我が子の障害者手帳、取得した方がいい?それとも・・・

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障害者手帳は3歳から取れます。でもまだ、普通の子なのかグレーゾーンなのかわからない我が子に対して、幼い頃から“障がい者である”枠をはめることで、「子どもの将来の可能性の芽を摘んでしまうのではないか」と迷うママも多いのではないでしょうか。

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手帳に限らず、それぞれの家庭の方針といういうのは、あるものです。
“SNSに写真顔出しOK、NG”、“我が子の障害を公開するかしないか”、“普通級に無理してでも入れるか、特別支援学級を選ぶか”、など様々。

当然、手帳に関しても色んな考えがあります。

今日は『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子がで3歳で手帳をとった息子のことをお話ししたいと思います。

「手帳」の取得に踏み切ったキッカケ

息子は現在15歳の知的障害を伴う自閉症です。

幼児期のころは、落ち着きがないなと感じていたものの、知能が普通なのか遅れているかはっきりとはわからず、私も「他の子とは明らかに行動パターンは異なる。なんだか怪しいけれども実際のところどうなんだろう?」と思っていました。

当時はまだ“アスペルガー症候群”という言葉もあまり知られていない時代でしたので、情報が限られていました。

そんなとき“自閉症協会の親の会”の存在を知り定例会に出かけました。
そこで、20歳になった自閉症の子どもを育てている先輩ママからアドバイスが次のようにありました。
「手帳を出来るだけ早く取りなさい。児童相談所で取れるから予約しなさい。予約しても検査は半年1年先になるから早く行動しなさい」と。
それに従い児童相談所の予約をしました。

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無事取得は出来たものの…

素人ながら「手帳が出るかは微妙かな」と思っていたのですが、まさかの中度の判定がおりました。
「軽度ではなく中度なの、そんなに劣っているの・・・」と手帳を取得するために行ったのにも関わらず、正直ショックで帰り道に歩きながら少し泣いてしまいました。

使うのに抵抗があった時期も。

それから手帳を携帯するようになるのですが、愛の手帳を見せて電車やバスに乗るのは凄く抵抗がありました。
「あの人の子ども障害があるんだあ」と周りから見られているような気がしたからです。親の見栄というよりも「こんな子に産んでしまってごめんね」と息子に申し訳ない気持ちになり切なく、情けなかったからです。

父(息子の祖父)の前でこれを使ったら「みっともないからそんなの出すな!」と怒鳴られたこともありました。

でも、段々とそんな気持ちは薄れてきました。実際、手帳を使うデメリットが一切なかったのです。あるとしたら私の気持ちの問題だけでした。

地域によって、手帳を提示することで受けられるサポートは違いますが、このようなメリットがありました。

●扶養家族に障碍者がいることで税の控除がある。
●電車賃が母子とも安くなる。
●博物館など無料
●ディズニーランドで“ゲストアシスタントカード”をもらい、列で待たないでアトラクションに乗れる。
●タクシーが一割引き
●ヘルパー利用時の自己負担額が一割

手帳だけじゃない「愛のワッペン」との出会い

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自閉症や発達障害は、見た目でわかる障害ではありません。
むしろ“利発な子”の風貌をしていたりします。

電車で奇声を発し、ウロウロすると見知らぬおやじから「あんた母親だろ!もっとちゃんと躾けろよ!」と怒鳴られ、凄く自分が傷ついていました。手帳を取ることができて“障害があること”が証明されても、それだけでは不十分だったのです。
周りに理解してもらうには手帳をカバンに入れっぱなしだと誰も気が付いてはくれないのです。

ところが「愛のワッペン」を取り寄せ、それを洋服に付けて外出しはじめた途端、周りが変わりました。ワッペンを見て、「そうか、あの子は障害があるんだな」と理解してくれるようになったのです。
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例えば、スーパー。
当時は多動性がひどく買い物もまともに出来ませんでした。
入り口から脱走し道路に飛び出したり、納豆パック売り場や牛乳コーナーで少しでもずれていると不快らしくそれを整然と並べようとしていじります。(「あらあら、僕、私の仕事を少なくしてくれて助かるわ」なんて言ってくれるパートのおばさんもいました。これは救われました。)
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その中で一番困ったのはカゴでした。
お客さんが使いやすいように整えてあるカゴ。息子はそれを高く積み上げなければ気が済まない様子でした。

そのこだわりは6年生まで続き、2メートル近くまで積み上げることもありました。困ったスーパーの店員の中には、息子に声を荒げる人もいました。

それも、「愛のワッペン」を付けた後は、一変。
脱走したときも店員さんが連れ戻してくれるようになりました。カゴについても、うるさく叱られません。私は神経を張り詰めて買い物する状態からは解放されました。
スーパーの朝礼で「こういう子だから、頭ごなしに叱らないように」とお達しがあったようです。

今は東京都でSOSカードというものがあり、これをぶら下げています。
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障害を隠さずに暮らすこと

タレントの菊池桃子さんが現在14歳になるお嬢様の障がいをカミングアウトしました。その言葉です。

「芸能人はイメージが大事なので、隠さなきゃ」と考えていたが、「娘が一生懸命生きている姿を見たら、隠していることが同じ人間として娘に失礼に思えて」

出典:http://www.oricon.co.jp/news/2063940/full/
また、『五体不満足』の著者である乙武洋匡さんは、著書『自分を愛する力』の中でこう書いています。

"母は近所を出歩くときには義足や義手をつけることをしなかった。あえて“むき出し”の状態にしておき近所の目に触れるようにしていたのだ。
母は「やっぱり私達家族が暮らしていく上で、近所の人たちの理解や協力は欠かせないだろうなと思ったの。そのためにも、なるべく早い段階であなたを見てもらって“うちにこういう子が生まれました。どうぞよろしくお願いします”と紹介しておいた方がいいと思って」"


こうして、子どもを支えてくれる応援団を周りに作っていったお母さんでした。
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最後に

普通である事を求められ、才能も強みもあるのに「みんなと同じようにできなくてはならない」とバードルを押し付けていたら、やがて子どもは潰れてしまいます。

障害特性への理解を得られてこそ、その子らしく自由に伸び伸びと暮らしていける、それがその子の可能性を伸ばしていくことに繋がるのではないかと私は思います。

「レッテルを貼られたくない」「色眼鏡で見られたくない」という不安や心配から公表しないことを選ぶ人もいます。ママ自身は手帳の取得に積極的でも、家族や親戚が「我が家の恥だから公表すべきではない」など理解を示してもらえず、苦しむ場合もあります。これはとても不幸なことだと思います。
まず“子ども本人にとってどうすれば幸せになるのか”に視点を当てて、家族で話し合えることを願います。

愛のワッペンやSOSカードをぶら下げて外出することには人目を気にして抵抗はあっても、手帳はカバンの中にあれば誰も見ないわけですし、たくさんのメリットもありますから取得しておいた方がよいと私は思います。

この記事を書いた人の著書

立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方
立石美津子(著),市川宏伸(監修)
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