コミュニケーション能力ってなに?どうやって伸ばしていけば良い?

ライター:松本太一
コミュニケーション能力ってなに?どうやって伸ばしていけば良い?のタイトル画像
Upload By 松本太一

発達障害があるお子さんは、よく「コミュニケーションが苦手」と言われます。しかし、そもそもコミュニケーションが上手にできるということは、どんな状態を意味するのでしょうか?今回は、一冊の本を基に、コミュニケーション能力とは何か、どうすれば身につけられるのか考えてみたいと思います。

監修者松本太一のアイコン
執筆: 松本太一
アナログゲーム療育アドバイザー
放課後等デイサービスコンサルタント
NPO法人グッド・トイ委員会認定おもちゃインストラクター
東京学芸大学大学院障害児教育専攻卒業(教育学修士)
フリーランスの療育アドバイザー。カードゲームやボードゲームを用いて、発達障害のある子のコミュニケーション力を伸ばす「アナログゲーム療育」を開発。各地の療育機関や支援団体で、実践・研修を行っている。

「コミュニケーション能力」って何だろう?

アナログゲーム療育アドバイザーの松本太一です。

私は普段、ボードゲームやカードゲームを使い、発達障害のあるお子さんのコミュニケーション能力を伸ばす治療教育を行っています。

よく、「発達障害のあるお子さんはコミュニケーションが苦手だ」と言われています。

他方で「就職に必要なのはコミュニケーション能力」とも言われます。

発達障害のあるお子さんが社会で上手くやっていくために、コミュニケーション能力が必要なのは間違いなさそうです。

では「コミュニケーション能力とは一体なにか?」というと、みんなが共有している明確な答えがあるわけではありません。

劇作家の平田オリザさんの著書「わかりあえないことから~コミュニケーション能力とは何か~」をもとに考えてみたいと思います。
平田オリザ著「わかりあえないことから~コミュニケーション能力とは何か~」(講談社現代新書) 
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4062881772
大人のアスペルガー症候群、アスペルガー症候群での仕事での困りごとや対処法まとめ【専門家監修】のタイトル画像

大人のアスペルガー症候群、アスペルガー症候群での仕事での困りごとや対処法まとめ【専門家監修】

「協調性」と「社交性」

コミュニケーション能力ってなに?どうやって伸ばしていけば良い?の画像
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=30702000024
本書から一部参照しますと、

■「協調性」は「価値観を1つにする方向のコミュニケーション能力」で、「空気を読む」「輪を乱さない」といったことがそれにあたります

ムラ社会の日本では特に求められる能力です

■「社交性」は「バラバラな人間が、価値観はバラバラなままで、どうにかして上手くやっていく能力」で、「相手の立場を尊重する」「自分の意見をしっかり主張する」といったことがそれにあたります

■日本の社会では「協調性」と「社交性」この2つの異なる能力が共に「コミュニケーション能力」として混同して求められるために、子どもたちが混乱をしています

と、平田さんは指摘します。

その上で、

■国際化・多様化が進む社会にあっては、どちらかといえば多様な価値観を持つ人と一緒にやっていくための「社交性」を伸ばすことが日本人の課題ではないか

と述べられています。

発達障害のある子のコミュニケーション療育

コミュニケーション能力を「協調性」と「社交性」に分けるという発想は、発達障害のあるお子さんの療育を考える上でも重要だと私は考えます。

コミュニケーション能力の獲得は発達障害のあるお子さんにとって療育の目標の一つになると。

発達障害のあるお子さんの場合、注意力の低さや興味の移り変わりの激しさ、あるいはこだわりの強さといった障害特性により、周囲に合わせる「協調性」を身につけるのは中々難しいかもしれません。

他方、皆がバラバラなままで上手くやっていくための「社交性」は、能力というよりはむしろ意識の持ち方によるところが大きく、発達障害のあるお子さんにも身につけられるのではないかと思うのです。
息子は話せるけれど、コミュニケーションはとれない子でしたのタイトル画像

息子は話せるけれど、コミュニケーションはとれない子でした

PLUSバナー

わかりあえないことから始める

「社交性」を身につけるためには、「わかりあえないこと」を自覚することから始める必要がある、と平田さんは述べています。

「わかりあえない人間同士が、どうにかして共有できる部分を見つけて、それを広げていく」といった経験が必要なのだそうです。

その具体的な方法として、本書の中には演劇を用いたワークショップの技法が紹介されています。

しかし、これは1つの学級の授業として行われたもので、気軽に実施するにはやや規模が大きそうです。

そこで、私が療育に使っているアナログゲームの中から、気軽に「わかりあえないこと」を体験できるゲームを1つご紹介しましょう。

わかり合えないことを体験する「ヒットマンガ」

わかりやすく伝える 「ヒットマンガ」 ~アナログゲーム療育のススメ~
出典:http://wp.me/p6lEPD-12
アナログゲーム
Upload By 松本太一
これは、読み手の発したセリフをもとに正しい札を取るカルタ形式のゲームです。

そこで読みあげるセリフは、手にした札に描かれた絵をもとに読み手が自分で考えます。

このゲームの面白いところは、自分が作ったセリフがきちんと伝わらず、正解と違う札が取られてしまうことが頻繁にあることです。

そんなとき、「なぜそれが正解だと思ったの?」「どんなセリフなら伝わりやすいかな?」といった声掛けをすることで、「わかりあえない」ことをきっかけに「どうやったら伝えたい情報を共有できるのか」を一緒に考えることができます。

その経験が、「わかりあえない」ことを前提にお互いの思いを共有していく「社会性」を身につけることに繋がっていきます。
年末年始は家族でゲーム!?コミュニケーション力や語彙力、行動力を育もう。アナログゲームや手づくりゲーム他、遊びのヒントが詰まったおすすめコラム10のタイトル画像

年末年始は家族でゲーム!?コミュニケーション力や語彙力、行動力を育もう。アナログゲームや手づくりゲーム他、遊びのヒントが詰まったおすすめコラム10

成長してる、でもコミュニケーション問題多発…!ASD息子が「人の気持ちを分かる」ようになるためには?【児童精神科医 三木先生に聞いてみた!】のタイトル画像

成長してる、でもコミュニケーション問題多発…!ASD息子が「人の気持ちを分かる」ようになるためには?【児童精神科医 三木先生に聞いてみた!】

コミュニケーションの特性を「生きづらさ」につなげないために――子どもたちの成長物語からヒントを見つけられる『子どもの「コミュ障」』のタイトル画像
Sponsored

コミュニケーションの特性を「生きづらさ」につなげないために――子どもたちの成長物語からヒントを見つけられる『子どもの「コミュ障」』

「え、私の気持ち伝わっていないの?」驚いた幼少期。発達障害プログラマの私が今、実践しているコミュニケーション術とはのタイトル画像

「え、私の気持ち伝わっていないの?」驚いた幼少期。発達障害プログラマの私が今、実践しているコミュニケーション術とは

ADHD息子がデート!?コミュニケーションで気をつけていることを自慢げに話す姿に、「教えたのは私!」と心でツッコミながら...のタイトル画像

ADHD息子がデート!?コミュニケーションで気をつけていることを自慢げに話す姿に、「教えたのは私!」と心でツッコミながら...

PLUSバナー


年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。