モロー反射とは?いつまで続く?激しい時の対処法や、消えない場合の発達障害・脳性麻痺との関連【小児科医監修】
モロー反射とは、赤ちゃんが生まれつきもっている、原始反射と呼ばれる反射的な運動のことを指します。赤ちゃんが外からの刺激に反応し、抱っこを求めるように腕を広げる動作を可愛らしく思うパパ・ママも多いのではないでしょうか。ここではモロー反射が表れる期間や疾患・発達障害との関係、対応法についてまとめました。
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
新生児のモロー反射とは?生後いつまでみられる?
このコラムで分かること
- 新生児特有の「モロー反射」とは?見られる時期(生後0~4ヶ月頃)と消失の目安
- モロー反射と動きが似ている「点頭てんかん(ウエスト症候群)」との見分け方
- モロー反射が激しい、または長引く場合の「脳性麻痺」や「発達障害」との関連性について
- 赤ちゃんがモロー反射で起きてしまう・泣く時の、寝かせ方や環境づくりの工夫
- 動きに違和感がある時や不安な場合の相談先(小児科、健診での確認ポイント)
モロー反射は、いつからいつまで?
原始反射とは?
原始反射は足や指、口など赤ちゃんの身体のさまざまな部位で見られます。既に挙げたモロー反射の他にも、以下のような原始反射があります。
◇自動歩行
赤ちゃんを立たせるように支え、足を床につけてあげると、まるで歩いているかのように足を交互に屈伸させる動き
◇把握反射
手や足のひらに他の人の指などが触れた時、反射的に握りしめる動き
◇吸てつ反射
赤ちゃんが口に入ったものに反射的に吸いつく動き
◇バビンスキー反射
足の裏をかかとからつま先に向けてゆっくりこすると、足指が反射的に開く動き など
モロー反射の消失時期
原始反射は脳幹によってコントロールされている動きです。そのため原始反射の出現と消失を確認することは、脳や脊髄をつかさどる中枢神経の発達が順調であるかどうかの指標となります。
モロー反射をはじめとする原始反射は、左右差がないか、長い期間認めていないかなどを健診で確認します。
モロー反射と点頭てんかん(West症候群)の違いとは?
点頭てんかん(West症候群)とは?
点頭てんかんとは、乳児期に起こる悪性のてんかんです。生後3~11ヶ月時に発症することが多く、その背景には重篤な脳障害があります。小児難治てんかんの中では最も多く発症するてんかんであるといわれています。
点頭てんかんの80%は、生まれる前あるいは出生直後に起こった脳障害の合併症として起こり、症候性West症候群と呼ばれます。一方残りの20%は、発症までの発達も正常で、かつさまざまな検査でも異常なしであるため潜因性West症候群と呼ばれます。
点頭てんかん自体は遺伝性の疾患ではありません。しかし、遺伝性の脳障害の合併症として点頭てんかんが発症した場合は遺伝する可能性があります。
点頭てんかんの具体的な症状として、生後3~11ヶ月時に以下のような発作、様子が表れます。
・眠い時や目覚めの前後で突然頭がガクッと垂れる
・手足を一瞬縮めたり伸ばしたりする
・このような動きが5秒~40秒毎に繰り返し続き、またこの一連の発作が一日に何回も見られる
・情緒や運動の発達が停滞・後退する
(発作が出現前後より患児は笑わなくなったり、不機嫌になったりする。また今までできていた首のすわりやお座りができなくなる)
治療としては、薬物治療やホルモン治療、食事療法、外科治療を行います。それによって発作を抑制させることをねらいとしています。
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モロー反射と点頭てんかんとの違い
モロー反射は赤ちゃんに大きな刺激を与えられたときに表れる反射的な運動です。一方で、点頭てんかんの場合は刺激の有無にかかわらずそういった動きが見られることがあります。また、点頭てんかんでは、一定時間ごとに発作的な動きとして表れるほか、一日に何回も見られることもあります。
赤ちゃんの様子を見て、もし何か気がかりなことがあったら、気になる症状の様子を動画にとった上で、かかりつけの小児科に一度相談してみるとよいでしょう。モロー反射の動きと点頭てんかんの動きは一般の人にはなかなか判断が難しいものです。「こんなことで相談するのは気が引ける……」などと遠慮せずに、少しでも気になったことはお医者さんに聞いて、子育ての不安を減らしていきましょう。
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このような場合、脳性麻痺かも?
