特別支援教育就学奨励費とは?支給の対象、支給額、申請方法について【専門家監修】
ライター:発達障害のキホン
特別支援教育就学奨励費は、特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室などに通っている場合に、学用品や通学費、給食費などの一部を支援する制度です。入学時に必要なものにも支援対象となるものがあるので、ぜひご確認ください。
監修: 國本真吾
鳥取短期大学幼児教育保育学科教授
障害のある青年が、希望すれば18歳以降も学び続けることができる機会をどのように保障するかをめざして活動。学校教育の外側にある社会教育、福祉、労働、地域生活などから、障害のある子ども・青年の教育のあり方を深めている。また、鳥取県内で活動する沖縄音楽グループ・ゆいま~るのキーボーディストとして、障害のある若者と一緒に演奏の舞台に立つこともある。
特別支援教育就学奨励費とは?
特別支援教育就学奨励費とは、お子さんが特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室などに通っている場合に、学校で使う勉強道具や通学費、給食費などに必要な費用の一部を、国や地方公共団体が補助するという制度です。
文部科学省ではこの制度を以下のように定義しています。
文部科学省ではこの制度を以下のように定義しています。
障害のある幼児児童生徒が特別支援学校や小学校・中学校の特別支援学級等で学ぶ際に、保護者が負担する教育関係経費について、家庭の経済状況等に応じ、国及び地方公共団体が補助する仕組みです。
出典:7.特別支援教育就学奨励費|文部科学省ホームページ
つまり主に義務教育において、障害のあるお子さんを育てる保護者の負担が軽くなるよう、国や地方公共団体から経済的な補助を得られる制度なのです。
平成25年度からは、通常の学級で学ぶ児童・生徒(学校教育法施行令第22条の3に定める障害の程度に該当)も対象となっており、特別支援教育の令和5年度予算(案)においても、特別支援教育就学奨励費が明記されています。
平成25年度からは、通常の学級で学ぶ児童・生徒(学校教育法施行令第22条の3に定める障害の程度に該当)も対象となっており、特別支援教育の令和5年度予算(案)においても、特別支援教育就学奨励費が明記されています。
特別支援教育就学奨励費の制度を利用する場合、学校を通して申請することができます。最近では、電子申請が可能な自治体も増えてきています(令和6年度現在)。在籍する学校や自治体で確認しましょう。
特別支援学校や特別支援学級に在籍しているお子さんだけでなく、通常学級で学んでいるお子さんでも障害の程度によっては支援が受けられるということですが、具体的にはどのような子ども、家庭が対象となっているのでしょうか?
領収書は捨てないで!学用品が対象の特別支援教育就学奨励費とは
特別支援教育就学奨励費の対象者・対象品目は?
特別支援教育就学奨励費の対象者
上記の文部科学省の規定によると、この事業の対象となるのは以下の2つのどちらかに当てはまる子どもとなっています。なお、通っている学校が私立でも公立でも、この制度を利用することが可能です。
1.特別支援学校、小学校・中学校の特別支援学級に通っている
2.通常学級に在籍の場合、学校教育法施行令第22条の3に定める障害の程度に該当する児童生徒
「学校教育法施行令第22条の3に定める障害の程度」については、例えば「知的障害」の場合は以下のような記載があります。
1.特別支援学校、小学校・中学校の特別支援学級に通っている
2.通常学級に在籍の場合、学校教育法施行令第22条の3に定める障害の程度に該当する児童生徒
「学校教育法施行令第22条の3に定める障害の程度」については、例えば「知的障害」の場合は以下のような記載があります。
一 知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの
二 知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの
出典:学校教育施行令第二十二条の三|学校教育法施行令(出典:e-Govポータル)
ただし上の条件に当てはまっていても、生活保護受給世帯・就学援助費の受給世帯は対象外となることが一般的です。
また、通級指導教室を利用している場合には、交通費が支給されます。
高校は、特別支援教育就学奨励費の対象外となりますが、特別支援学校の高等部に通っている場合は、支援の対象となります。高校に通っている場合は、全国の約80%の生徒が利用している高等学校等就学支援金や、生活保護世帯等が対象の高校生等奨学給付金という制度を利用できます。
また、通級指導教室を利用している場合には、交通費が支給されます。
高校は、特別支援教育就学奨励費の対象外となりますが、特別支援学校の高等部に通っている場合は、支援の対象となります。高校に通っている場合は、全国の約80%の生徒が利用している高等学校等就学支援金や、生活保護世帯等が対象の高校生等奨学給付金という制度を利用できます。
なお自治体によっては、通常学級に通われるお子さんへの支援を認めるために事前に教育相談をする必要がある場合もあります。
教育相談とは?相談の流れ、申し込み方法など【専門家監修】
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特別支援教育就学奨励費、所得制限はある?
