いろんな課題が目につくのは、子どもが成長した証拠。社会に出るまで焦らず、1歩ずつ。

: 今回のマンガを書く際に、これまでのお子さんとの日々を振り返られたと思うのですが、最も印象に残っている時期やエピソードはありますか。

: やっぱり、地区の運動会に上の子と参加した時でしょうか。

: あぁ、あの大泣きしちゃったときの…
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©️モンズースー/KADOKAWA
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: 子どもたちが社会に出て行くってことはとっても大きなことなんだなって、あのとき実感しました。

: というと?

: その頃、家の中や慣れた場所にいれば、けっこう落ち着いて過ごせるようになっていたんですよ。

: それが、いつもと違う、他の人ばかりの環境でパニックになったと。

: 限られた環境だけでは生きていけない。でも、広い社会に出て、他の多くの人と関わりながら自立していくということは、この子にとっては相当に高いハードルなんだなって、実感したんです。

: なるほど…これからも進学・進級して環境が変わるたびに、お子さんにとっては新たな課題が迫ってくるわけですよね…

でも、お子さんも一歩一歩確実に成長されていますよね。大変だったこととは逆に、お子さんの変化で一番嬉しかったのはどんなことですか。

: やっぱり、言語聴覚士(ST)の先生とのトレーニングでの変化ですかね。そもそも、家族以外の人に話しかけたりお願いができるっていうのがまず無かった子なので、先生とお話を出来るようになったのが衝撃でした。
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: あのシーン、とっても好きです。

: 息子が社会とつながる最初の土台をつくってくれたのが、STの先生なんです。そこから段々とかかわりの輪が広がっていって、園の担任の先生、クラスの友達、友達のお母さん…と色んな相手と話せるようになっていきました。

: 素敵な先生ですよね。

: うちの子は、ガツガツ体育会系で元気に関わってこられるのが苦手で。そうじゃなくて、息子に合わせたペースでゆっくり近づいてくれたのが良かったんだと思います。

: 僕も人見知りが激しかったので、幼少期にああいう関わり方をしてくれる大人がいたら…って思います(笑)

「生きづらいけど生きていける」 凸凹があることは不幸じゃない。

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: 出版してから、ポジティブな反応がたくさん寄せられてきたとのことですが、具体的にはどのような声がありましたか。

: まずびっくりしたのは、「ありがとう」って声がすっごく多かったことです。お金出して買ってくれた"お客さん"なのに、こっちがお礼を言われるなんて。

: 「ありがとう」の声。

: 他にも、「わたしも同じです!」とか「よくぞ書いてくれました!」って声が多くて、あぁ、言いたいけど言えないで我慢してた人たちがたくさんいたんだなって感じました。

: まだまだ周囲と共有しにくい悩みですもんね。モンズースーさんが発信したことで救われた人はたくさんいたと思います。

: 自分の子どもに障害があることで、「いっそ心中してしまおうかと思った」なんていう体験談も、正直よく聞くんですよ。

そこまで思いつめてしまうのって、きっと、未来が見えないからなのかなって思うんです。障害があってもその子が育っていくんだっていう、その過程や見通しさえ見えれば、死ななければいけないわけではない気がする。

私も当時はしらなかったのですが、障害がある人達が生きていける場所は、普通に生活していると見えないことが多いけどちゃんとあるんです。

だから、定型発達の子が歩む道とは違っても、この子たちはこの子たちでちゃんと生きていく道があるんだよってことは伝えたくて。

: 書籍の中でも、「生きづらいけど生きていける」という台詞が印象的でした。キラキラした理想論でもなく、かといって絶望でもない。一歩一歩踏みしめて、前を向いて歩いている感じがして、僕も救われました。

: いやぁまあなんというか…ADHDのひとってポジティブらしいんですよね(笑)
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: 発達障害に限らず、障害や特性の強い人って「不幸だ」、「可哀想だ」っていうイメージを勝手に持たれがちなところがあるじゃないですか。

: 確かに、それはありますね。

: もちろん苦労はあるんだけれど、でも本人たちは周りが勝手に「不幸」にするほど、悲観してなかったりもします。

私は、自分の障害や特性を、完璧に"理解"してほしいとはあまり思っていなくて。でも最低限、こういう凸凹を持った人の存在を否定しないでいてくれたらなって、願います。

: 理解はできなくてもいいから、否定しない。

: 血液型と同じように、普通に「自分はADHDで〜」って言えるような社会がいつか来るといいと思います。

: 面白いですね。血液型に対しても色んなステレオタイプのイメージがあるけど、でも一人ひとりみんな違いますもんね。同じように、ADHDといったってこんな人もあんな人もいるんだって、自然に思われるぐらいになると良いですね。

そんな社会が来るまでには、まだ時間がかかると思いますが、モンズースーさんのように、自分やご家族のストーリーの発信が増えて多様になっていくと、世の中の空気も変わっていくかもしれませんね。

今日はインタビューのお時間いただき、ありがとうございました!

: こちらこそ、ありがとうございました!
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