知的障害(知的発達症)は遺伝する可能性があるの?きょうだい、父親、母親との関係は?【専門家監修】
ライター:発達障害のキホン
きょうだいで知的障害(知的発達症)があったり、知的障害(知的発達症)のある家族が多い家系もありますが、親から子へ知的障害(知的発達症)に遺伝する可能性はあるのでしょうか?今回は知的障害(知的発達症)の原因や遺伝、検査方法などとあわせてご紹介します。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
知的障害(知的発達症)の原因は?
知的障害とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します。単に物事を理解し考えるといった知的機能(IQ)の低下だけではなく、社会生活に関わる適応機能にも障害があることで、自立して生活していくことが困難になります。
知的障害は発達期の間に発症すると定義され、後天的な事故や認知症などの病気で知能が低下した場合は含みません。この発達期とはおおむね18歳までを指しますが、知的障害は障害の状態を指すため、障害が現れる道筋は人によってさまざまで、具体的な発現時期も人により異なります。
知的障害の原因は十分には解明されていない状況ですが、主な要因は病理的要因・生理的要因・環境要因の3つの面から分類できると考えられています。
病理的要因は、病気や外傷など脳障害をきたす疾患で、これらの合併症として知的障害が一緒に起きることがあります。この中にはてんかんや脳性まひなどのほか、ダウン症などの染色体異常による疾病も含まれます。
一方、特に疾病などがなくたまたま知能水準が知的障害の範囲内にあるといった場合、生理的要因と呼ばれます。
環境要因は、直接の原因となるわけではありませんが、脳が発達する時期に不適切な環境であることで知的障害の症状が悪化したり、脳の発達が遅れる原因になったりすると言われています。
上記のように知的障害の原因は一つではなくさまざまな要因が考えられますが、人によってもさまざまです。脳障害を引き起こす疾患や要因すべてが知的障害の原因となりうると考えられ、また知的障害を発症する道筋も人によります。
知的障害は発達期の間に発症すると定義され、後天的な事故や認知症などの病気で知能が低下した場合は含みません。この発達期とはおおむね18歳までを指しますが、知的障害は障害の状態を指すため、障害が現れる道筋は人によってさまざまで、具体的な発現時期も人により異なります。
知的障害の原因は十分には解明されていない状況ですが、主な要因は病理的要因・生理的要因・環境要因の3つの面から分類できると考えられています。
病理的要因は、病気や外傷など脳障害をきたす疾患で、これらの合併症として知的障害が一緒に起きることがあります。この中にはてんかんや脳性まひなどのほか、ダウン症などの染色体異常による疾病も含まれます。
一方、特に疾病などがなくたまたま知能水準が知的障害の範囲内にあるといった場合、生理的要因と呼ばれます。
環境要因は、直接の原因となるわけではありませんが、脳が発達する時期に不適切な環境であることで知的障害の症状が悪化したり、脳の発達が遅れる原因になったりすると言われています。
上記のように知的障害の原因は一つではなくさまざまな要因が考えられますが、人によってもさまざまです。脳障害を引き起こす疾患や要因すべてが知的障害の原因となりうると考えられ、また知的障害を発症する道筋も人によります。
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知的障害(知的発達症)を引き起こす遺伝的要因はあるの?
