「うちの子、ちょっと不器用?」と感じたら。
運動発達の土台となる『5つの感覚』のお話
「何もないところでよく転ぶ」
「ハサミやクレヨンがうまく使えない」
「姿勢が崩れやすい」
お子さんの様子を見ていて、そんな「体の使い方のぎこちなさ」が気になることはありませんか。
実は、運動の発達を支えるのは「筋力」だけではありません。その土台には、脳で情報を整理する「感覚統合」という大切な仕組みがあります。
今回は、不器用さや発達の遅れの背景にある「5つの感覚」について解説します。
過去にもブログにて何度かお話ししておりますので、そちらもご参照ください。
1. 運動発達の鍵は「感覚統合」にある
「不器用だから筋トレをさせよう」と考える方も多いですが、実は筋力不足が原因ではないことも多いのです。
大切なのは、外からの刺激を脳で正しく処理する「感覚統合」です。
脳が感覚をうまく整理できていないと、自分の体が今どうなっているのか(ボディイメージ)がわからず、結果として動きがぎこちなくなってしまいます。
2. チェックしておきたい「5つの感覚」
運動発達を見る上で、特に重要な感覚が5つあります。
• 視覚(みる): ただ「見えている」だけでなく、動くものを追ったり、形を捉えたりする力です。
• 聴覚(きく): 耳からの情報をキャッチする力です。
• 触覚(さわる): 触れた時のベタベタ・ザラザラした感じや、温度、痛みなどを感じる力です。
• 前庭覚(ぜんていかく): 回転や揺れ、スピードを感じる「平衡感覚」です。ブランコや回転遊具で育まれます。
• 固有覚(こゆうかく): 「深部感覚」とも呼ばれます。目で見なくても「肘がこれくらい曲がっているな」と自分の体の位置や力加減がわかる感覚です。
3. 「固有覚」と「ボディイメージ」の関係
例えば、何もないところで転んでしまうお子さんの場合、この「固有覚」がうまく育っていない可能性があります。
自分の手足がどこまであるのか、脳の中の地図(ボディイメージ)が曖昧なため、障害物を避けられなかったりするのです。
この場合、筋トレをするよりも、まずは「自分の体を意識する遊び」を通して、感覚を底上げしてあげることが近道になります。
4. 日常でできる「感覚を育てる遊び」
感覚は、特別な訓練ではなく「遊び」の中でバランスよく育ちます。
• ボール遊び: 転がってくるボールを最後まで目で追い(視覚)、タイミングを合わせて止める(固有覚)ことで、複数の感覚を同時に使います。
• お出かけ中の工夫: 走っている電車や看板の文字をじーっと追うのも、目のコントロール(視覚)の良い練習になります。
• 全身を使った遊び: 公園の遊具で揺れたり(前庭覚)、砂場で遊んだり(触覚)することは、感覚を統合する最高の学び場です。
お子さんの「苦手」の裏側には、まだ成長の途中にある「感覚」が隠れているかもしれません。
まずはどの感覚が弱そうかな?
と観察することから始めてみませんか。
一つひとつの感覚を遊びを通して整えていくことで、お子さんの「できた!」という自信に繋がっていきます。
療育センターエコルド はぐみのおうち
理学療法士 内山明奈