回避性パーソナリティ障害とは?「傷つかないよう避けてしまう」症状や治療法、克服するための方法を解説

回避性パーソナリティ障害とは?「傷つかないよう避けてしまう」症状や治療法、克服するための方法を解説のタイトル画像

回避性パーソナリティ障害とは、傷つくことや失敗を極度に恐れ、仕事や恋愛など生活に支障をきたす障害です。症状の特徴は日本人の性格によくみられるものですが、社会生活が困難になるほど悩みを抱えている場合、専門機関からの適切な支援が必要です。この記事では、回避性パーソナリティ障害の症状や治療法、克服するための本人や周囲の心がけについて解説していきます。

6077ad2b372d5a152de8191d73e3e4480c620035 s
112188 View
目次 回避性パーソナリティ障害とは 回避性パーソナリティ障害の症状 回避性パーソナリティ障害の診断基準 回避性パーソナリティ障害と他の障害との関連 回避性パーソナリティ障害の原因は?発達障害との関連は? 回避性パーソナリティ障害の疑いを感じたら 回避性パーソナリティ障害の治療法 障害を克服するために、本人が心がけること 周りはどう支えればいい? まとめ

回避性パーソナリティ障害とは

回避性パーソナリティ障害とは、日本人に多いパーソナリティ障害の一種で、人より不安を感じやすく、傷つくことや失敗することを極度に恐れるようになってしまう精神障害のことです。

パーソナリティ障害の一般的な特徴は以下の3点です。

・認知、感情、対人関係、衝動性などにおいて、著しい偏りのパターンがあること
・偏りのパターンは、青年期か成人期の早期(10歳代後半から20歳代前半くらいまで)に始まり、それから長年つづいていること
・偏りのパターンがあることにより、社会生活や仕事の場面で支障が生じていること


アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)によると、パーソナリティ障害は以下のように3つに分類されています。
回避性パーソナリティ障害とは?「傷つかないよう避けてしまう」症状や治療法、克服するための方法を解説の画像
DSM-5におけるパーソナリティ障害の分類
Upload By 発達障害のキホン
回避性パーソナリティ障害はC群に該当し、不安が強いことや、傷つきと失敗を恐れるあまり、人と接触したり、課題にチャレンジしたりすること自体を避けてしまうことを特徴としています。

回避性パーソナリティ障害がある人の割合は、一般人口では0.5~1%、精神科通院者での割合は10~25%です。
対人関係においても不安や恐怖が強いため、仕事や恋愛などにも支障をきたし、場合によっては引きこもりになってしまうこともあります。日本人に比較的多くみられるパーソナリティ障害であり、他のパーソナリティ障害に比べると比較的社会適応の幅が広いとも言われています。

このパーソナリティ障害では、他者からの批判や拒絶を恐れ、自分が軽んじられているという思いを抱きやすいことから、社会的かかわりが困難となっている。彼らは常々、自己への不確実感および劣等感を抱いており、習慣的に自己にまつわる不安や緊張を持続させている。このため、羞恥心を生じる状況や注目の集まる場で失態を演じることを恐れ、そのような場面を避ける傾向をみせる。その結果、彼らは対人交流に消極的になり、限られた範囲でしか親密な関係を形成できなかったり、ひきこもって生活の範囲を制限したりすることがある。

岡崎祐士/監修『ICD-10精神科診断ガイドブック』(中山書店/刊)より引用

出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4521737056

回避性パーソナリティ障害の症状

回避性パーソナリティ障害の症状としては、以下のようなものがあります。

・他人からの批判や拒否を恐れ、大切な用事や面談を避けてしまう
・人と上手く付き合えないと感じているため、新しい人間関係を築こうとしない
・他人より長所が少なく、自分を劣っている人間だと思っている
・恥をかくのが嫌でその不安から新しいことにチャレンジしたりするが苦手である
・自分に好感を持っていると確信できなければ、その人と親密な関係を持たない
・恥や馬鹿にされることを恐れ、親密な関係でも共同作業を断ることがある
・人といる時に、普段通りに自然に振舞うことがなかなかできない

回避性パーソナリティ障害の前兆は、内気さ、孤立、および見知らぬ人や新しい状況に対する恐怖が生まれる幼児期または小児期に始まりますが、ほとんどの人はこれらの傾向は成長・加齢によって消えていきます。

