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「爪噛み」や「服の袖を噛む」クセについて

こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、理学療法士 内山隆範です。

6月も半ばを過ぎ、いよいよ本格的な梅雨空が続くようになってきました。

低気圧やジメジメとした空気のせいか、子どもたちもどこか落ち着かなかったり、おうちで過ごす時間が長くなってイライラが溜まりやすい時期です。
そんな日常の中で、お母さん、お父さんから最近よくいただく「あるお悩み」があります。

「気づくと、いつも爪を噛んだり指をしゃぶったりしている」
「着ている服の袖や、お気に入りのおもちゃをガリガリ噛んで、ベタベタにしてしまう」
「やめさせようと注意しても、怒ると余計に隠れて噛むようになってしまって…」

実は、日々の療育の現場でも、そして我が家の子育て(我が子も何かしら口に入れている時期がありました!)の中でも、この「口にモノを入れて噛むクセ」は本当によく目にする光景です。

爪がボロボロになるまで噛んでいたり、服の襟元がヨレヨレになるまで吸っていたりする姿を見ると、親としては「みっともないからやめさせなきゃ」と焦りますよね。周囲から「愛情不足なんじゃない?」とか「何か強いストレスを抱えているのでは?」なんて言われてしまうと、「私の関わり方が悪いのかな……」と、胸を痛めて自分を責めてしまうお母さんのお気持ち、本当に本当によく分かります。

「めっ!噛まないの!」
そう言って子どもの手を口から離しても、1分後にはまた無意識に噛んでいる。そんな我が子を見てため息をついていませんか?
理学療法士として、そして同じ子育てに奮闘する親として、まず一番にお伝えさせてください。

お子さまがモノを噛むのは、決して「愛情不足」や「単なるわがままな癖」ではありません。
これには、脳の感覚の欲求を満たそうとする、明確なエビデンス(医学的根拠)が存在します。無理にやめさせようとしても、なかなか直らないのには理由があるのです。

なぜ、いろいろなモノを「噛んで」しまうのか?2つの医学的理由

大人の目には「直すべき悪い癖」に見えますが、お子さまの脳と身体にとっては、「自分を落ち着かせるための大切な自己防衛」です。

① 口の中の感覚の欲求が強い(固有受容覚・触覚の未満たし)

口の周りや口の中(唇、舌、歯茎、顎の関節)は、全身の中でも特に感覚センサーが敏感に集まっている場所です。
発達に凸凹のあるお子さまの中には、この口の周りで感じる「噛む・吸う」という感覚(固有受容覚や触覚)の欲求が、人一倍強い子がいます。
顎をしっかりと動かしてモノを噛むことで、脳に心地よい刺激を送り、**「足りない感覚を必死にチャージして、自分の脳をスッキリと覚醒させよう」**としているのです。

② 不安や興奮を静めるための「心のブレーキ」(自己調整機能)

梅雨時期の気圧の変化や、園や学校での集団生活による疲れなど、子どもたちは言葉にできないストレスや不安を常に感じています。
脳が「不安だな」「イライラするな」とパニックになりそうになったとき、何かを噛んで顎に強い圧迫刺激を入れることで、自律神経の興奮を鎮め、自分の心を必死に「安心モード」にリセットしようとしています。赤ちゃんが指を吸って安心するのと同じ、脳の仕組みによる行動なのです。

今日からおうちで即実践!口の寂しさを正しく満たす実用アプローチ

「噛んじゃダメ!」と力ずくで止めたり、叱ったりすることは、お子さまから「心を落ち着かせる唯一のブレーキ」を奪ってしまうことになるため、不安が余計に強くなって逆効果になります。

叱るのを一度お休みして、今日からおうちで以下の3つのアプローチを試してみてください。

アプローチ1:噛みごたえのある「食事・おやつ」を提案する

口の感覚を満たすために、普段の食事やおやつに「しっかり噛むメニュー」を意識して取り入れてみてください。
グミや干し芋、スルメ、大きめに切った根菜類など、顎の筋肉をしっかり使って「ガリガリ」「モグモグ」と噛む食品をあえて用意します。おやつタイムに口のセンサーをたっぷり満足させてあげることで、普段の爪噛みや服を噛む頻度が自然と減っていくエビデンスがあります。

アプローチ2:代わりの「噛んでもいい安全なモノ」を用意する

爪や服を噛むと、衛生面や怪我が心配ですよね。それなら、「噛んじゃダメ」ではなく「こっちならいくら噛んでもいいよ」と代替品を渡してあげましょう。
シリコン製の歯固めや、ネックレスのようにつけられる医療用のチューイングトイ(カミカミおもちゃ)が市販されています。「服はバイバイだけど、これをカミカミしようね」と伝えることで、お子さまも否定されたと感じず、安心して感覚を満たすことができます。

アプローチ3:遊びの中で「口周りの筋肉」をしっかり使う

食事以外の時間で、シャボン玉を力いっぱい吹く、ストローを使ってコップの水でブクブク泡立て遊びをする、風車を回すなど、「口の形を意識して息を強く吐き出す遊び」をしてみてください。

こうして遊びの中で口周り(口腔機能)に正しい刺激を入れてあげると、脳の感覚が整理され、無意識の爪噛みが出にくくなります。

専門家(療育)に相談を考えてほしいサイン
多くの場合は、感覚が満たされたり成長とともに心が安定してきたりすると自然に減っていきますが、以下のような状態が見られる場合は、専門的なアプローチが必要です。

爪を噛みすぎて深爪になり、日常的に出血していたり、指の皮がめくれて炎症を起こして痛がっている。

お友達のものや、園の設備(机や鉛筆など)まで手当たり次第に噛んでしまい、集団生活でトラブルになっている。

噛む行為を注意されると、激しい癇癪を起こしたり、自分の頭を叩くなどの自傷行為に発展してしまう。

このようなときは、ご家庭だけで抱え込まず、私たち専門家を頼ってください。
エコルドはぐみのおうちでは、私の理学療法士としての知見を活かし、ただ「噛むのをやめさせる」のではなく、お子さまの脳のストレスや感覚の凸凹に寄り添ったプログラムを行っています。
実は、重いブロックを運ぶ、トランポリンで跳ぶ、スタッフと力比べをするなど、「全身の筋肉や関節をダイナミックに使う運動(粗大運動)」を行うと、脳の感覚が総合的に満たされ、口元に集中していた過剰な欲求がスッと落ち着くという大きな効果があります。身体の根っこからアプローチすることで、無理なく行動が切り替わっていきます。

焦らなくて大丈夫。その「カミカミ」はお子さまのSOSです

我が子が爪を噛んでいたり、服をボロボロにしている姿を毎日見ていると、お母さん自身も心がすり減ってしまいますよね。「私の愛情が足りないの?」なんて、絶対に自分を責めないでください。私も親ですから、我が子の気になるクセに「どうして直らないの?」と焦ってしまう気持ちは本当によく分かります。

でも、お子さまは決して悪いことをしているわけではなく、自分の脳と心のバランスを一生懸命保とうとして、その不器用な方法をとっているのです。
焦って無理にやめさせるのではなく、まずは「今、心が不安なのかな?」「感覚を満たしたいのかな?」と優しく見守りながら、一緒に安心できる環境を作っていきましょう。

「この爪噛み、どう対応してあげたらいい?」と迷われた時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお気軽にご相談ください。専門家として、そして同じ子育ての伴走者として、全力でお子さまと保護者様に寄り添わせていただきます。

ご相談、ご見学は随時受け付けております。
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療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
理学療法士 内山 隆範
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