ASD(自閉スペクトラム症)が遺伝する確率は?【専門家監修】
ライター:発達障害のキホン
ASD(自閉スペクトラム症)は遺伝的な要因の関与があるのではないかといわれていますが、その遺伝子は、医学的に明確に特定されている訳ではありません。今回はASD(自閉スペクトラム症)の遺伝ときょうだいとの関連性についてお伝えしたいと思います。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ASD(自閉スペクトラム症)とは?
ASD(自閉スペクトラム症)の特徴
ASD(自閉スペクトラム症)は、ほかの人との気持ちの共有や会話のやりとりが難しい、表情から気持ちが読み取れないなどの「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」および常同的な行動や、活動が切り替えられなかったり同じ行動を反復したりするなどの「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いといわれていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。
ASD(自閉スペクトラム症)とは?専門機関や診断基準を解説【専門家監修】
ASD(自閉スペクトラム症)の原因
さまざまな議論が交わされていますが、ASD(自閉スペクトラム症)の原因はいまだ特定されていません。
しかし、何らかの生まれつきの脳機能障害であると考えられており、しつけや愛情不足といった親の育て方が直接の原因ではないことが分かっています。
脳機能障害を引き起こすメカニズムとして、遺伝的な要因が原因の一部であると推測されています。何らかの先天的な遺伝要因にさまざまな環境的な要因が重なり、相互に影響しあって脳機能の障害が発現するのではないかといわれています。
関連する遺伝子や環境要因については、現在さまざまな研究が進められていますが特定には至っておらず、また複数の要因や組み合わせが存在すると考えられます。それらがさまざまな道筋をたどってASD(自閉スペクトラム症)の特性となってあらわれるといわれています。そのためASD(自閉スペクトラム症)がある人すべてにあてはまる唯一の原因はないとも考えられています。
ASD(自閉スペクトラム症)のある人の多くが幼児から対人関係やこだわりに関連する何らかの症状をきっかけに専門機関を受診し、医師によってASD(自閉スペクトラム症)だと診断されます。診断は問診と心理検査・知能検査などのさまざまな検査を総合的に判断して行われます。そのほかMRIを使い脳の器質的な疾病がないかを確認する場合もあります。検査や診察は一度ではなく、何度か行われたうえで慎重に診断されることが多いです。
しかし、何らかの生まれつきの脳機能障害であると考えられており、しつけや愛情不足といった親の育て方が直接の原因ではないことが分かっています。
脳機能障害を引き起こすメカニズムとして、遺伝的な要因が原因の一部であると推測されています。何らかの先天的な遺伝要因にさまざまな環境的な要因が重なり、相互に影響しあって脳機能の障害が発現するのではないかといわれています。
関連する遺伝子や環境要因については、現在さまざまな研究が進められていますが特定には至っておらず、また複数の要因や組み合わせが存在すると考えられます。それらがさまざまな道筋をたどってASD(自閉スペクトラム症)の特性となってあらわれるといわれています。そのためASD(自閉スペクトラム症)がある人すべてにあてはまる唯一の原因はないとも考えられています。
ASD(自閉スペクトラム症)のある人の多くが幼児から対人関係やこだわりに関連する何らかの症状をきっかけに専門機関を受診し、医師によってASD(自閉スペクトラム症)だと診断されます。診断は問診と心理検査・知能検査などのさまざまな検査を総合的に判断して行われます。そのほかMRIを使い脳の器質的な疾病がないかを確認する場合もあります。検査や診察は一度ではなく、何度か行われたうえで慎重に診断されることが多いです。
ASD(自閉スペクトラム症)は遺伝するの? 確率はどのくらい?
