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何もない平らな道で転ぶ、よく壁や人にぶつかる

こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員および理学療法士をしています、内山隆範です。

8月に入り、うだるような厳しい暑さが毎日続いていますね。夏休み真っ只中、お出かけ先やおうちの中で元気に動き回るお子さまを見ていて、ふとこんな「ヒヤッとする場面」に悩んでいませんか?
「何もない平らなフローリングや道で、自分の足にもつれてよく転ぶ」
「ドアを通る時、必ずと言っていいほど肩を枠にぶつける」
「食事中、悪気はないのにコップやお皿にヒジをぶつけてひっくり返してしまう」
「スーパーなどで、距離感が掴めず人にぶつかってヒヤヒヤする」
日々の療育の現場でも、そして我が家の子育て(我が子も小さい頃、毎日のようにスネやヒザに新しい青あざを作って帰ってきていました…)の中でも、この「よく転ぶ・よくぶつかる(不器用さ)」というお悩みは、本当によくお聞きします。
「もっと前を見て歩きなさい!」「落ち着いて動きなさい!」

毎日バンソウコウを貼りながら、周囲の人に「すみません」と頭を下げ、「うちの子、なんでこんなに不注意でそそっかしいんだろう」「運動神経が悪いのかな」と心配してしまうお母さんたちのお気持ち、痛いほどよく分かります。
でも、理学療法士(身体と脳の専門家)として、そして同じ子育てに奮闘する親として、まず一番に大切な事実をお伝えさせてください。
お子さまがよく転んだりぶつかったりするのは、決して「前を見ていない不注意」だからでも、「落ち着きがない性格」だからでもありません。
これには、脳の中にある「見えない体の地図」による、明確なエビデンス(医学的根拠)が存在します。

なぜ、何もない所で転び、壁にぶつかってしまうのか?

大人の目には「ただ前を見ていないだけ」に見えますが、お子さまの身体と脳の中では、以下のような「感覚のエラー」が起きています。

① 脳内の「ボディスキーマ(身体図式)」が曖昧

私たちが、狭いドアをぶつからずに通り抜けられたり、手元を見なくても頭をかくことができたりするのは、脳の中に「自分の腕の長さはこれくらい」「肩幅はこのくらい」という正確な地図(ボディスキーマ)ができあがっているからです。
しかし、発達に凸凹のあるお子さまの中には、筋肉や関節からの情報(固有受容覚)を脳でまとめるのが苦手で、この「体の地図」の輪郭がぼやけている子がいます。
自分の肩幅がどこまであるのか脳が正確に把握できていないため、本人は「通れる!」と思って進んでも、結果的に肩をドア枠にぶつけてしまうのです。

② 足の裏からの情報不足と「姿勢のコントロール」の弱さ

平らな道で転んでしまう子に多い理由です。足の裏からの感覚(触覚)や、自分の足が今どんな角度になっているか(固有受容覚)を脳に伝えるスピードが少しゆっくりなため、歩いている途中で「あ、バランスが崩れた!」と気づくのが一瞬遅れます。
さらに、姿勢を立て直すための体幹(お腹や背中)の筋肉が弱いと、つまずいた瞬間に足がパッと前に出ず、そのまま顔や膝から崩れ落ちてしまうのです。

今日からおうちで即実践!「体の地図」を育てる実用アプローチ

「もっと気をつけて!」と口で何度も注意することは、地図を持たずに迷子になっている人に「ちゃんと道順を考えて!」と怒っているのと同じで、根本的な解決にはなりません。
今日から、以下の3つのアプローチで、脳に「自分の体の輪郭」を優しく教えてあげましょう。

1. 布団で「海苔巻き遊び」(強い圧で輪郭を教える)

体の地図をハッキリさせるには、皮膚や筋肉に「ギューッ」と強い圧力をかけるのが一番の近道です。
お布団や大きなバスタオルでお子さまをくるくると巻き、「海苔巻きの完成〜!ここが肩で、ここが足だね」と、体の各パーツを少し強めにトントンと叩いたり、ギュッと押したりしてあげてください。強い刺激が入ることで、脳が「ここが僕の(私の)体の境界線だ!」と気づきやすくなります。

