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呼んでも無視・目が合わない…愛情不足ではなく

こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、児童指導員・理学療法士をしています、内山隆範です。

10月も半ばを過ぎ、秋晴れの空が気持ち良い季節になりましたね。しかし、お子さまと一緒に過ごすお部屋や公園で、お母さんの心に冷たいすきま風が吹くような、こんな孤独感に悩んでいませんか?

「『〇〇ちゃん!』と何度名前を呼んでも全く振り向かず、まるで耳が聞こえていないように無視される」
「お話ししようと顔を覗き込んでもプイッと視線をそらされ、全く目が合わない」
「公園に行ってもお友達や親には見向きもせず、ずっと一人で砂を落としたり、タイヤを回したりしている」
「私の声、届いていないの?」「もしかして、私って親として認識されていないのかな…」と、全く反応のないお子さまの小さな背中を見つめながら、愛情が空回りしているような悲しさと将来への不安に押しつぶされそうになっているお母さん。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。

しかし、日々子どもたちの身体と脳に向き合う理学療法士として、まず一番にお伝えさせてください。
お子さまが振り向かない、目が合わないのは、決して「お母さんへの愛情がない」からでも、「わざと無視して親を困らせようとしている」からでもありません。

ここには、国が定める療育の5領域における「人間関係・社会性」の土台となる、「運動・感覚」と「認知・行動」のメカニズムによる『脳の強烈なシングルタスクと感覚のシャットアウト』という、お子さま自身もどうにもできない明確な理由が隠されているのです。

大人の目には見えない、お子さまの脳で起きている「3つの情報処理の壁」

私たち大人からすると「自分の世界に閉じこもって、人を拒絶している」ように見えますが、発達の途中にあるお子さまの脳と身体の中では、私たちが想像する以上に過酷なエラーと情報処理が行われています。

脳が「一つのこと」しか処理できない(認知のシングルタスク)
ミニカーのタイヤを見つめている時、お子さまの脳は「視覚(見る)」というチャンネルに100%のエネルギーを注ぎ込んでいます。これを「過集中」と呼びます。脳の処理機能が未熟なため、「見ながら、聞く」というマルチタスクが物理的にできません。つまり、お母さんの声(聴覚)を無視しているのではなく、視覚に全集中しているため、聴覚のスイッチが完全に切れていて「本当に聞こえていない」状態なのです。
「目を合わせる」のは、脳にとって情報量が多すぎる(感覚過敏)
私たち大人にとって「目を合わせる」ことは愛情表現ですが、感覚が過敏なお子さまにとって、人の目や顔は「動き、瞬きし、表情が変わる」という強烈で膨大な情報(刺激)の塊です。目を合わせると情報過多で脳がパンクしてしまうため、無意識のうちに視線をそらして、一生懸命に自分の脳を守っているのです。
「振り向く」ための姿勢と感覚が育っていない(運動・感覚の未熟さ)
理学療法士としてお伝えしたいのが、身体の土台の問題です。呼ばれた方向へ「首を向ける」「視線を合わせる」には、自分の身体が空間のどこにあるか(固有受容覚)を把握し、頭の揺れ(前庭覚)をコントロールする力が必要です。この感覚が未熟だと、外界の人間に意識を向けるよりも前に、「自分の姿勢を保つこと」だけで精一杯になってしまい、結果として社会性(人への興味)が育ちにくくなってしまいます。

今日からできる!「人との繋がり」を身体から優しく育てる3つのヒント

「こっちを見なさい!お返事して!」と無理やり顔を覗き込むことは、パニックになりそうな脳にさらなるプレッシャーを与え、人との関わり自体を嫌いにさせてしまう逆効果になります。今日からご家庭でも試せる、身体の根っこから「人と関わる楽しさ」をサポートするアプローチをご紹介しますね。

1. 名前を呼ぶ前に「トントン、ギュッ」で脳のチャンネルを切り替える

遠くから声だけで呼ぶのはお休みしましょう。まずは横に行き、お子さまの肩や背中を「ギュ〜ッ」と触って(深圧覚の入力)から名前を呼んでみてください。身体にしっかりと触れられることで、脳のチャンネルが「視覚(おもちゃ)」から「触覚・聴覚(お母さん)」へと強制的に切り替わり、声が届くようになります。

2. 無理に目を合わせず「同じ方向」を見る(共同注視)

目が合いにくい子には、対面で座るのではなく「横に並んで」座ってあげてください。そして、お子さまが見ているおもちゃを一緒に見つめ、「タイヤ、クルクル回ってるね」と優しく実況中継をします。目を合わせなくても「同じものを見て、同じ空間を共有している」という安心感が、人間関係・社会性の確かな第一歩になります。

3. 「高い高い」や「毛布ブランコ」で視線を引き出す

言葉でのやり取りが難しい時は、ダイナミックな「身体遊び(運動)」を使います。お母さんが「高い高い」をして空中でピタッと止まったり、毛布に乗せて揺らしたりすると、揺れのセンサー(前庭覚)に強い刺激が入ります。すると脳がシャキッと覚醒し、「もっとやって!」「次はどうなるの?」と、自然とお母さんの顔を見て期待する(アイコンタクトの)瞬間が生まれます。

ご家庭だけで抱え込まず、私たちを頼ってください
成長とともに複数の感覚を同時に処理できるようになり、少しずつ周囲への興味が広がっていくことは多いです。しかし、「聴力検査では異常がないのに、耳元で大きな音を立てても名前を呼んでも一切反応しない」「親が指をさした方向(あ、飛行機だよ等)を全く見ようとせず、興味を共有する姿が見られない」「お友達に興味がないだけでなく、お友達を『物』のように踏んで歩いたり道具として扱ったりしてしまう」といった場合は、集団生活での孤立に直結してしまうため、どうかご家庭だけで抱え込まず専門家にご相談ください。

エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士の知見を活かし、5領域の「人間関係・社会性」を育むために、その土台である「運動・感覚」からアプローチします。まずはスタッフとの体を使ったダイナミックな遊び(アスレチックやトランポリン)を通して「人と遊ぶと、自分の身体が楽しい!」という感覚をたっぷり味わわせることで、自然と他者への興味やアイコンタクトを根っこから育てるサポートを行っています。

「また無視されちゃった…」と、反応のない我が子の背中を見つめながら一人涙をこらえているお母さん、本当にお疲れ様です。お子さまは決してあなたを嫌いなわけではなく、自分の中の強烈な集中力や情報過多な世界と戦いながら、精一杯その場に存在している真っ最中なのです。いつでも町の身近な専門家として、私たちにご相談くださいね。

【求人のお知らせ】
地域の子どもたちを一緒に支える仲間を募集しています!

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
エコルドでは現在、地域の子どもたち一人ひとりとより深く向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集しています。 

私たちは単に子どもを「預かる」のではなく、今日お話ししたような「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。だからこそ、様々な専門性を持つ方の力が必要です。

保育士・幼稚園教諭の方
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の方
公認心理師・臨床心理士の方
心理学を学ばれた方(大学・大学院)

「資格はあるけれど経験が浅くて不安…」という方もご安心ください。エコルドでは、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の支援について温かく話し合い、共に学び合う文化があります。
地域と手を取り合いながら、子どもたちの「できた!」の笑顔を増やすお手伝いがしたい。そんな想いを持ったあなたと働ける日を楽しみにしています。

学生さんのアルバイトやインターンシップからのスタート、見学だけでも大歓迎ですので、ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください!

療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
児童指導員・理学療法士 内山 隆範
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