちゃん、これがしたいんだよね」 「これ欲しいんだよね」 「はい、どうぞ」 もちろん、それは優しさから出る行動です。子どもが困らないように、ストレスが少なくなるように、先回りして助けてあげたくなる。 でも、その経験が続くと、子どもにとっては別の学習になることがあります。 「言わなくても伝わった」 「声を出さなくてもやってもらえた」 「自分から伝えなくても大人がわかってくれる」 こうした成功体験が重なると、言葉を使う必要性が育ちにくくなる場合があります。 だからこそ大切なのは、子どもの「伝えたい」という気持ちが出てきたときに、少し待つことです。 待つというのは、放っておくことではありません。 子どもが伝えようとしている気持ちを見逃さずに、その気持ちが言葉につながるように支えることです。 たとえば、子どもが何かを欲しそうにしている。手を伸ばしている。視線を向けている。 そのときにすぐ渡すのではなく、少しだけ間を作る。 そして、伝えやすい言葉をそっと前に出してあげる。 「ちょうだい、だね」 「もう一回、って言ってみようか」 「やりたい、だね」 子どもが言いやすい形にして、言葉の入口を作ってあげるのです。 そして、実際に言えたときには、しっかり受け止める。 大人が嬉しそうに反応する。周りも一緒に喜ぶ。「伝わったね」「言えたね」「教えてくれてありがとう」と返していく。 この瞬間が、とても大切です。 子どもはそこで、言葉の楽しさを知ります。 伝える楽しさ。 伝わった嬉しさ。 自分の言葉で世界が少し動いたという感覚。 この感覚があるから、次もまた伝えようとする力になります。 発語のトレーニングというと、どうしても「言葉を出すこと」そのものに意識が向きやすいです。でも本当に育てたいのは、その前にある「伝えたい」という気持ちです。 言葉は、心が外に向かって伸びていくときに生まれます。 だから、子どもの興味関心を見つけることが大切です。 何に目が輝くのか。何をもう一回やりたがるのか。どんな遊びで表情が変わるのか。誰に近づこうとするのか。 その子の心が動くポイントを見つけることが、コミュニケーションの出発点になります。 そして、その心の動きを「誰かに伝えたい」という経験につなげていく。 言葉が少ない子に対して、ただ言わせようとするのではなく、言いたくなる場面を作る。伝えたくなる関係を作る。伝えても大丈夫だと思える環境を作る。 それが、日々の関わりの中でとても大事になります。 もちろん、一度で大きく変わるわけではありません。 「ねえねえ」から始まって、指差しが増えて、少しずつ音が出て、一語が出て、やりとりが増えていく。 その一つひとつの小さな成功体験を、丁寧に積み重ねていくことが必要です。 大人にできることは、子どもの代わりに全部を言ってしまうことではありません。 子どもの中にある「伝えたい」を見つけて、それが外に出てくるまでそばで支えることです。 先回りしすぎず、でも置き去りにもしない。 待つ。促す。受け止める。喜ぶ。 その繰り返しの中で、子どもは少しずつ知っていきます。 自分の気持ちは伝えていい。 言葉にすると届く。 誰かが聞いてくれる。 その安心感が、次の言葉を生みます。 発語は、単なる音の練習ではありません。 人とつながる経験の積み重ねです。 だからこそ、私たちは言葉の前にある心の動きを大切にしたいと思っています。子どもの中に小さく灯った「伝えたい」という火を、急かすのではなく、消すのでもなく、そっと育てていく。 その火が少しずつ大きくなったとき、子どもは自分の言葉で世界に手を伸ばし始めます。

エンタメ療育スタジオ Rough&Diamonds/エンタメ療育で育てる、伝えたい気持ち
教室の毎日
26/08/07 10:43 公開
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療育現場で見えた『リアクション』の大切さ