2. くぐる・またぐ「忍者修行(アスレチック)」

空間と自分の体のサイズ感を掴むトレーニングです。
家の中の椅子や机の下を「頭をぶつけないようにくぐる」、クッションの山を「転ばないように大きく足を上げてまたぐ」といった遊びを取り入れてください。「この隙間を通るには、体をこれくらい小さくしないといけない」という経験を積むことで、距離感やボディスキーマが自然と鍛えられます。

3. よくぶつかる場所を「視覚化」する

体の感覚が育つまでの間は、目(視覚)からの情報でサポートしてあげることも大切です。
よくつまずく小さな段差や、ぶつかりやすい家具の角には、明るい色のマスキングテープやクッション材を貼って「ここにあるよ」と目立たせてあげてください。視覚的な手がかりがあるだけで、脳は危険を察知しやすくなります。

専門家(療育)に相談を考えてほしいサイン

成長とともに様々な運動を経験することで、ボディスキーマは少しずつ完成していきますが、以下のような状態が見られる場合は、大きな事故や怪我に繋がるリスクが高いため、専門的なアプローチが必要です。
転んだ時に手をつくこと(パラシュート反射)ができず、常に顔や頭から落ちて大怪我をしてしまう。
階段の昇り降りが極端に苦手で、足元をずっと見ながら一歩ずつしか進めない。
距離感が掴めないため、お友達のパーソナルスペースに近寄りすぎてしまい、対人トラブルになっている。
このようなときは、どうかご家庭だけで「気をつけさせよう」と抱え込まず、私たち専門家を頼ってください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士としての知見をフルに活かし、トランポリンやトンネルくぐり、平均台などのダイナミックな粗大運動を通して、お子さまの「自分の体への気づき(ボディスキーマ)」を楽しく育てていきます。体の根っこの感覚が統合されれば、驚くほど身のこなしがスムーズになり、転んだりぶつかったりすることは減っていくのです。
毎日、「また転んだ!」「またこぼした!」とヒヤヒヤしながら、お子さまの安全を見守り続けているお母さん、本当にお疲れ様です。
お子さまは決してふざけていたり不注意だったりするわけではなく、自分のぼやけた体の地図を頼りに、一生懸命に世界を探索している真っ最中なのです。
「うちの子のよく転ぶクセ、もしかして体の感覚が原因かも?」と思われた時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお気軽にご相談ください。専門家として、全力でお子さまと保護者様に寄り添い、お子さまが安全に、自信を持って動き回れる身体づくりを一緒に考えてまいります。

【求人のお知らせ】一緒に働く仲間を募集しています!

そして最後に、エコルドから大切なお知らせがございます。
おかげさまで、現在大変多くの利用者様にご愛顧いただいており、子どもたち一人ひとりとより深く、丁寧に向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集することとなりました。
私たちは、単に「預かる」場所ではなく、今日お話ししたような身体のメカニズムや脳科学のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。そのため、以下のような専門的な資格やバックグラウンドをお持ちの方の力を必要としています。

保育士・幼稚園教諭:子どもの発達段階を理解し、日常の遊びや関わりから成長を促せる方。
理学療法士(PT)・作業療法士(OT):姿勢や動き、粗大・微細運動の分析と、身体の根っこからのアプローチに強みをお持ちの方。
公認心理師・臨床心理士:子どもたちの心の動き、感覚統合の特性、そして保護者様への心理的サポートに専門性をお持ちの方。
大学または大学院で心理学を専修する学科・研究科を修了された方:心理学の知見を、実際の療育現場で活かし、探求したい方。

「まだ経験が浅くて不安……」という方も、ご安心ください。
エコルドでは、私のような理学療法士をはじめ、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の療育についてエビデンスを元にディスカッションし、共に学び合う文化があります。あなたの専門性を、子どもたちの「できた!」の笑顔に変える場所が、ここにあります。
また、現在上記の資格取得を目指して勉強中の学生の皆さん。
教科書で学ぶ理論が、実際の療育現場でどのように子どもたちの身体や心の変化に繋がるのか、その「生きた学び」を、エコルドで一緒に体感してみませんか?アルバイトやインターンシップからのスタートも大歓迎です。
子どもたちの無限の可能性を信じ、身体の土台から人生を豊かにするサポートをしたい。そんな熱い想いをお持ちのあなたと、一緒に働ける日を楽しみにしています。
求人の詳細やご応募、ご見学については随時受け付けております。

ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください。まずは見学だけ、という方も歓迎です!

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