アスペルガー症候群は遺伝する?確率や原因、きょうだいとの関係【専門家監修】
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)が遺伝する可能性はあるのでしょうか。実はアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)は原因もまだ解明されておらず、遺伝に関する明確な根拠はないのです。ですが、少しずつ遺伝や要因についても研究が進んでいます。今回は現在分かっている段階での、遺伝の確率と家族間の関係についてみていきましょう。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)は親から子どもへ遺伝するの?確率は?
この記事で分かること
- アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)と遺伝の関連性
- アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の原因
- きょうだい間での発現確率や遺伝的な影響
- 男女による特性の現れ方や診断数の違いとその理由
- 出生前診断で分からない理由と、現在の検査・診断方法
ただし、成人の方のなかには、旧診断名の「アスペルガー症候群」で診断された方も多いため、本記事では「アスペルガー症候群」の名称を使用します。
ASD(自閉スペクトラム症)の遺伝的な要因については、医学的な根拠は現在も研究中であり、現段階では親からの遺伝が原因となって発現する可能性を確率によって明確に表すことはできませんが、ゼロであるとは言い切れないと考えられています。
これらのことから遺伝子要因が有力視され、いくつかの関連遺伝子も報告されていますが、明確な原因は解明されていません。また、単純に親から子に遺伝するわけではなく、両親の年齢やさまざまな環境要因が複雑に絡み合って現れると考えられています。
つまり先天的な遺伝子要因に何らかの要因が重なったとき、脳機能に障害が起こると考えられています。その際に両親の遺伝子配列が要因のうちの一部となっていることもありますが、それはアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症))に限らず、すべての病気や障害に言えることです。よって、親に「アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)」があるからといって、子どもにも100%遺伝するとは限らないのです。
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の原因は何?
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の症状から問題行動やトラブルになってしまうこともあり、トラブルを防ぐための環境調整や工夫、周囲の理解が必要になりますが、親のしつけや愛情が足りないことが原因ではないのです。
きょうだい(兄弟・兄妹・姉妹・姉弟)でアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)がある確率は?
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)のみを対象とした研究ではありませんが、先ほど引用したASD(自閉スペクトラム症)における双生児研究の結果でも、遺伝子配列が同じ一卵性双生児間でも一致率は50~80%であり、必ず発現するものではないことがわかります。
症状のある家系とない家系を比べると、症状のある家系の方がきょうだいでアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)を発現する確率が高くなるという調査結果もあり、アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の原因として遺伝的な影響が指摘されています。ですが、きょうだい全員が必ずアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)を受け継ぐということはないのです。
以上のことから、きょうだい共にアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)のある傾向はあるとは言えますが、例えばお兄ちゃんにアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)があるからといって、必ずしも弟/妹が同様になるとはかぎりません。研究によって数値が違うことは、アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)を引き起こす原因が一つではなく、そのほかにもさまざまな要因が相互にかつ複雑に影響することを示しているとも言えるでしょう。
【専門家監修】過集中とは?ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)との関連、声かけ無視への対策
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)は男女で発現率が違う?
近年、女性のアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の研究なども盛んになり、特性の現れ方に性差があることも分かってきました。女児は男児と比較するとコミュニケーション能力が育ちやすいため、幼いころはアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の特徴が現れにくく、見過ごされてしまうことがあります。言動や普段の生活態度からアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の診断を下すため、女性の場合、アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)がありながらもまだ診断を得られていない人もいると考えられるのです。そのため、実際は男女の発現率の差はもっと少ないとする説もあります。
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)を検査する方法はあるの?
同症候群を検査・診断する場合は、ある程度子どもが成長し、症状や特徴が現れてからとなります。成長に合わせてスクリーニングテストや心理検査、遊び方、話し方など複数の検査・観察を組み合わせて何度か面談を繰り返し、それらの情報から総合的に診断します。
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)はまだまだ原因が解明されていません
早めにその特性に気づき理解し、一人ひとりに合った療育やサポート、トレーニングを受けることで、本人が生きやすいように症状を改善したり、過ごしやすい環境を用意することが可能です。
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)については、データ解析や研究も引き続き行われています。何らかの関連がある遺伝子の特定も進められつつあります。原因が解明されるようになれば、さらに理解が深まるようになったり、将来的には治療法や検査法が見つかるかもしれません。
話し始めると、一方的にたくさんしゃべり続けてしまう…そんなときの工夫は?
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)とは?特徴と相談先【専門家監修】
アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)の治療や療育【専門家監修】
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもへの接し方は?子育ての困難と対処法、ペアトレ・レスパイトの活用まで【専門家監修】
【専門家監修】ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの0歳~6歳、小学生、思春期まで年齢別の特徴、診断や治療、支援、接し方など
自閉症息子、発達検査の度に大暴れ!「受ける意味ある?」と思っていたけれど… 6歳の発達検査で気づいた「検査の意義」
カサンドラ症候群とは?ASDのある家族との関係性、症状や原因についてイラストつきで解説【専門家監修】
子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪を起こす原因や発達障害との関連は?しんどいときの対応方法、相談先まとめ【専門家監修】
大人の癇癪(かんしゃく)とは?感情のコントロールができない…発達障害との関連は?【専門家監修】