回避性パーソナリティ障害とは?「傷つかないよう避けてしまう」症状や治療法、克服するための方法を解説

2016/09/05 更新
回避性パーソナリティ障害とは?「傷つかないよう避けてしまう」症状や治療法、克服するための方法を解説のタイトル画像

回避性パーソナリティ障害とは、傷つくことや失敗を極度に恐れ、仕事や恋愛など生活に支障をきたす障害です。症状の特徴は日本人の性格によくみられるものですが、社会生活が困難になるほど悩みを抱えている場合、専門機関からの適切な支援が必要です。この記事では、回避性パーソナリティ障害の症状や治療法、克服するための本人や周囲の心がけについて解説していきます。

発達障害のキホン
308941 View
目次 回避性パーソナリティ障害とは 回避性パーソナリティ障害の症状 回避性パーソナリティ障害の診断基準 回避性パーソナリティ障害と他の障害との関連 回避性パーソナリティ障害の原因は?発達障害との関連は? 回避性パーソナリティ障害の疑いを感じたら 回避性パーソナリティ障害の治療法 障害を克服するために、本人が心がけること 周りはどう支えればいい? まとめ

回避性パーソナリティ障害とは

回避性パーソナリティ障害とは、日本人に多いパーソナリティ障害の一種で、人より不安を感じやすく、傷つくことや失敗することを極度に恐れるようになってしまう精神障害のことです。

パーソナリティ障害の一般的な特徴は以下の3点です。

・認知、感情、対人関係、衝動性などにおいて、著しい偏りのパターンがあること
・偏りのパターンは、青年期か成人期の早期(10歳代後半から20歳代前半くらいまで)に始まり、それから長年つづいていること
・偏りのパターンがあることにより、社会生活や仕事の場面で支障が生じていること


アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)によると、パーソナリティ障害は以下のように3つに分類されています。
回避性パーソナリティ障害とは?「傷つかないよう避けてしまう」症状や治療法、克服するための方法を解説の画像
DSM-5におけるパーソナリティ障害の分類
Upload By 発達障害のキホン
回避性パーソナリティ障害はC群に該当し、不安が強いことや、傷つきと失敗を恐れるあまり、人と接触したり、課題にチャレンジしたりすること自体を避けてしまうことを特徴としています。

回避性パーソナリティ障害がある人の割合は、一般人口では0.5~1%、精神科通院者での割合は10~25%です。
対人関係においても不安や恐怖が強いため、仕事や恋愛などにも支障をきたし、場合によっては引きこもりになってしまうこともあります。日本人に比較的多くみられるパーソナリティ障害であり、他のパーソナリティ障害に比べると比較的社会適応の幅が広いとも言われています。

このパーソナリティ障害では、他者からの批判や拒絶を恐れ、自分が軽んじられているという思いを抱きやすいことから、社会的かかわりが困難となっている。彼らは常々、自己への不確実感および劣等感を抱いており、習慣的に自己にまつわる不安や緊張を持続させている。このため、羞恥心を生じる状況や注目の集まる場で失態を演じることを恐れ、そのような場面を避ける傾向をみせる。その結果、彼らは対人交流に消極的になり、限られた範囲でしか親密な関係を形成できなかったり、ひきこもって生活の範囲を制限したりすることがある。

岡崎祐士/監修『ICD-10精神科診断ガイドブック』(中山書店/刊)より引用

出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4521737056

回避性パーソナリティ障害の症状

回避性パーソナリティ障害の症状としては、以下のようなものがあります。

・他人からの批判や拒否を恐れ、大切な用事や面談を避けてしまう
・人と上手く付き合えないと感じているため、新しい人間関係を築こうとしない
・他人より長所が少なく、自分を劣っている人間だと思っている
・恥をかくのが嫌でその不安から新しいことにチャレンジしたりするが苦手である
・自分に好感を持っていると確信できなければ、その人と親密な関係を持たない
・恥や馬鹿にされることを恐れ、親密な関係でも共同作業を断ることがある
・人といる時に、普段通りに自然に振舞うことがなかなかできない