ところが回避性パーソナリティ障害を発症する人は、新しい人との社会的関係が特に重要になる青年期および成人期早期にますます内気になり、回避的になっていく可能性があります。

回避性パーソナリティ障害の診断基準

パーソナリティ障害の診断は、パーソナリティが形成されていることが前提となるため、一般的には18歳以上で診断が下されることが多いです。診断基準は医療機関によって異なりますが、主に世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)とアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)に基づいて診断が下されます。
ICD-10による診断基準では、以下から3項目以上が認められれば回避性パーソナリティ障害が診断されます。

(1)持続性で広範な緊張と不安
(2)自分は社会的に不適格だなどの劣等感
(3)対人場面で批判・拒否されることの不安
(4)好かれている相手でないとかかわれないこと
(5)安全を追求するためライフスタイルが制限されていることや批判や拒否を恐れるため対人的接触を回避すること
DSM-5による診断基準では、以下から4項目以上が認められれば回避性パーソナリティ障害が診断されます。
 
(1)批判、非難、または拒絶に対する恐怖のために、重要な対人接触のある職業的活動を避ける
(2)好かれていると確信できなければ、人と関係を持ちたがらない
(3)恥をかかされる、または嘲笑されることを恐れるために、親密な関係の中でも遠慮を示す
(4)社会的な状況では、批判される、または拒絶されることに心がとらわれている
(5)不全感のために、新しい対人関係状況で抑制が起こる
(6)自分は社会的に不適切である、人間として長所がない、または他の人より劣っていると思っている
(7)恥ずかしいことになるかもしれないという理由で、個人的な危険をおかすこと、または何か新しい活動にとりかかることに、異常なほど引っ込み思案である
たいていの人は、多かれ少なかれこのような回避的なパーソナリティを持ってはいます。しかし、回避性パーソナリティ障害であるといえるのは、これらの傾向に柔軟性がなく、持続的で、社会生活が困難になるほどの苦痛を引き起こしている場合のみです。

特にこれらのパーソナリティの傾向は、日本特有の奥ゆかしさや恥の文化と重なります。他人の評価や反応を必要以上に気にして人前にあまり出たくないというパーソナリティを持つ日本人は多く、これらの基準に当てはまるからといって必ずしも「障害」とはいえないこともあります。

例えば、DSM-5はアメリカの基準であるため、日本の社会の仕組みや文化的背景を考慮しないと必ずしも治療を必要としない人まで「障害」になってしまうこともあるのです。

しかしこれは裏を返せば、日本では回避性パーソナリティ障害の人は理解されやすく、受け入れられやすい土壌があるということも意味しています。

回避性パーソナリティ障害と他の障害との関連

回避性パーソナリティ障害の症状は、他のパーソナリティ障害の症状と重なる部分もあり、下記の障害が併発することもあります。しかしこれらと回避性パーソナリティ障害とを区別することは自分の障害を理解するためにも、また治療するうえでも重要です。

以下では、回避性パーソナリティ障害と共通の症状を持つパーソナリティ障害と、各障害との違いについてまとめました。

依存性パーソナリティ障害

どちらも他人からの批判に対して過敏であること、他人から自分が受け入れられていることの保証を求めることを特徴としています。しかし回避性パーソナリティ障害の人は、内に依存心を秘めながらも、その依存性を嫌って自立的であろうとする傾向があります。

シゾイド・パーソナリティ障害/統合失調型パーソナリティ障害

どちらも社会的孤立を特徴としています。回避性パーソナリティ障害の人は他人と関係を持ちたいという思いがあり、孤独感を強く感じているのに対して、シゾイド・統合失調型パーソナリティ障害の人は社会的孤立に満足していたり、むしろそれを好む傾向があります。

妄想性パーソナリティ障害

他人に秘密を打ち明けることを躊躇するという特徴が共通していますが、回避性パーソナリティ障害の人がこれを躊躇するのは、恥ずかしい思いをさせられたり、不適切だということが分かったりすることを恐れるためです。妄想性パーソナリティ障害の人は、他人と共有する情報が自分に不利に用いられるという恐れのために秘密を他人に打ち明けたがらないという点で異なります。

その他の併発しやすい精神障害

また、同時に診断されることが多い障害としては他に、

・抑うつ障害
・双極性障害
・社交不安症
・境界性パーソナリティ障害

があります。

回避性パーソナリティ障害の原因は?発達障害との関連は?

