放課後等デイサービス(放デイ)とは?利用方法、費用など【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン
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放課後等デイサービス(放デイ)は、障害のある就学児向けの学童保育のようなサービスです。放課後の安全な居場所というだけではなく、音楽、運動、プログラミングなど、さまざまな発達支援プログラムを提供している施設もあります。施設ごとの特徴や、利用までの流れ、体験談をお届けします。ぜひ参考にしてみてください。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

放課後等デイサービス(放デイ)とは?

放課後等デイサービス(放デイ)とは、障害のある6~18歳の就学児童(小学生・中学生・高校生)が学校の授業終了後や長期休暇中に通うことのできる施設です。

生活力向上のためのさまざまなプログラムが行われており、一人ひとりの発達面でのニーズに合わせてリトミックやトランポリンなどの運動、楽器の演奏、プログラミングやデジタルアート、絵画や造形、社会見学などの活動を行う施設もあれば、ソーシャルスキルトレーニング(SST)、言語療法、作業療法など専門的な療育を受けられる施設もあります。

この(放デイ)は2012年の児童福祉法改正により設置されました。(以下児童福祉法 第六条の二の二第四項)
■管理者
保育士、児童発達支援管理責任者などの人材管理や、事務などを行う人です。
資格は原則不要です。施設によっては、児童発達支援管理責任者や児童指導員との兼務をしている場合があります。
この法律で、放課後等デイサービスとは、学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第一条 に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の内閣府令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000164#29
それまでは、障害の種類別に施設が分かれていましたが、この改正を機に、年齢や目的別に児童発達支援 ・医療型児童発達支援 ・放課後等デイサービス ・居宅訪問型児童発達支援及び保育所等訪問支援へと再編成されました。

そして、この改正に伴い、今まで不足していた障害児自立支援施設を増やすために、大幅な規制緩和がなされました。そのため住んでいる地域で、乳幼児の頃から高校を卒業するまで一貫したサービスを受けられるようになりました。

現在では多くの放課後等デイサービス(放デイ)が誕生し、保護者が複数の施設から子どもに合う施設を選んだりできるようにもなりました。

放課後等デイサービス(放デイ)と児童発達支援の違いは?

放課後等デイサービス(放デイ)と児童発達支援は、どちらも障害のある子どもたちが自宅から施設に通い、生活能力の向上や集団生活への適応訓練などの支援を受けられる「障害児通所支援事業」です。
両者の違いは対象年齢です。放課後等デイサービス(放デイ)は6~18歳(必要と認められる場合は満20歳)の就学児(小学生・中学生・高校生)を、児童発達支援は未就学児を対象にしています。

放課後等デイサービス(放デイ)は、放課後や休日、夏休みなどの長期休暇中などに利用して、生活やコミュニケーションに必要なスキルなどを学べるほか、楽器やプログラミングなどを体験できたり、余暇を楽しむ居場所となったりなど、さまざまな役割を果たしています。

以下は、児童福祉法における「児童発達支援」と「放課後等デイサービス(放デイ)」についての記載です。
児童福祉法
第六条の二の二 この法律で、障害児通所支援とは、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援及び保育所等訪問支援をいい、障害児通所支援事業とは、障害児通所支援を行う事業をいう。
② この法律で、児童発達支援とは、障害児につき、児童発達支援センターその他の内閣府令で定める施設に通わせ、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練その他の内閣府令で定める便宜を供与することをいう。
④ この法律で、放課後等デイサービスとは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の内閣府令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000164

放課後等デイサービス(放デイ)の対象

放課後等デイサービス(放デイ)に通うことのできる児童は以下のようになっています。

障害のある児童

対象児童
身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む)

