支援級?それとも通常級?悩んだ時に選べる「その間」の選択肢って?

ライター:楽々かあさん
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「本当に支援級でいいの?」「通常級でやっていけるの?」…発達障害・グレーゾーンの子の親は、入学前も入学後も、気持ちが揺れ動きますよね。でも、「支援級か、普通級か」の2択で思い詰めずとも、通常級で受けられる支援や、支援級でも出来る通常級との交流など、子どもに合わせて柔軟に考えた我が家の選択についてお伝えします。

うちの子は支援級?それとも通常級?悩む前に知ってほしい、もう一つの選択肢

「うちの子、本当に通常級で皆と一緒にやっていけるの…?」
「心配だから支援級にしたけど、本当にこれで良かったの…?」

この時期、発達障害・グレーゾーンのお子さんの入学を控えたお母さんは、気持ちが揺れ動いているかもしれません。

また、入学後のお子さんを見て、
「通常級で頑張っているけど、正直ついていけないみたい。私もトラブルばかりで、なんだか疲れちゃった…」
「支援級でのんびりやってるけど、正直持て余しているみたい。うちの子、ずっとこのままでいいの…?」
…なんて悩まれているお母さんもいるでしょう。

我が家の長男は、通常級・支援級の両方を経験しています。通常級と支援級、両方を経験した私たち親子だから分かること。

そして、「通常級か、支援級か」の二者択一ではなく、通常級で受けられる支援や、支援級でも出来る通常級との交流など、さらなる選択の可能性だってあることを、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。
就学相談とは?通常学級・通級・特別支援学級・特別支援学校について【専門家監修】のタイトル画像

就学相談とは?通常学級・通級・特別支援学級・特別支援学校について【専門家監修】

通常級から支援級へ、そしてまた通常級へ。それぞれのクラスで受けることが出来た配慮

うちの長男は、小学校入学時の健診までは、目立った知的・言葉の遅れはなく、発達障害に気づかずに入学し、4年生まで通常学級(以下、通常級)で過ごしました。

そして、5年生で特別支援学級(以下、支援級)に自分の意思で転籍し、来年度は、また通常級に戻る予定でいます。(※転籍を希望する場合、いつ頃までに伝えれば翌年度のクラス編成に間に合うかは、地域・学校ごとによって異なりますので、それぞれご確認下さい)

支援級にも、通常級にも、それぞれにメリット・デメリットがあり、その時々の担任の先生との相性や、クラスの他のお子さん達との関係などでも大きく、その環境が合うか、合わないかは変わってきます。

正直、そのクラスがお子さんにとっていい環境になるかは、「実際に、フタを開けてみないと分からない」のです。

だから、一概に「通常級で伸びる」「支援級で落ち着く」とは、言い切れない現実もあると思います。また逆に、「通常級で落ち着く」「支援級で伸びる」可能性だって十分あるのです。

そして、「支援級か、通常級か」の間で揺れ動く、うちの子と似たようなお子さんには、「その中間のスタンス」である「通常級で受けられるサポート」と「支援級で可能な通常級との交流」もそれぞれあることも、是非知っておいて欲しいと思います。

加配や取り出し個別指導、我が家が通常級で受けることが出来たサポート

さて。入学時までに、親に発達障害に気づかれず、いきなり通常級に放り込まれた長男(ごめんね)。当然、大混乱・大パニックです!

ランドセルの中身はからっぽ。登下校ではケンカばかり。漢字書き取りは投げ出す…毎日トラブル続きで、私も育児にすっかり自信をなくし、途方に暮れていました。

そしてある日。長男はクラスのレクリエーションに参加できずに、泣いて教室を飛び出しました。

…そんな時、一緒にいてくれたのが、「加配」の先生でした。

「加配」の先生によって、普通級で受けることが出来た支援とは…?

「加配」とは、担任に加えて、他の教員などが通常級に入り込む形で、支援の必要な子を中心にサポートしてくれる制度のことです。

呼び方も役割もそれぞれビミョーに違いますが、「加配」「補助教員」「支援員」「介助員」「民間のボランティア」などといった呼び名の人が、クラスに配置されて子供を支援してくれます(学習指導ができるのは、教員免許保持者のみ)。

自治体の予算で人員が確保されるので、状況によっては、希望を伝えても、配置や増員がすぐには難しい場合もあるかもしれません。

うちの学校の場合、加配教員の先生が、1・2年生の各学年に1名が配置され、各クラスを巡回しています。

うちの子達がお世話になった例は…

・教室を泣いて飛び出したり、パニックになってしまった時に、一緒に廊下にいてくれた
・授業中、ぽわ〜んと上の空になっていた時に気づかせたり、漢字学習の時、下書きを入れてくれた
・休み時間、友だちともめ事になった時に、仲介役をしてくれた

…などなど。普段から何かと長男に声をかけてくれ、コミュニケーションを図ってくれました。

他にも、読字障害のある子や、言葉での表現が難しい子、日本語が母国語でない子などに、教科書の代読や筆談をする、などのサポート例もあるようです。

加配の先生は、支援・介助の必要な特定の児童1人につく場合もあれば、うちの学校のように、障害の有無に限らず「教室で気になる子」を中心に、全体的にフォローすることもあります。

うちの加配教員の先生方は、商売大繁盛。いつも走り回っていて、忙しそう。

正直、学年に1人の配置では、低学年のクラスでは手が足りず、充分とは言えない状況のように感じましたが、子ども達にとっては「教室を飛び出したら、加配の◯◯先生が捕まえてくれる」という、不思議な安心感があったようです。

「通級」とも違う?「取り出し個別指導」とは

ところが、3年生になると、学年への加配教員の配置はなくなってしまい、特別支援コーディネーターの先生にご相談したところ、頂いた提案が「取り出し個別指導」(以下、取り出し)でした。

実は、うちの自治体の他校に設置の「通級」は、希望者が多くて順番待ちの待機状態。

私は「何年も待ってる間に、うちの子は大きくなっちゃう!」と、最初から通級の希望は出しませんでした。

「取り出し」は、その学校の独自の裁量による任意のサポートです。必ずしも全ての学校で実施されている訳ではないのですが、近年、徐々に実施する学校も増えて来ているようです(実施の有無は、各学校にお問い合わせ下さい)。

これは本当に助かりました。

うちの場合、希望者が多く、週に1時間程度でしたが、空き教室を利用して、その時間に手の空いている先生(音楽などの教科担任、少人数指導、管理職の先生等)が1対1で、長男を個別に見てくれるというもの。

算数を中心とした学習のフォローや、習字や作文など、授業の時間内に取り組めなかった、終われなかった課題を、一緒に丁寧に仕上げてくれました。

それでも終わらなかったことは、家でフォローしていたので、私は内心「週1時間では全然足りない」と思っていました。

でも、長男はこの「取り出し」の時間をとても楽しみにしていて、少しでも「これならできる」という体験を学校内で得られることが大事なのだと気づきました。

それに、この1対1の時間で、長男はいろんな先生と打ち解け、何かと声をかけてくれたりと、学校に長男の理解者・味方が増えました。

そして、「おれは、人数が少なければ集中できる!」という自信が持てたので、人数の少ない支援級への転籍を、自ら希望したのです。
次ページ「交流級制度を使うことでこれまでのクラスメイトとも一緒に学ぶことが出来る!」

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