新版K式発達検査について【専門家監修】

2016/08/22 更新

発達検査は、子どもの発達の水準を捉えることを目的として作られた検査の一つで、発達支援や育児支援、学習支援などさまざまな支援の場におけるアセスメント・ツールとして活用されています。自閉スペクトラム症など、発達の遅れや偏りのある子どもの発達状態を把握することにも使われています。この記事では、さまざまな支援の場で使用されることの多い新版K式発達検査をご紹介します。

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監修: 日戸由刈
相模女子大学 人間社会学部 人間心理学科教授
博士(教育学)。公認心理師。臨床心理士。臨床発達心理士。横浜市総合リハビリテーションセンター発達精神科外来に心理職として20年勤務し、同センター児童発達支援事業所「ぴーす新横浜」の園長を経て、2018年より現職。
目次

新版K式発達検査とは?

新版K式発達検査は、子どもの心身の発達の状態を観察し、支援に役立てるための検査で、検査課題への子どもの反応から、発達の状態を多面的に評価します。

つまり、子どもは何をどこまでわかっており、何はわかりにくいのか、それにはどのような課題内容や状況が影響しているかなどを精査します。こうして得られた結果は育児相談や発達相談、就学相談、教育相談、福祉相談などの場で活用されています。

1951年に開発されて以降、改訂を重ねながら、徐々に適用年齢が拡張され、2020年12月に「新版K式発達検査2020」が刊行されました(以下、新版K式発達検査と表記します)。

「発達検査」とは? 「知能検査」との違い

子どもの発達のアセスメントにおいて、発達検査と並んでよく使われている心理検査に知能検査があります。知能検査と発達検査はどこが違うのでしょうか。

知能検査の代表的なものとして、ウェクスラー式やビネー式の検査があります。
知能検査は、新しいことを学習したり問題を解決したりする能力、過去の経験から学んだことの積み重ねに基づく能力(知識など)といった認知機能を中心に評価するもので、検査結果は精神年齢(Mental Age:MA)や知能指数(Intelligence Quotient:IQ)で示されます。

発達検査は、知能検査と一部重複する認知機能の評価も含みますが、それ以外に姿勢・運動の発達や言語・社会性の発達など幅広い領域にわたって評価するもので、検査結果は発達年齢(Developmental Age:DA)や発達指数(Developmental Quotient:DQ)で示されます。

子どもの発達の評価にあたってどの検査を用いるかは、医師または検査者が判断します。知能検査の適用年齢はおおむね2〜3歳以上と定められているため、乳児期の子どもや運動発達の遅れや重度の知的障害のある子どもの場合には、発達検査が適していると判断される場合が多いようです。
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新版K式発達検査の特徴

新版K式発達検査は個別式(検査者と受検者が1対1で行う)の検査です。検査では、玩具や道具など日常的な材料や題材が使われています。このため、子どもの自然な行動が観察しやすい検査となっています。

検査者は、子どもとの関わりを通して各項目の通過/不通過をチェックし、子どもの発達の水準や偏りを「姿勢・運動」(P-M)、「認知・適応」(C-A)、「言語・社会」(L-S)の3領域から評価します。なお、3歳以上では「認知・適応」面、「言語・社会」面に重点を置いています。また、子どもの動作、言語反応、感情・情緒、社会的・対人的行動なども記録し、保護者や本人からの聞き取り情報も考慮して総合的に判断します。

新版K式発達検査の適用年齢、実施時間、費用について

ここでは、新版K式発達検査が対象とする年齢の範囲や実施時間、費用について説明します。

■適用年齢の範囲
新版K式発達検査は0歳~成人までと幅広い年齢を対象にしています。

■実施時間
生活年齢(Chronological Age:CA)や個々の発達によって検査内容が異なるため、受検する際は時間に余裕をもって考えておきましょう。

■費用
受検の目的や実施機関によって、費用は異なります。専門・相談機関でのアセスメントを目的に受検を勧められた場合は、無料あるいは保険診療の扱いとなることが多いです(保険診療については以下のウェブサイトをご覧ください)。保護者や本人の希望により民間の施設で受検する場合などは、その施設が定める料金がかかります。

検査を受ける際の心がまえ

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