発達障害のある子どもは、なぜ、どのような要因が影響して生まれるのでしょうか。その要因は明らかになっていませんが、ASD(自閉スペクトラム症)に関しては、双生児研究や家族間での一致率に関する研究が行われています。こうした研究から、ASD(自閉スペクトラム症)の発現に何らかの遺伝的な要因が関係している可能性が高いと考えられています。
親の遺伝子が単純に子どもに遺伝してASD(自閉スペクトラム症)があらわれるわけではない
これまでの研究でASD(自閉スペクトラム症)は単一の遺伝子が原因で起こる「メンデル型遺伝疾患」と呼ばれるタイプではなく、複数の遺伝子の変化が影響して起こる「多因子遺伝疾患」であることも推測されています。
つまり親の遺伝子が単純に子どもに遺伝してASD(自閉スペクトラム症)があらわれるわけではないということです。ASD(自閉スペクトラム症)の遺伝要因は原因の一部にすぎず、ASD(自閉スペクトラム症)のある親から、ASD(自閉スペクトラム症)のではない子どもが生まれることもあれば、両親とも定型発達の場合でもASD(自閉スペクトラム症)のある子どもが生まれることもあります。
親からASD(自閉スペクトラム症)が遺伝する確率については、現在のところ不明です。親にASD(自閉スペクトラム症)がある場合で子どもにもASD(自閉スペクトラム症)がある確率も、調査によって数値がまちまちで確かな結果は出ていません。このことも、遺伝要因と環境要因の相互影響が複雑で、偶然性に左右される部分も多いことを示唆しているといえるでしょう。
つまり親の遺伝子が単純に子どもに遺伝してASD(自閉スペクトラム症)があらわれるわけではないということです。ASD(自閉スペクトラム症)の遺伝要因は原因の一部にすぎず、ASD(自閉スペクトラム症)のある親から、ASD(自閉スペクトラム症)のではない子どもが生まれることもあれば、両親とも定型発達の場合でもASD(自閉スペクトラム症)のある子どもが生まれることもあります。
親からASD(自閉スペクトラム症)が遺伝する確率については、現在のところ不明です。親にASD(自閉スペクトラム症)がある場合で子どもにもASD(自閉スペクトラム症)がある確率も、調査によって数値がまちまちで確かな結果は出ていません。このことも、遺伝要因と環境要因の相互影響が複雑で、偶然性に左右される部分も多いことを示唆しているといえるでしょう。
きょうだい(兄弟・兄妹・姉妹・姉弟)でASD(自閉スペクトラム症)がある確率は?
きょうだい間で1人にASD(自閉スペクトラム症)がある場合はもう1人にもASD(自閉スペクトラム症)がある確率はどのくらいあるのでしょうか?
ASD(自閉スペクトラム症)の遺伝に関しては、双生児研究や家族間での一致率に関する研究が活発に行われています。現段階で医学的な根拠は明らかになっていませんが、自閉スペクトラム症の発現には何らかの遺伝的要因が関与していると考えられています。
一方で、これまでの研究では一卵性双生児と二卵性双生児それぞれの調査の結果の差異から遺伝子配列が同じ一卵性双生児での一致率が高いという報告がされていましたが、近年の研究では、その差異は研究を始めた当初よりも小さいのではないか、という結果もあり、ASD(自閉スペクトラム症)の発現には、遺伝要因に加えて環境要因との相互作用を考慮したほうがよいという考え方が強くなってきています。
きょうだいにASD(自閉スペクトラム症)のある人がいる場合、一般より発現率が高くなる傾向があるとう研究結果があります。しかし、遺伝的要素が強かったとしても、必ずそのきょうだいにASD(自閉スペクトラム症)があらわれるわけではありません。受け継がれる要素や遺伝要素のあらわれ方はさまざまです。
ASD(自閉スペクトラム症)の遺伝に関しては、双生児研究や家族間での一致率に関する研究が活発に行われています。現段階で医学的な根拠は明らかになっていませんが、自閉スペクトラム症の発現には何らかの遺伝的要因が関与していると考えられています。
一方で、これまでの研究では一卵性双生児と二卵性双生児それぞれの調査の結果の差異から遺伝子配列が同じ一卵性双生児での一致率が高いという報告がされていましたが、近年の研究では、その差異は研究を始めた当初よりも小さいのではないか、という結果もあり、ASD(自閉スペクトラム症)の発現には、遺伝要因に加えて環境要因との相互作用を考慮したほうがよいという考え方が強くなってきています。
きょうだいにASD(自閉スペクトラム症)のある人がいる場合、一般より発現率が高くなる傾向があるとう研究結果があります。しかし、遺伝的要素が強かったとしても、必ずそのきょうだいにASD(自閉スペクトラム症)があらわれるわけではありません。受け継がれる要素や遺伝要素のあらわれ方はさまざまです。
ASD(自閉スペクトラム症)の男女比は?
これまで、ASD(自閉スペクトラム症)の発現率の男女比は4:1と、男性の方が高い傾向があるといわれてきました。
最近の研究によると、女性の脳の構造として、男性よりも多くの遺伝変異の耐性があることが発現率に影響しているのではないかといわれています。
また、男性と女性では症状にも違いがあるのではないかとも考えられています。
ASD(自閉スペクトラム症)の男女差については、現在研究途中であるため、今後の展開を注意深く見ていく必要があるといえるでしょう。
最近の研究によると、女性の脳の構造として、男性よりも多くの遺伝変異の耐性があることが発現率に影響しているのではないかといわれています。
また、男性と女性では症状にも違いがあるのではないかとも考えられています。
ASD(自閉スペクトラム症)の男女差については、現在研究途中であるため、今後の展開を注意深く見ていく必要があるといえるでしょう。
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