知的障害を引き起こす病理的要因の中には、遺伝的要因による遺伝子や染色体の異常による疾患もあります。
染色体異常が原因のダウン症や、遺伝的要因と環境要因の相互影響によって発現すると言われているASD(自閉スペクトラム症)の人の中には、知的障害(知的発達症)が併存する場合も少なくありません。
近年、遺伝子研究が進み、2006年には脆弱X症候群(FXS)と呼ばれる遺伝性の知的障害があることがわかりました。2014年には知的障害の原因となる遺伝子変異についての研究結果も発表されました。
しかしながら、知的障害の原因は遺伝的要因以外のものも数多くあります。また、遺伝のメカニズムは複雑で、遺伝的要因といわれる上記のような疾患でも、必ずしも知的障害を発症するとは限らないのです。また遺伝的要因の中には突然の遺伝子変異によるものがほとんどであるという研究もあります。
染色体異常が原因のダウン症や、遺伝的要因と環境要因の相互影響によって発現すると言われているASD(自閉スペクトラム症)の人の中には、知的障害(知的発達症)が併存する場合も少なくありません。
近年、遺伝子研究が進み、2006年には脆弱X症候群(FXS)と呼ばれる遺伝性の知的障害があることがわかりました。2014年には知的障害の原因となる遺伝子変異についての研究結果も発表されました。
しかしながら、知的障害の原因は遺伝的要因以外のものも数多くあります。また、遺伝のメカニズムは複雑で、遺伝的要因といわれる上記のような疾患でも、必ずしも知的障害を発症するとは限らないのです。また遺伝的要因の中には突然の遺伝子変異によるものがほとんどであるという研究もあります。
知的障害(知的発達症)は親から子どもへ遺伝するの?確率は?
知的障害(知的発達症)の要因の中には、まれに親から子に遺伝するメンデル型遺伝疾患と呼ばれるタイプの疾患もあります。たとえば、脆弱X症候群はX染色体上の一遺伝子の突然変異によって起こります。その突然変異による遺伝情報は親から子どもへと何代も受け継がれると言われています。
しかしながら、知的障害(知的発達症)にはさまざまな要因があり、遺伝だけが全てではありません。親から子どもへ遺伝するかどうかという確率に関しても今のところ確かなデータがありません。
遺伝子は父親や母親、祖父母などから引き継がれるものもあれば、突然変異によって生じるものもあります。親や家族に知的障害(知的発達症)があるからといって必ずしも遺伝するとは限りません。実際に知的障害(知的発達症)のある両親から障害のない子どもが産まれるケースや、知的障害(知的発達症)のない両親から障害のある子どもが産まれるケースも報告されています。前述の脆弱X症候群に関しても遺伝情報の保因者であっても知的障害(知的発達症)を発症しない場合もあるのです。
そのため、遺伝の確率が高い・低いにかかわらず、知的障害(知的発達症)を発症する可能性はどの家族でも十分にあると言えるでしょう。
しかしながら、知的障害(知的発達症)にはさまざまな要因があり、遺伝だけが全てではありません。親から子どもへ遺伝するかどうかという確率に関しても今のところ確かなデータがありません。
遺伝子は父親や母親、祖父母などから引き継がれるものもあれば、突然変異によって生じるものもあります。親や家族に知的障害(知的発達症)があるからといって必ずしも遺伝するとは限りません。実際に知的障害(知的発達症)のある両親から障害のない子どもが産まれるケースや、知的障害(知的発達症)のない両親から障害のある子どもが産まれるケースも報告されています。前述の脆弱X症候群に関しても遺伝情報の保因者であっても知的障害(知的発達症)を発症しない場合もあるのです。
そのため、遺伝の確率が高い・低いにかかわらず、知的障害(知的発達症)を発症する可能性はどの家族でも十分にあると言えるでしょう。
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きょうだいで知的障害(知的発達症)になる確率は?
知的障害(知的発達症)と言ってもさまざまなレベル、合併症などがあるため、きょうだいで知的障害(知的発達症)になる確率に関しても今のところ十分には解明されていません。きょうだいで知的障害(知的発達症)になる家族もいれば、知的障害(知的発達症)のあるのが兄姉だけ・弟妹だけという家族もいますし、親が知的障害(知的発達症)であっても知的障害(知的発達症)のない子どもが産まれる家族もいます。
上記でお伝えした遺伝性の脆弱X症候群(FXS)のように遺伝性の疾患もあるため、必ずしもきょうだいそろって遺伝しないとは言い切れません。しかしながら、生まれたその人に知的障害(知的発達症)が発現するかどうかは、分からないのです。
上記でお伝えした遺伝性の脆弱X症候群(FXS)のように遺伝性の疾患もあるため、必ずしもきょうだいそろって遺伝しないとは言い切れません。しかしながら、生まれたその人に知的障害(知的発達症)が発現するかどうかは、分からないのです。