遺伝的要因と環境的要因

パーソナリティ障害の原因は遺伝的要因と環境的要因の2つに分けられると考えられています。遺伝的要因についてはまだ解明途上で、詳しいことはよく分かっていません。

回避性パーソナリティ障害については、消極的な性格や不安が強い性格が遺伝していることも考えられますが、かつては活発な子どもだったにも関わらず、あることをきっかけに回避性パーソナリティ障害となることもあるため、環境要因も大きく影響していると考えられます。

環境的要因については、親とのかかわり方や過去の社会的体験などが関係しているといわれています。典型的な環境要因としては、親からの過干渉やあからさまな批判、強制的に勉強や習い事をやらされ続けるといった支配的な教育環境があります。また、いじめ、教師からの強い叱責、人前で恥をかかせられるような体験などの社会的体験も、回避性パーソナリティ障害の一因となりうるようです。
パーソナリティ障害は、複数の要因が複雑に絡み合って起こるものです。パーソナリティ障害の場合、原因が分かったところで、それが治療に直結するとは限りません。

そのため、原因を追求することよりも「これからどうすればよいか」を考えることのほうが重要です。

発達障害とパーソナリティ障害の関連は?

発達障害がある子どもが周りからの適切な支援や理解を得られないと、周りの大人から注意されることが多くなったり、いじめのターゲットになったり友達から孤立するなど、社会的体験がつらいものになりがちです。この経験の積み重ねが、将来のパーソナリティの形成に大きく影響しています。

発達障害自体がパーソナリティ障害へと発展するのか、それとも発達障害の抱えるハンディが社会的体験を不利にして、パーソナリティ障害になりやすい要因となるのかは未だ解明されていません。

ですが、発達障害がある人に対しては、本人の特性を理解し、できるだけポジティブな社会心理体験が積めるように配慮することが特に重要だといえるでしょう。

回避性パーソナリティ障害の疑いを感じたら

パーソナリティ障害の診断は、精神科医や専門医にも難しいものです。もしご自身やご家族に回避性パーソナリティ障害の疑いを感じた場合は、一人で悩む前にまずは専門機関に相談することをおすすめします。

医療機関での受診先は精神科、神経科、心療内科などになります。「相談」のつもりであっても、形式は「受診」になるため、できるだけ本人を連れていくようにしましょう。

いきなり精神科などの病院に行くことには抵抗がある場合には、各市区町村にある保健所の保健センターで相談することもできます。また、各都道府県に設置される精神保健福祉センターでもメンタルヘルスに関する相談事業を行っています。
また、本人が会社勤めの場合や高校や大学に通っている場合、学校や企業専属のカウンセラーに相談することもおすすめです。

企業や学校のカウンセラーは、その人が所属している組織の内情にも通じているため、より適切なアドバイスをもらうことができる可能性が高いです。また、連携している医療機関を紹介してもらえる場合もあります。

回避性パーソナリティ障害の治療法

パーソナリティ障害を確実に根治させる、決定的な治療法はありません。パーソナリティは一人ひとり異なるものであるため、治し方も人それぞれです。

一般的には精神療法と薬物療法が中心になりますが、必要に応じて家族療法や福祉・医療関係施設で行われるデイケアなどの社会療法が同時に行われます。一人ひとりの治療目的に合わせて、複数の治療を組み合わせます。

1.個人精神療法

医師や心理技術者が患者さんの心理面に様々な働きかけを行い、患者さんの認知や思考、行動パターンなどの偏りを改善して少しずつ社会に適応できるようにしていく根本的な治療法です。

1週間に1~2回、30分から1時間程度、治療者が患者さんと面接する形で行うのが一般的です。内容に関しては個々の治療者の判断によるところが多く、統一のガイドラインはありません。

この治療法においては、以下の3点を患者さんと周囲の人々が理解する必要があります。

・効果が表れるのに時間がかかる治療法であり、一般的には数年かかる
・誰にでも効果が期待できるものではない
・治療者との信頼関係がなければ効果は得られない

個人精神療法は、精神科医が行うもっとも基本的な治療法の1つではありますが、「絶対的な治療法」であるという過度の期待を持つと、すぐに効果が出ないと治療を投げ出してしまったり、治療者を疑ったりと逆に治療が困難になってしまうことがあります。