オンライン会議で、誰かが一生懸命に話している。画面には何人もの顔が並んでいるのに、誰も表情を動かさず、うなずきもせず、ただ静かにこちらを見ている。話している側に立つと、その沈黙は思っている以上に重いものです。実は、仕事ができる人ほど知っています。うなずくことは、ただの癖ではなく、相手を助ける小さな技術なのだと。 うなずくだけで、会議の空気は変わる 普段の療育トレーニングや就労支援の中で、利用者さんと対話をしながら、就職に向けた準備を一緒に進めています。 その中で、ビジネスマナーの本にはあまり大きく書かれていないけれど、現場では本当に大事だと感じることがあります。 それは、うなずくことです。 特に、オンラインミーティングではこの力がとても大きい。 Zoomなどのオンライン会議では、画面上に参加者の顔が並びます。話している人からすると、その小さな画面の中にいる一人ひとりの反応を、実はかなり見ています。 そこでまったくリアクションがない人がいると、話している側はとても話しづらくなります。 もちろん、本人は真剣に聞いているのかもしれません。集中しているからこそ、表情が動かないのかもしれない。 でも、相手から見るとそれは伝わりません。 無表情で、うなずきもなく、相槌もない状態が続くと、話している人はだんだん不安になります。 「伝わっているのかな」 「退屈なのかな」 「今の説明で合っているのかな」 「何か引っかかっているのかな」 そんなふうに、余計な気を使わせてしまうのです。 一方で、聞いている側が少しうなずくだけで、空気は変わります。 「うん」と反応する。軽く首を縦に振る。表情で受け取っていることを示す。 それだけで、話している人は安心できます。 「あ、伝わっているんだな」 「ここは理解してもらえているんだな」 「ここは少し補足した方がいいかもしれないな」 そうやって、話し手は相手の反応を見ながら話を調整できます。 会話は、一方的に話すものではありません。聞いている側の反応も含めて、会話は成り立っています。 だから、うなずくことは小さなことのようでいて、実は相手を助ける行為です。 うなずきは、「あなたの話を受け取っています」という静かなサインです。 仕事ができる人は、このことをよく分かっています。 ビジネスマンとして優秀な人、リーダーとして信頼されている人ほど、会議中のリアクションを意識的にしています。 オンラインでも、対面でも、相手が話しやすくなるように反応している。 私が以前勤めていた会社の上場企業の社長も、オンライン会議でしっかり相槌を打っていました。さらにその前にいた会社の社長も同じでした。 立場が上の人ほど、ただ黙って聞いているのではなく、相手が話しやすい空気をつくっていました。 それは大げさなことではありません。 特別なスキルでもありません。 ただ、相手の話に対してリアクションするだけです。 でも、その「だけ」ができる人とできない人で、印象は大きく変わります。 うなずける人は、相手の立場に立てる人です。 話している人が今どう感じているか。自分がどんな反応をすれば、相手が話しやすくなるか。 そこに少し意識を向けられる人です。 つまり、利他的な姿勢がある。 そして、できる人はそこを見ています。 「この人は分かっているな」 「場の空気を読めるな」 「相手を安心させることができるな」 そう思われる人は、自然と信頼されていきます。 逆に、どれだけ真面目に聞いていたとしても、反応がなければそれは相手には伝わりません。 参加しているように見えない。関心がないように見える。協力する姿勢が薄いように見える。 本人にそのつもりがなくても、そう受け取られてしまうことがあります。 ここが、仕事の怖いところでもあります。 能力だけではなく、場にどう参加しているかも見られている。 特に会議では、ただ座っているだけでは評価されにくい。 まずはしっかりリアクションすること。 次の段階として、何かしら一回は発言すること。 質問でもいい。確認でもいい。感想でもいい。自分の理解を言葉にして返すことでもいい。 そうやって「私はこの場に参加しています」という姿勢を示す人は、やはり上がっていきます。 これはオンラインミーティングに限った話ではありません。 普通の会議でも、打ち合わせでも、面談でも同じです。 話を聞く姿勢は、想像以上に相手に伝わっています。 そして、聞く姿勢が良い人は、それだけで周囲に安心感を与えます。 一方で、リアクションしない人は、知らないうちに線引きされてしまうことがあります。 厳しい外資系の会社などでは、会議で発言しない人に対して、「いるだけなら帰っていい」「参加しなくていい」と言われることもあります。 それくらい、会議に参加するということは、ただその場に存在することではありません。 反応すること。考えること。必要なら発言すること。 その場に貢献する姿勢が求められます。 でも、最初から難しい発言をしようとしなくてもいいのです。 まずは、うなずくことからでいい。 相手の話を聞いていると分かるように、表情を少し動かす。理解したところで首を縦に振る。大事な場面で相槌を打つ。 それだけで、相手の話しやすさは変わります。 そして、あなた自身の印象も変わります。 仕事ができる人は、話す力だけではなく、相手に話させる力を持っています。 その第一歩が、うなずくことです。 とても簡単な意識です。 けれど、簡単だからこそ差がつきます。 ビジネスマナーではなかなか教えてくれないかもしれません。けれど、現場では見られています。経営者も、リーダーも、周りの人も見ています。 この人は、相手を安心させられる人か。 この人は、場に参加できる人か。 この人は、話し手のことを考えられる人か。 うなずくだけで、変わることがあります。 会議の空気が変わる。相手の話しやすさが変わる。自分への信頼も変わる。 だからこそ、オンラインミーティングで画面の向こうの誰かが話し始めたら、少しだけ意識してみてください。 ただ聞くのではなく、聞いていることを伝える。 その小さなうなずきが、あなたを「ただ参加している人」から、「場を良くする人」に変えていきます。

エンタメ療育スタジオ Rough&Diamonds/療育現場で見えた『リアクション』の大切さ
教室の毎日
26/08/06 09:35 公開
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ラフダイが三事業所になった今、私たちが立ち返るべきこと

