こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
9月も後半に入り、心地よい秋風が吹くようになりましたね。公園遊びが楽しいこの季節、お友達と一緒に元気よく遊具で遊んでほしいのに、こんなお子さまの姿にもどかしさを感じていませんか?
「公園に行ってもずっと砂場に座り込んでいて、大きな遊具には絶対に近づかない」
「『楽しいよ!』とブランコに乗せようとした瞬間、この世の終わりのように泣き叫んでしがみついてくる」
「ちょっとした段差やすべり台でも、足がすくんでしまい一歩も動けなくなる」
周りの同年代の子たちがキャーキャーと楽しそうに走り回ったり、高いところへ登ったりしているのを見ると、「どうしてうちの子はこんなに臆病で怖がりなの?」「運動神経が悪いのかな」と、つい他の子と比べてため息をついてしまうお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
遊具を極端に怖がるのは、決して「性格が臆病」だからでも「運動神経が悪い」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「運動・感覚」のメカニズム、特に脳のセンサーが引き起こす「重力不安(じゅうりょくふあん)」という、お子さま自身もコントロールできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お子さまの脳で起きている「命の危機」
私たち大人からすると「ただの小さなブランコやすべり台」に見えますが、感覚が過敏なお子さまの脳内では、私たちが想像する以上に強烈な恐怖とエラーが起きています。
脳が「崖から落ちる!」と錯覚している(前庭覚の過敏)
耳の奥には、身体の傾きやスピード、重力を感じる「前庭覚(ぜんていかく)」というセンサーがあります。このセンサーが極端に過敏なお子さまにとって、ブランコの揺れやすべり台のスピードは、大人で例えるなら「パラシュートなしで突然スカイダイビングをさせられている」のと同じレベルの強烈な恐怖を引き起こします。決して大げさに泣いているのではなく、本当に命の危機を感じてパニックになっているのです。
「自分の身体を支えられる」という自信がない(固有受容覚の未熟さ)
足が地面から離れた時、「しっかりと手でロープを握れるか」「自分の姿勢を真っ直ぐ保てるか」という身体のコントロール(体幹や固有受容覚)が未熟な場合、脳は「足が離れたら絶対に落ちる!」と強烈な危険信号を出します。唯一の安全地帯である「地面」から足が離れることを、本能レベルで必死に拒絶している状態です。
今日からできる!「揺れ」や「高さ」への恐怖を優しく和らげる3つのヒント
「怖くないよ!一回だけやってみなさい!」と無理やりブランコに乗せることは、その恐怖をトラウマに変え、公園そのものを嫌いにさせてしまう逆効果になります。今日からご家庭でも試せる、安全な土台から感覚を育てていくアプローチをご紹介しますね。
1. まずは「足の裏が地面に着いた状態」で揺れを経験する
足が浮くのが怖いなら、足が着いた状態で揺れのセンサー(前庭覚)を育てます。おうちでバランスボールに座らせて、足の裏を床にピタッと着けたまま、お母さんが優しくボールを上下左右に揺らしてあげてください。「足が着いているから安全だ」という環境で揺れを経験することで、少しずつ脳の警戒アラームが下がっていきます。
2. 公園では「重労働」で安心感をチャージする
遊具を嫌がる時は無理に誘わず、砂場で「大きな穴を掘る」、公園の中で「重い荷物(ワゴンなど)を一緒に押す・引っ張る」といった重労働をさせてあげてください。関節や筋肉にズシッと強い圧(固有受容覚への刺激)がかかることで、フワフワとした恐怖感が落ち着き、「自分の身体はちゃんとここにある」という自信が育っていきます。
3. お母さんの「ギュッギュッ・ハグ」で境界線を作る
すべり台などの前に立って足がすくんでいる時は、背中側からお子さまを「ギュ〜ッ」と強くハグしてあげてください。身体の輪郭に強い圧をかけることで重力に対する不安が和らぎ、「お母さんがしっかり支えてくれている」という安心感から、スッと一歩を踏み出せる子がたくさんいます。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに身体の使い方が上手になり、少しずつ遊具を楽しめるようになっていくことは多いです。しかし、「重力への恐怖が強すぎて、日常の小さな段差や階段でも手すりにしがみつかないと降りられない」「自転車や三輪車にまたがることすら激しく拒絶する」「抱っこされる時も身体を硬直させてしがみつき、絶対に下を見ようとしない」といった場合は、日常生活の安全な移動にも支障が出てしまうため、ご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「運動・感覚」の土台からアプローチします。大きなトランポリンやハンモックなど、安全が確保された療育の環境で、お子さまが「揺れても大丈夫!」「自分でコントロールできた!」という小さな成功体験を積み重ね、重力不安を根っこから和らげるサポートを行っています。
周りの子と比べて焦ってしまいそうになる日もあると思いますが、お子さまは決して臆病なわけではなく、自分の未熟な感覚センサーと一生懸命に戦いながら、少しずつ世界を広げようとしている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。
9月も後半に入り、心地よい秋風が吹くようになりましたね。公園遊びが楽しいこの季節、お友達と一緒に元気よく遊具で遊んでほしいのに、こんなお子さまの姿にもどかしさを感じていませんか?