その場しのぎではなく問題を根本から改善しようとするものであるため、時間はかかりますが、本人が治療の意思を持って、治療者と信頼関係をしっかり結んで治療を継続していくことが必要です。

また、回避性パーソナリティ障害の基盤となる気質を「森田神経質」と呼ぶことがあり、その治療法として「森田療法」があります。

森田神経質のある人は、不安や恐怖を「あってはならないもの」として排除しようとするあまり、かえってそれにとらわれてしまうという悪循環に陥っています。この悪循環を断つために、不安や恐怖を「あるがまま」受け入れる姿勢を身につけようとするのが森田療法です。
森田療法とは?不安障害との関連や具体的な治療法(入院・通院)「あるがまま」という考え方について解説!のタイトル画像
関連記事
森田療法とは?不安障害との関連や具体的な治療法(入院・通院)「あるがまま」という考え方について解説!

2.集団精神療法

集団精神療法とは、同じパーソナリティ障害を持つ人が複数人集まり、グループで話し合いをしたり、共同で作業をしたりする活動を通して、社会にうまく適応できない原因を見つけて解決する方法です。

他の患者さんとコミュニケーションをとりながら、自分と同じ障害を持っている人を見つめることで問題に気付き、それを自分にあてはめて考えることができるようになります。

また、集団精神療法での仲間体験は、患者さん自身の自己肯定感を持たせることにつながり、他人とコミュニケーションの取り方を練習する機会にもなります。

3.家族療法

家族療法では、患者さん本人だけでなく、家族にも治療を行います。パーソナリティ障害がある患者は、その家族にも認知や思考のパターンに偏りがあることが多いです。この偏りのために、家族の努力が患者さんの症状を逆に悪化させていることもあります。

具体的には、治療者が家族全員と面接を行ったり、患者さんの付き添いで来院した際に話を聞いたりします。患者さんに思いをうまく伝える言葉のかけ方や、患者さんの気持ちを安定させるための振舞い方など、適切な対応法を治療者から指導します。

なお家族療法は、患者さんが未成年のときに行われることが多いです。患者さんがある程度の年齢に達している場合は、患者さん自身が家族から自立する方向で治療が行われる傾向にあります。

4.薬物療法

薬物療法は、強い不安や緊張、抑うつなど、程度の強い精神症状を一時的に和らげる目的で使われます。しかし、あくまで対症療法にすぎず、障害を根本から治すことはできません。治療の中心は精神療法で、薬物療法はその潤滑油としての役割を果たします。

使われることのある薬の種類と働きは以下の通りです。

■抗精神病薬
脳に働きかけて、興奮を静めたり、心を安定させます。フマル酸クエチアピン、リスペリドンなど
■抗うつ薬
気持ちの落ち込みをやわらげ、心を楽にします。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)など

■抗不安薬
抗うつ薬より効き目がおだやかで、不安感をやわらげます。ベンゾジアゼピン系抗不安薬(ロラゼパム、ブロマゼパムなど)
■その他
睡眠のリズムが乱れているときは睡眠薬を、そのほか衝動を抑えるためにてんかんの薬や副作用を抑える薬なども使われます。

ここでも、「薬を飲むことで、障害がすぐに良くなる」という過度な期待を寄せないことが大切です。また、服薬の決まりをきちんと守り、量や種類に不安があるときはきちんと主治医に相談しましょう。

5.認知行動療法

患者さんの認知のゆがみを是正するための治療法です。患者さんに自分を客観的に観察してもらい、認知のゆがみがいつどのようにして起こったのかを記録し、自覚してもらいます。

そのうえで、それを改善するための認知の仕方、行動の取り方をロールプレイングなどを通して実践的に学びます。回避性パーソナリティ障害の人が悩んでいる様々なことが、いかに主観的な心配にすぎないかを本人に気付かせて、問題の解決を目指します。

近年は簡易型の認知行動療法の研究・開発が進んでいます。具体的には、当事者や仲間がお互いに支え合うサポートグループ・プログラム、短時間で相談に乗る相談センターや電話相談、コンピュータ支援型認知行動療法が実際の現場で活用されています。

障害を克服するために、本人が心がけること

回避性パーソナリティ障害の人は、親の期待のもとで形成された「理想的な自己」のイメージと、その理想に届かない「劣等的な自己」のイメージの両方を持っていますが、中間にある「等身大の自己(ありのままの自分)」のイメージが持てていません。そのため、何か行動を起こして失敗したときに自尊心が傷つくことに過敏になってしまっています。