サービスの質は、大きな出来事ではなく、小さな説明不足の中に現れることがあります。こちら側では分かっている。スタッフ間では共有できている。けれど、目の前のご利用者様が「私は誰から話を聞けばいいんですか」と感じていたなら、それはもう、私たちの中では完結していても、相手には届いていなかったということです。 今回は、ラフダイの療育トレーニングの中での成功事例ではなく、失敗事例について書きます。 本当にありがたいご意見をいただきました。 そして、それを全社員ですぐに共有し、改善すべきこととして受け止めました。 まずは、この場でも改めてお詫びします。 本当に申し訳ありませんでした。 何があったのか。 現在、ラフダイには三つの事業所があります。あるご利用者様が、今通ってくださっている事業所に加えて、もう一つの事業所にも通ってみようかな、とご相談くださいました。 当然、事業所ごとに必要な契約や手続きがあります。 私たちは、もう一つの事業所での契約に向けて、内部で情報共有をしながら進めていました。 スタッフ間では、共有できていたと思います。 誰が何を把握しているか、次に何を進めるべきか。内部では流れが見えていた。 でも、それをご利用者様に十分に説明できていませんでした。 その結果、ご利用者様は「私は誰から話を聞いたらいいんですか」という状態になってしまいました。 宙ぶらりにさせてしまったのです。 これは、本当に良くないことです。 スタッフ同士が分かっているからいい、ということではありません。 私たちの中で情報が回っているから大丈夫、という話でもありません。 サービスというのは、こちら側の理解で完結するものではないからです。 「伝えたつもり」は、相手に届いていなければ、伝えていないのと同じです。 今回のことで、改めて強く感じました。 私たちは、120%相手の立場に立たなければいけない。 相手が「あそこまでやってくれているんですか」 「あそこまで考えてくれているんですか」 「そこまでしてくれるなら大丈夫です」 そう感じていただけるくらいまで、相手の立場に立って、相手の不安を想像し、相手が今どこで迷っているのかを考える。 それがサービスだと思います。 今回、どこかに「これぐらいやっていれば分かるでしょう」という甘さがあったのだと思います。 「これぐらい説明したから分かるでしょう」 「私は言ったつもりです」 「私は共有しました」 こういうとき、主語が全部「私」になっています。 でも、本当は違う。 「私は」ではない。 「ご利用者様は」どう感じているのか。 「お子様は」安心できているのか。 「誰々君は」次に何をすればいいか分かっているのか。 「誰々様は」不安なく通える状態になっているのか。 そこを主語にしなければいけないのです。 主語が「私」になった瞬間、サービスは相手から少し離れてしまう。 私たちが扱っているのは、単なる手続きではありません。 ご家庭の不安であり、お子様の時間であり、これからの成長に関わる大切な選択です。 だからこそ、「分かるはず」ではいけない。 「伝わっているはず」でもいけない。 本当に伝わっているか。 相手が安心できる状態になっているか。 誰に何を聞けばいいのかが明確になっているか。 そこまで確認して、初めてサービスとして成り立つのだと思います。 今回のことは、三事業所になった今のラフダイにとって、大きな警鐘でした。 事業所が増えるということは、できることが増えるということです。 より多くのお子様やご家庭に関われるようになるということです。 でも同時に、コミュニケーションが薄くなる危険もあります。 スタッフ間の連携が複雑になり、誰が何を伝えるのかが曖昧になることもあります。 今回の件は、まさにそこに現れた課題でした。 内部で共有できていた。 でも、ご利用者様には届いていなかった。 この差を、私たちは絶対に軽く見てはいけません。 すぐに全スタッフで共有しました。 ありがたいご意見として受け止め、改善につなげることにしました。 そして、ご利用者様にも誠心誠意お詫びをさせていただきました。 ただ、お詫びして終わりではありません。 大切なのは、ここからどう変えるかです。 今日から、改めて現場の連携を徹底します。 説明の責任を曖昧にしない。 ご利用者様が迷わないようにする。 誰が窓口なのか、今どの段階なのか、次に何が必要なのかを明確に伝える。 そして何より、自分たちの価値観で話さないこと。 「これぐらいで分かるだろう」ではなく、 「相手は本当に安心できているだろうか」と考える。 「私は伝えた」ではなく、 「ご利用者様に届いたか」と確認する。 この違いを、全員で持たなければいけません。 南先生自身も、強い危機感を感じています。 三事業所になった今だからこそ、もう一度、現場に入り、コミュニケーションを見直し、統制していきます。 ラフダイは、これからも一生懸命頑張ります。 でも、その「頑張ります」は、こちら側の満足で終わってはいけない。 ご利用者様に安心していただけること。 お子様が不安なく通えること。 ご家庭が「ここなら大丈夫」と思えること。 そこに届いて初めて、私たちの努力には意味があります。 今回の失敗を、ただの失敗で終わらせません。 説明不足という痛みから、もう一度、サービスの原点に立ち返ります。 主語を「私」から「ご利用者様」へ。 内部の共有から、相手に届く説明へ。 そして、分かっているつもりから、安心していただける関わりへ。 ここからまた、ラフダイ全体で改善していきます。

エンタメ療育スタジオ Rough&Diamonds/ラフダイが三事業所になった今、私たちが立ち返るべきこと
教室の毎日
26/08/05 10:00 公開
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