「公園に行ってもずっと砂場に座り込んでいて、大きな遊具には絶対に近づかない」
「『楽しいよ!』とブランコに乗せようとした瞬間、この世の終わりのように泣き叫んでしがみついてくる」
「ちょっとした段差やすべり台でも、足がすくんでしまい一歩も動けなくなる」
周りの同年代の子たちがキャーキャーと楽しそうに走り回ったり、高いところへ登ったりしているのを見ると、「どうしてうちの子はこんなに臆病で怖がりなの?」「運動神経が悪いのかな」と、つい他の子と比べてため息をついてしまうお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
遊具を極端に怖がるのは、決して「性格が臆病」だからでも「運動神経が悪い」からでもありません。
ここには、国が定める療育の5領域における「運動・感覚」のメカニズム、特に脳のセンサーが引き起こす「重力不安(じゅうりょくふあん)」という、お子さま自身もコントロールできない明確な理由が隠されているのです。
大人の目には見えない、お子さまの脳で起きている「命の危機」
私たち大人からすると「ただの小さなブランコやすべり台」に見えますが、感覚が過敏なお子さまの脳内では、私たちが想像する以上に強烈な恐怖とエラーが起きています。
脳が「崖から落ちる!」と錯覚している(前庭覚の過敏)
耳の奥には、身体の傾きやスピード、重力を感じる「前庭覚(ぜんていかく)」というセンサーがあります。このセンサーが極端に過敏なお子さまにとって、ブランコの揺れやすべり台のスピードは、大人で例えるなら「パラシュートなしで突然スカイダイビングをさせられている」のと同じレベルの強烈な恐怖を引き起こします。決して大げさに泣いているのではなく、本当に命の危機を感じてパニックになっているのです。
「自分の身体を支えられる」という自信がない(固有受容覚の未熟さ)
足が地面から離れた時、「しっかりと手でロープを握れるか」「自分の姿勢を真っ直ぐ保てるか」という身体のコントロール(体幹や固有受容覚)が未熟な場合、脳は「足が離れたら絶対に落ちる!」と強烈な危険信号を出します。唯一の安全地帯である「地面」から足が離れることを、本能レベルで必死に拒絶している状態です。
今日からできる!「揺れ」や「高さ」への恐怖を優しく和らげる3つのヒント
「怖くないよ!一回だけやってみなさい!」と無理やりブランコに乗せることは、その恐怖をトラウマに変え、公園そのものを嫌いにさせてしまう逆効果になります。今日からご家庭でも試せる、安全な土台から感覚を育てていくアプローチをご紹介しますね。
1. まずは「足の裏が地面に着いた状態」で揺れを経験する
足が浮くのが怖いなら、足が着いた状態で揺れのセンサー(前庭覚)を育てます。おうちでバランスボールに座らせて、足の裏を床にピタッと着けたまま、お母さんが優しくボールを上下左右に揺らしてあげてください。「足が着いているから安全だ」という環境で揺れを経験することで、少しずつ脳の警戒アラームが下がっていきます。
2. 公園では「重労働」で安心感をチャージする
遊具を嫌がる時は無理に誘わず、砂場で「大きな穴を掘る」、公園の中で「重い荷物(ワゴンなど)を一緒に押す・引っ張る」といった重労働をさせてあげてください。関節や筋肉にズシッと強い圧(固有受容覚への刺激)がかかることで、フワフワとした恐怖感が落ち着き、「自分の身体はちゃんとここにある」という自信が育っていきます。
3. お母さんの「ギュッギュッ・ハグ」で境界線を作る
すべり台などの前に立って足がすくんでいる時は、背中側からお子さまを「ギュ〜ッ」と強くハグしてあげてください。身体の輪郭に強い圧をかけることで重力に対する不安が和らぎ、「お母さんがしっかり支えてくれている」という安心感から、スッと一歩を踏み出せる子がたくさんいます。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに身体の使い方が上手になり、少しずつ遊具を楽しめるようになっていくことは多いです。しかし、「重力への恐怖が強すぎて、日常の小さな段差や階段でも手すりにしがみつかないと降りられない」「自転車や三輪車にまたがることすら激しく拒絶する」「抱っこされる時も身体を硬直させてしがみつき、絶対に下を見ようとしない」といった場合は、日常生活の安全な移動にも支障が出てしまうため、ご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「運動・感覚」の土台からアプローチします。大きなトランポリンやハンモックなど、安全が確保された療育の環境で、お子さまが「揺れても大丈夫!」「自分でコントロールできた!」という小さな成功体験を積み重ね、重力不安を根っこから和らげるサポートを行っています。
周りの子と比べて焦ってしまいそうになる日もあると思いますが、お子さまは決して臆病なわけではなく、自分の未熟な感覚センサーと一生懸命に戦いながら、少しずつ世界を広げようとしている真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。
【求人のお知らせ】地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。
私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。
保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)
「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。
学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範