「等身大の自己」を形成するためには、どんなに小さなことでも自らチャレンジして、成功体験を積み重ねることが必要です。不安や恐れ、迷いは一度横に置いてみて、チャンスが巡ってきたときはまず実行してみましょう。小さなことでもチャレンジを続けることで、失敗の恐れや不安は次第に消えていくはずです。

また、うまくいく経験ばかりを求めないことも大切です。失敗する経験は成功する経験よりももっと価値のある体験です。「失敗してもまたやってみればいいや」と気楽に構えてみてください。

どうしても一歩を踏み出せないときは、背に腹は代えられない状況を作ってみるというのも一つの方法です。これまでの自分を守ってくれるものがなくなると、一歩踏み出して動き出したというケースは多いようです。

例えば、引きこもりの青年が、その子をずっと心配していた父親が亡くなるとその年のうちに仕事をはじめ、以来ずっと仕事を続けているというケースもあるそうです。

まずは自分が「やってみたい」と思うことから、少しずつチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

周りはどう支えればいい?

回避性パーソナリティ障害を本人が克服するにあたって、周りの人々が対応を工夫することも大切です。ご家族やご友人に障害のある方がいるとき、以下のことに気をつけてみてください。

小さなことでも褒めて自信につなげさせる

回避性パーソナリティ障害の人は、「自分は何をやってもダメだ」という否定的な自己イメージを持っています。他者からの評価にも非常に敏感であるため、周囲の人は言葉のかけ方に配慮する必要があります。自信を失って症状が悪化するのを防ぐために、けなしたり、否定したり、拒絶したりといった対応は避けなければいけません。

逆に、どんなに小さなことでも何かに成功したときは、良かった点を褒めることで本人の自信につながります。結果だけでなく、その過程や意欲、姿勢自体を褒めるのがよいでしょう。

本人の主体性を尊重する

回避性パーソナリティの人に、本人の意志とは無関係のことをやらせ、そしてそれがうまくいかなかったときに本人を責めれば、本人の自尊心は深く傷つき自己肯定感が失われてしまいます。

周りが先回りして本人の意思決定を横取りするのではなく、本人の主体性や気持ちを尊重して、本人が意思表示をするのを待つことが大切です。本人に人生の決定権と責任を求めていくことが自立へとつながります。本人が行動や意思決定を躊躇している場合は、周りは第三者のような距離で程よく背中を押すとよいでしょう。

回避の慢性化・全般化を防ぐ

回避はストレスや傷つきに対する自然な反応です。極限まで頑張らせようと無理強いすると回避が全般化し、すべてを回避するようになってしまうことがあります。そのため、「疲れた時は休めばよい」ということを教えて適度に逃げ場をつくってあげることが大切です。

回避の反応が長引いている人に対しては、第三者の力を借りて風穴を開けたり、本人がやりたいと思っていたことを突破口にしてみることが有効です。失敗やつまづいたことにはこだわらず、うまくいかなかったらまた考える、というようなのんびり構えたスタンスがプラスに働くことが多いです。

まとめ

日本人は回避的なパーソナリティを持つ人が多いため、回避性パーソナリティ障害は他のパーソナリティ障害に比べて「困った人」と思われにくく、受け入れられやすい傾向にあります。

そういった環境があるため、比較的周りの人に相談しやすかったり、共感を得られやすかったりするのではないでしょうか。また、日々の心がけだけでも、克服に向けた取り組みはしやすいと思います。

「等身大の自己」を受け入れるために、不安や心配はひとまず置いておいて、小さなことから少しずつ何かを始めてみてはいかがでしょうか。

ただし、生活に支障が出る程の症状が出ているときは専門機関に相談することをおすすめします。医療機関などで適切なサポートを受けることが、克服への近道になることもあります。
当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
Avatar11
Column title

あわせて読みたい関連記事

適応障害とは?うつ病・不安障害との違いって? 症状、原因、治療法、当事者へのサポートの仕方を解説のタイトル画像

適応障害とは?うつ病・不安障害との違いって? 症状、原因、治療法、当事者へのサポートの仕方を解説

適応障害は、ストレスに適応できないためにさまざまな心身症状が現れ、日常生活をうまく送れなくなってしまう疾患です。不安障害やうつ病と診断され...
自分と家族のこと
127408 view
2017/07/04 更新
境界性パーソナリティ障害とは?不安・衝動的になる原因・診断基準・治療・周りの人の対処法を紹介のタイトル画像