回避性パーソナリティ障害の前兆は、内気さ、孤立、および見知らぬ人や新しい状況に対する恐怖が生まれる幼児期または小児期に始まりますが、ほとんどの人はこれらの傾向は成長・加齢によって消えていきます。

ところが回避性パーソナリティ障害を発症する人は、新しい人との社会的関係が特に重要になる青年期および成人期早期にますます内気になり、回避的になっていく可能性があります。

回避性パーソナリティ障害の診断基準

パーソナリティ障害の診断は、パーソナリティが形成されていることが前提となるため、一般的には18歳以上で診断が下されることが多いです。診断基準は医療機関によって異なりますが、主に世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)とアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)に基づいて診断が下されます。
ICD-10による診断基準では、以下から3項目以上が認められれば回避性パーソナリティ障害が診断されます。

(1)持続性で広範な緊張と不安
(2)自分は社会的に不適格だなどの劣等感
(3)対人場面で批判・拒否されることの不安
(4)好かれている相手でないとかかわれないこと
(5)安全を追求するためライフスタイルが制限されていることや批判や拒否を恐れるため対人的接触を回避すること
DSM-5による診断基準では、以下から4項目以上が認められれば回避性パーソナリティ障害が診断されます。
 
(1)批判、非難、または拒絶に対する恐怖のために、重要な対人接触のある職業的活動を避ける
(2)好かれていると確信できなければ、人と関係を持ちたがらない
(3)恥をかかされる、または嘲笑されることを恐れるために、親密な関係の中でも遠慮を示す
(4)社会的な状況では、批判される、または拒絶されることに心がとらわれている
(5)不全感のために、新しい対人関係状況で抑制が起こる
(6)自分は社会的に不適切である、人間として長所がない、または他の人より劣っていると思っている
(7)恥ずかしいことになるかもしれないという理由で、個人的な危険をおかすこと、または何か新しい活動にとりかかることに、異常なほど引っ込み思案である
たいていの人は、多かれ少なかれこのような回避的なパーソナリティを持ってはいます。しかし、回避性パーソナリティ障害であるといえるのは、これらの傾向に柔軟性がなく、持続的で、社会生活が困難になるほどの苦痛を引き起こしている場合のみです。

特にこれらのパーソナリティの傾向は、日本特有の奥ゆかしさや恥の文化と重なります。他人の評価や反応を必要以上に気にして人前にあまり出たくないというパーソナリティを持つ日本人は多く、これらの基準に当てはまるからといって必ずしも「障害」とはいえないこともあります。

例えば、DSM-5はアメリカの基準であるため、日本の社会の仕組みや文化的背景を考慮しないと必ずしも治療を必要としない人まで「障害」になってしまうこともあるのです。

しかしこれは裏を返せば、日本では回避性パーソナリティ障害の人は理解されやすく、受け入れられやすい土壌があるということも意味しています。

回避性パーソナリティ障害と他の障害との関連

回避性パーソナリティ障害の症状は、他のパーソナリティ障害の症状と重なる部分もあり、下記の障害が併発することもあります。しかしこれらと回避性パーソナリティ障害とを区別することは自分の障害を理解するためにも、また治療するうえでも重要です。

以下では、回避性パーソナリティ障害と共通の症状を持つパーソナリティ障害と、各障害との違いについてまとめました。

依存性パーソナリティ障害

どちらも他人からの批判に対して過敏であること、他人から自分が受け入れられていることの保証を求めることを特徴としています。しかし回避性パーソナリティ障害の人は、内に依存心を秘めながらも、その依存性を嫌って自立的であろうとする傾向があります。

シゾイド・パーソナリティ障害/統合失調型パーソナリティ障害

どちらも社会的孤立を特徴としています。回避性パーソナリティ障害の人は他人と関係を持ちたいという思いがあり、孤独感を強く感じているのに対して、シゾイド・統合失調型パーソナリティ障害の人は社会的孤立に満足していたり、むしろそれを好む傾向があります。

妄想性パーソナリティ障害

他人に秘密を打ち明けることを躊躇するという特徴が共通していますが、回避性パーソナリティ障害の人がこれを躊躇するのは、恥ずかしい思いをさせられたり、不適切だということが分かったりすることを恐れるためです。妄想性パーソナリティ障害の人は、他人と共有する情報が自分に不利に用いられるという恐れのために秘密を他人に打ち明けたがらないという点で異なります。

その他の併発しやすい精神障害

また、同時に診断されることが多い障害としては他に、

・抑うつ障害
・双極性障害
・社交不安症
・境界性パーソナリティ障害

があります。

回避性パーソナリティ障害の原因は?発達障害との関連は?