引用:児童福祉法の一部改正の概要について|厚生労働省
出典:https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushien/dl/setdumeikai_01...
放課後等デイサービス(放デイ)の対象は、障害のある児童ですが、療育手帳や身体障害者手帳がなくても利用することができます。地域によって異なりますが、障害の確定診断はなくても、医師が支援の必要性と認めたことを示す意見書などを自治体に申請し、その内容や面談などで状況を確認したうえで必要性を認められた場合は、通所受給者証が発行されます。この受給者証を取得することで通所の申し込みができ、1割負担(※)でサービスを受けることができます。
※世帯の収入状況による上限額の設定があります。

原則就学児童

就学児童とは、幼稚園、大学を除く、小学校、中学校、高等学校に通っている児童です。年齢では6~18歳です。ただし、引き続きサービスを受けなければその福祉を損なう恐れがあると認められた場合は、満20歳に達するまで利用可能です。

放課後等デイサービス(放デイ)はどんな種類がある?利用体験談も

放課後等デイサービス(放デイ)の種類

放課後等デイサービス(放デイ)には、利用目的や各施設の特徴に合わせて、以下のようなさまざまなタイプがあります。
■長時間の居場所を提供するタイプ
学童保育のように自由に過ごす時間が比較的多い形態です。日常生活に役立つスキルを養ったり、療育を行ったりする施設もあります。

■個別の療育を重視するタイプ
一人ひとりの特性に合わせてソーシャルスキルトレーニング(SST)を行うなど、マンツーマンの指導が受けられます。作業療法士などの専門資格を持つスタッフが在籍している施設や、学習支援に特化した施設などもあります。

放課後等デイサービス(放デイ)の目的別プログラム例

■活動を通した仲間づくり
体力づくりや身体の動かし方を学べるほか、レクリエーションなどによりコミュニケーション力の向上を図るなどの活動を行っている施設もあります。また、絵画や手芸などのアートに取り組む、ゲームで競い合う“eスポーツ”を取り入れた発達支援を行うなど、子どもの“好き”を生かしながら、自己肯定感を高めたり、集中力を養ったりなどしていきます。

■自立した日常生活を営むために必要な訓練
着替えや掃除、料理など日常生活で必要な能力の養成、ひらがなの書き方や、計算、宿題などの学習に必要な能力の養成、ソーシャルスキルトレーニング(SST)や集団でのトレーニングによるコミュニケーションスキルの向上を行っています。

■創作的活動、作業活動
創作活動や作業活動を提供している施設も多くあります。例えば、粘土による造形、書道、絵を描く、季節に合わせた創作などがあります。

■地域交流の機会の提供
障害がある子どもの社会経験や生活経験が豊かになるよう、地域交流を積極的に行っている施設もあります。土曜日・日曜日を利用して、動物園や工場などへの社会科見学を実施する場合もあります。

■余暇の提供
障害のある子どもたちの放課後や長期休暇の居場所として、自由に遊んだりリラックスしたりできる空間の提供や、運動やダンス、楽器を習うなどのプログラムを実施します。

■就労準備
将来の就労を見据えて、社会のルールやコミュニケーション力、パソコンスキルなどをトレーニングしていきます。職業体験を取り入れている施設もあります。
放課後等デイサービスについて | LITALICOジュニア
https://junior.litalico.jp/shugakugo/day-service/
児童福祉法一部改正の概要について|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushien/dl/setdumeikai_0113_04.pdf

放課後等デイサービス(放デイ)のスタッフ

放課後等デイサービス(放デイ)の基本的なスタッフ構成は、保育士または児童指導員2人以上、児童発達支援管理責任者1人以上、そのほかに設備や人材管理を行う管理者1人以上を配置するとされています。