また、モロー反射があまりに弱い、全く見られないという場合も脳性麻痺につながる「核黄疸」であるケースも考えられます。
黄疸とは、新生児期に起こる、皮膚や眼球が黄色を帯びる現象のことです。通常生後数日で赤ちゃんには黄疸が表れますが、ほとんどの場合これは生理的なものであるため遅くとも生後3週間以内に消えていきます。しかし、中には生理的なものではなく、「病的黄疸」と呼ばれる黄疸もあります。この病的黄疸の一種である核黄疸は、治療が遅くなると脳性麻痺につながることがあります。
核黄疸は生理的黄疸よりも強力で、ただ皮膚が黄色を帯びるだけにとどまらず、脳機能や運動機能・筋力に大きな影響を及ぼすことがあります。モロー反射が極めて弱い、全く見られないときは核黄疸の初期症状による、運動機能や筋力の減弱である可能性があります。心配な場合はかかりつけのお医者さんに診てもらいましょう。
発達障害とモロー反射の関連は?
モロー反射が長く続くということは、外からの刺激に毎回反応してしまう、つまり刺激に対して敏感な状態が続くと解釈できます。そのため、以下の発達障害のような傾向が見られることがあります。
・音や光をはじめとする刺激に対する感覚過敏
・社会的未熟さ(新しい状況・環境への参加対応が難しい)
必ずしもモロー反射が長く続く=発達障害である、というわけではありません。しかし、モロー反射をはじめとする原始反射が長く続けば続くほど何らかの問題がある可能性が高まります。いざというときのために、日頃から子どもの動作をよく観察したり、場合によっては記録したりすることが大切です。
モロー反射が激しいときはどうすればいいの?
これは、大きな刺激に対して大きな動きで反応した赤ちゃんが、刺激と自分の動きに対してびっくりしてしまい、その衝撃で泣く、というメカニズムで起こります。モロー反射は刺激に対する無意識の反応のため、パパ・ママにできることとしては赤ちゃんに不要な刺激を与えないように環境を整えてあげることが必要です。
・大きな音をなるべく立てない
・赤ちゃんが極端な熱さ、冷たさに触れないようにする(冷たい風や指でも赤ちゃんはびっくりしてモロー反射を起こすことがあります。)
・こまめなスキンシップで赤ちゃんを安心させてあげる
また、寝かしつけの際に赤ちゃんがモロー反射を起こし、なかなか寝てくれなくて悩んでいる...というパパ・ママもいるかもしれません。この場合、寝かしつけるとき、特に赤ちゃんをだっこしている腕の中からベッドへ移すときがポイントです。赤ちゃんにとって刺激となる要因をできるだけ少なくする、以下のような工夫をすることが大切です。
・ベビーベッド・赤ちゃんの寝具を、だっこされている腕の中の体温くらいにあたためておく
・だっこから腕を抜くときに、赤ちゃんの首の角度や体勢が大きく変わらないようにする
・扇風機の風やヒーターの光が赤ちゃんに直接当たらないようにする
このように、モロー反射が激しく、一度起こるとしばらく泣き続けてしまうなどという場合、まずは子どもに余計な刺激を与えないような環境づくりをすることが重要です。また、モロー反射から泣きだす子どもの大半はびっくりして泣いています。パパ・ママがこまめにスキンシップをとることで赤ちゃんを安心させてあげることも一つの方法です。
まとめ
また、ただかわいい動作であるだけでなく、モロー反射をはじめとした原始反射は子どもの発達状態の一つの重要な指標となります。原始反射の始まりと終わりの時期や動作の特徴などで子どもの発達状態に問題がないか気づくきっかけになることがあります。
モロー反射とさまざまな疾患・発達障害との関係についてもご紹介しましたが、実際パパ・ママにとって、モロー反射と他の疾患の症状を区別することは難しいケースが多いです。モロー反射などの原始反射を通して、少しでも不安を感じたときは乳幼児健診の際に保健士や医師に相談したり、行きつけの小児科へ相談したりすることをおすすめします。
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