遺伝的要因と環境的要因

パーソナリティ障害の原因は遺伝的要因と環境的要因の2つに分けられると考えられています。遺伝的要因についてはまだ解明途上で、詳しいことはよく分かっていません。

回避性パーソナリティ障害については、消極的な性格や不安が強い性格が遺伝していることも考えられますが、かつては活発な子どもだったにも関わらず、あることをきっかけに回避性パーソナリティ障害となることもあるため、環境要因も大きく影響していると考えられます。

環境的要因については、親とのかかわり方や過去の社会的体験などが関係しているといわれています。典型的な環境要因としては、親からの過干渉やあからさまな批判、強制的に勉強や習い事をやらされ続けるといった支配的な教育環境があります。また、いじめ、教師からの強い叱責、人前で恥をかかせられるような体験などの社会的体験も、回避性パーソナリティ障害の一因となりうるようです。
パーソナリティ障害は、複数の要因が複雑に絡み合って起こるものです。パーソナリティ障害の場合、原因が分かったところで、それが治療に直結するとは限りません。

そのため、原因を追求することよりも「これからどうすればよいか」を考えることのほうが重要です。

発達障害とパーソナリティ障害の関連は?

発達障害がある子どもが周りからの適切な支援や理解を得られないと、周りの大人から注意されることが多くなったり、いじめのターゲットになったり友達から孤立するなど、社会的体験がつらいものになりがちです。この経験の積み重ねが、将来のパーソナリティの形成に大きく影響しています。

発達障害自体がパーソナリティ障害へと発展するのか、それとも発達障害の抱えるハンディが社会的体験を不利にして、パーソナリティ障害になりやすい要因となるのかは未だ解明されていません。

ですが、発達障害がある人に対しては、本人の特性を理解し、できるだけポジティブな社会心理体験が積めるように配慮することが特に重要だといえるでしょう。

回避性パーソナリティ障害の疑いを感じたら

当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
放課後等デイサービス・児童発達支援の求人一覧です。待遇・給与、勤務時間、研修・教育制度、職員のインタビューからあなたにぴったりの職場を探せます。
会員登録後のエントリーで1,000円のAmazonギフトカードがもらえるキャンペーンを実施中!
あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

発達障害のキホンを知る

発達障害のキホンを知る

この記事を書いた人

発達障害のキホン さんが書いた記事

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説のタイトル画像

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説

PTSDは、つらいできごとがトラウマとなり、さまざまな症状を発症する疾患です。発症すると、そのできごとに関わる人・場所を過度に避けたり、考...
発達障害のこと
254150 view
2018/12/09 更新
子どもの癇癪(かんしゃく)とは?原因、発達障害との関連、癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめのタイトル画像

子どもの癇癪(かんしゃく)とは?原因、発達障害との関連、癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめ

大声で泣き叫んだり、暴れたりする子どもに困っている…。一旦気持ちが爆発するとなかなか収まらない癇癪ですが、子どもが癇癪を起こす背景には必ず...
発達障害のこと
656739 view
2018/12/07 更新
難病の軽症高額該当で、医療費助成の対象外でも支援が受けられる?制度該当条件などを詳しく解説します!のタイトル画像

難病の軽症高額該当で、医療費助成の対象外でも支援が受けられる?制度該当条件などを詳しく解説します!

難病法には重症度基準が設けられ、病状の程度が一定以上の人は、医療費助成の対象となります。しかし、指定難病の診断を受けていても、治療により症...
身のまわりのこと
3857 view
2018/12/04 更新
放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。