境界性パーソナリティ障害とは?不安・衝動的になる原因・診断基準・治療・周りの人の対処法を紹介

境界性パーソナリティ障害は以前は、境界性人格障害と呼ばれていた障害です。見捨てられる不安や自己イメージの不安定さから、対人関係などにさまざ...
自分と家族のこと
45108 view
2017/05/23 更新
強迫性障害 (強迫神経症) とは?症状・引き起こす要因・治療・相談先・周りの人の対処法まとめのタイトル画像

強迫性障害 (強迫神経症) とは?症状・引き起こす要因・治療・相談先・周りの人の対処法まとめ

強迫性障害になると、自分の意思に反して不安・不快な考えが浮かび、抑えようとしても抑えられなくなります。そして、その考えをなくそうと無意味な...
発語・コミュニケーション
101223 view
2017/06/23 更新
トゥレット障害(トゥレット症)とは?症状や治療法、ほかの発達障害との合併は?のタイトル画像

トゥレット障害(トゥレット症)とは?症状や治療法、ほかの発達障害との合併は?

トゥレット障害(トゥレット症)とは、児童期から青年期にみられるチック症の一種です。本人とその周囲の人たちが障害に気づかず、日常生活を送る上...
発達障害のこと
71898 view
2016/08/28 更新
臨床発達心理士とは?臨床心理士との違いは?役割や資格取得の流れ、支援・サービスまとめのタイトル画像

臨床発達心理士とは?臨床心理士との違いは?役割や資格取得の流れ、支援・サービスまとめ

臨床発達心理士とは、人々の発達・成長・加齢に寄り添って「人の健やかな育ち」を支援する専門家の資格です。子どもからお年寄り、子育て中の保護者...
発達障害のこと
11664 view
2017/07/12 更新

この記事を書いた人

発達障害のキホン さんが書いた記事

ヘルプマークとは?対象者や配布場所、受けられる配慮は?合わせて使いたいヘルプカードについても紹介!のタイトル画像

ヘルプマークとは?対象者や配布場所、受けられる配慮は?合わせて使いたいヘルプカードについても紹介!

ヘルプマークを知っていますか?ヘルプマークは、支援を必要としていることが外見からは分からない方々が援助を得やすくするためのものです。最近街...
身のまわりのこと
9543 view
2017/09/14 更新
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説のタイトル画像

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説

PTSDは、つらいできごとがトラウマとなり、様々な症状を発症する疾患です。PTSDは、本人や周囲の人のせいで発症するわけではなく、誰にでも...
発達障害のこと
4046 view
2017/09/13 更新
ADD(注意欠陥障害)とは?症状やADHDとの関係性、ADDの特性ならではの治療法をご紹介します!のタイトル画像

ADD(注意欠陥障害)とは?症状やADHDとの関係性、ADDの特性ならではの治療法をご紹介します!

ADD(注意欠陥障害)はかつて使用されていた発達障害の診断カテゴリーです。現在の診断分類に照らし合わせるとADHD(注意欠陥・多動性障害)...
発達障害のこと
31444 view
2017/09/07 更新
サヴァン症候群とは?サヴァン症候群の能力、著名人、困りごと、能力の伸ばし方まで詳しく紹介します!のタイトル画像

サヴァン症候群とは?サヴァン症候群の能力、著名人、困りごと、能力の伸ばし方まで詳しく紹介します!

サヴァン症候群は自閉症スペクトラムなどの精神障害がある一方で、突出した才能を持っていることを指します。サヴァン症候群の人によっては、一度読...
発達障害のこと
59795 view
2017/09/05 更新
自律神経失調症とは?症状や治療法、セルフケアの方法やストレスとの関係を解説します!のタイトル画像

自律神経失調症とは?症状や治療法、セルフケアの方法やストレスとの関係を解説します!

自律神経失調症とは、検査しても異常がみられないのに、肩こりやめまい、不安感などのさまざまな症状が現れる状態のことです。人によって症状の現れ...
自分と家族のこと
40443 view
2017/09/05 更新
コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。