例えば、東京都の場合、「所得が生活保護基準の2.50倍以上の世帯」は、基本的に支給の対象外となります。しかし、特別支援学校の幼稚部・小学部・中学部に在籍の場合、通学費や帰省費などは、所得制限なく全額支給されます。また、修学旅行費や校外活動等参加費の付添人経費については、東京都の区立・私立特別支援学校の全学部において、限度額まで全額支給とされています。
支給額は、世帯の収入だけでなく、家族構成や持ち家か借家かなどで基準額を定めていることもあります。どのような基準を設けているかは、自治体によってさまざまです。
支給額は、世帯の収入だけでなく、家族構成や持ち家か借家かなどで基準額を定めていることもあります。どのような基準を設けているかは、自治体によってさまざまです。
※東京都教育委員会の就学奨励事業は、特別支援学校への就学に適用される制度です
特別支援教育就学奨励費の対象品目
この制度では、何に対しての費用が補助対象となるのでしょうか。文部科学省によると、下のようなものが対象として挙げられています。
対象とする経費は、通学費、給食費、教科書費、学用品費、修学旅行費、寄宿舎日用品費、寝具費、寄宿舎からの帰省費などがあります。
出典:7.特別支援教育就学奨励費|文部科学省ホームページ
詳細の項目は、自治体によっても異なりますが、新入学児童・生徒については、入学時に必要なランドセルや制服なども含まれています。
実際に支給を受けられるのは小・中学在学中ですが、入学前に購入したものも含まれることもあるので、申請する場合を考えてレシートや領収書を保管しておくと良いでしょう。
実際に支給を受けられるのは小・中学在学中ですが、入学前に購入したものも含まれることもあるので、申請する場合を考えてレシートや領収書を保管しておくと良いでしょう。
特別支援教育就学奨励費の支給額・支給方法
実際の支給額は、保護者の所得や年収、世帯構成などによって異なります。今回は東京都の場合を例に説明します。
東京都では保護者の収入状況等に応じて支弁区分というものが定められています。支弁とは支給されるものが金銭であるときに使われる言葉であり、支弁区分とは、支給の程度を定めるために振り分けられる段階のようなものです。支弁区分は子どもが施設等に入所している場合を除いて3つに分けられ、それぞれに応じて補助の割合が決まっています。
支弁区分に応じた補助の割合は、下のようになっています。
第1段階(所得が生活保護基準の1.5倍未満、または生活保護世帯、これ準ずる世帯)→全額補助
第2段階(所得が生活保護基準の1.5倍から2.5倍)→半額補助
第3段階(所得が生活保護基準の2.5倍以上)→補助なし
ただし、経費の内容によっては、第2段階・第3段階の支給割合が上記とは異なることがあります。
例えば、特別支援学校(幼稚部・小学部・中学部)在籍の場合、通学費や帰省日などは、第3段階であっても全額支給されます。高等部(本科)においては、教科用図書購入費も支弁区分に関わらず全額支給され、ICT機器購入費などは「限度額まで全額支給」とされています。
東京都では保護者の収入状況等に応じて支弁区分というものが定められています。支弁とは支給されるものが金銭であるときに使われる言葉であり、支弁区分とは、支給の程度を定めるために振り分けられる段階のようなものです。支弁区分は子どもが施設等に入所している場合を除いて3つに分けられ、それぞれに応じて補助の割合が決まっています。
支弁区分に応じた補助の割合は、下のようになっています。
第1段階(所得が生活保護基準の1.5倍未満、または生活保護世帯、これ準ずる世帯)→全額補助
第2段階(所得が生活保護基準の1.5倍から2.5倍)→半額補助
第3段階(所得が生活保護基準の2.5倍以上)→補助なし
ただし、経費の内容によっては、第2段階・第3段階の支給割合が上記とは異なることがあります。
例えば、特別支援学校(幼稚部・小学部・中学部)在籍の場合、通学費や帰省日などは、第3段階であっても全額支給されます。高等部(本科)においては、教科用図書購入費も支弁区分に関わらず全額支給され、ICT機器購入費などは「限度額まで全額支給」とされています。
※東京都教育委員会の就学奨励事業は、特別支援学校への就学に適用される制度です
「わが家の場合、特別支援教育就学奨励費は、いくらもらえるの?」「どうやって申請するの?」と疑問に感じる場合は、まずは自治体のホームページを確認してみましょう。
「わが家の場合、特別支援教育就学奨励費は、いくらもらえるの?」「どうやって申請するの?」と疑問に感じる場合は、まずは自治体のホームページを確認してみましょう。
特別支援教育就学奨励費の支給日は?
東京都では、奨励費を支給する際に「金銭支給」と「現物支給」の2つの方法を取っています。
「金銭支給」とは、保護者等が一旦負担した確定額を口座振り込みや現金によって支給してもらうというものです。「金銭支給」の場合の支給日については、年2回や3回など、定例で払われることが一般的です。
「金銭支給」とは、保護者等が一旦負担した確定額を口座振り込みや現金によって支給してもらうというものです。「金銭支給」の場合の支給日については、年2回や3回など、定例で払われることが一般的です。
支給のある方には、年2回に分けて、申請書記載の振込先口座に振り込みます。各振込予定月に、振込日及び振込金額等を郵送で通知します。(手続きの都合上、振込が遅れる場合があります)
4月~9月分・・・11月に振込
10月~3月分・・・3月に振込
出典:小学校・中学校特別支援教育就学奨励費制度について|吹田市ホームページ
保護者が一旦負担した金額について、年3回(7月・12月・3月)の定例払において金銭を支給します。口座振込又は現金により支給します。
出典:令和6年度 就学奨励事業のお知らせ|東京都教育委員会ホームページ
※東京都教育委員会の就学奨励事業は、特別支援学校への就学に適用される制度です
「うちの市町村では、いつもらえるの?」と疑問に感じる場合は、自治体のホームページを確認してみましょう。
「現物支給」の場合は、保護者が金銭を受け取るのではなく、本来かかる費用が保護者を介さずに支払われるというものです。たとえば、給食そのものが提供されたり修学旅行にかかる費用が学校から業者に直接支払われたりするというのが、この現物支給です。
「現物支給」の場合は、保護者が金銭を受け取るのではなく、本来かかる費用が保護者を介さずに支払われるというものです。たとえば、給食そのものが提供されたり修学旅行にかかる費用が学校から業者に直接支払われたりするというのが、この現物支給です。
※東京都教育委員会の就学奨励事業は、特別支援学校への就学に適用される制度です
自閉症息子、特別支援学校へ!就学準備は提出書類も多くて大変だったけど…意外だった入学準備リストと心強かった存在