■保育士
国家資格を持ち、子どもの療育や指導を実際に行う人です。
保育士になるには、指定保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格する必要があります。
保育士になるには?|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/hoiku-hellomirai/shikaku/
■児童指導員
保育士同様、子どもの療育や指導を実際に行う人。以下の要件のいずれかを満たしている場合に任用資格を得ることができます
・都道府県知事の指定する養成施設を卒業
・4年制大学、または海外の大学で社会福祉学、心理学、教育学、社会学のいずれかを専修する学科を卒業
・大学院で社会福祉学、心理学、教育学、社会学のいずれかの修士号・博士号を取得
・児童福祉法に基づく事業で規定以上の実務経験を積む(期間は最終学歴によって異なる)
・小学校、中学校、高等学校のいずれかの教員免許を保持している
・社会福祉士または、精神保健福祉士の資格を保持している
児童指導員及び指導員の資格要件等|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000047434.pdf
■児童発達支援管理責任者
放課後等デイサービス(放デイ)に通う児童に対して個別支援計画を作成し、その子どもの支援が適切に行われるよう管理する人です。
児童発達支援管理責任者になるには、要件を満たす業務内容に3~10年以上の年数従事し、都道府県が実施する、『サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者研修』を受け、2年間の実務経験を経たうえで実践研修の修了する必要があります。また5年ごとの更新研修が実施されます。
サービス管理責任者等研修制度について|厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001226975.pdf

レスパイトケアとしての放課後等デイサービス(放デイ)

レスパイトとは英語で、休息・息抜き・小休憩といった意味を持つ言葉です。レスパイトケアとは、乳幼児や障害児・者、高齢者の介護や世話を一時的に代行し、家族が休んだり、リフレッシュしたりする機会をつくることを言います。

世話をする家族にもリフレッシュや休息は必要です。その時間を利用して普段できないことをしたり、自分のために時間を使うことで、まっすぐ、素直に子どもと向き合えたり、前向きに物事が捉えられるようになることがレスパイトケアの意義です。

保護者の同伴が不要な放課後等デイサービス(放デイ)も多くあります。

放課後等デイサービス(放デイ)を利用した人の経験談

実際に放課後等デイサービス(放デイ)を受けている保護者の方の声を紹介します。

◆ソーシャルスキルトレーニング(SST)をする小学6年生のエピソード
今まで自分の意見をあまり言わなかったけれど、学校の先生や友だちに意見を言えるようになってきました。勉強面でもわからないことをどんどん聞いてくれるようになりました。
出典:https://junior.litalico.jp/case/family-voice/shugakugo/shudan03/
ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは、感情と行動のコントロール方法や、対人コミュニケーションを学ぶ訓練です。

放課後等デイサービス(放デイ)では、子どものできること、できないことを見極め、生活、学習に必要な能力を発達させていくことを重視し、その一環としてソーシャルスキルトレーニング(SST)を行っているところもあります。

◆コミュニケーションスキルの改善を目的にサービスを利用する小学3年生のエピソード
コミュニケーションスキルの改善を目的に通っています。体験できる企画がたくさんあり、学習以外でもいろいろな経験ができます。
出典:https://junior.litalico.jp/case/family-voice/shugakugo/shudan02/
◆放課後等デイサービスを探している小学2年生のエピソード
デイの利用、悩みますよね。私も悩んでいます。

うちの子は、環境の変化に弱いので、就学と同時にデイは無理だろうと判断して1年間様子を見ました。まずは、学校生活を楽しめるようになって欲しかったので。

そしてその1年間で、【誤学習】をし易いタイプだということが分かりました。
良いお手本になるお友達がいるとどんどん伸びるのですが…反面、覚えてほしくない言葉使い・態度などもしっかり身についてしまいます。

そうなると療育的なデイを希望したいのですが…
近隣のデイは、重度知的障害の子供の利用が多く、一時預かりや送迎サービスが主体の所ばかりでした。

子供に合うデイを探すことは本当に難しいなぁ~と実感しています。
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/20560
放課後等デイサービス(放デイ)は学校教育と違い、必ず行かせる必要があるものではありません。子どもの障害の程度や特徴、性格を含めて放課後等デイサービス(放デイ)の利用を考えていくとよいでしょう。
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