ずりばいとは?ハイハイとの違い、始まる時期、しない理由、練習法や相談先を紹介します。

2017/02/03 更新
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「ずりばい」とはハイハイの前段階にあたり、腹ばいで移動するほふく前進のような動作です。うつぶせに慣れたころに始まる「ずりばい」は、赤ちゃんにとってどんな意味をもつのでしょうか?このコラムではずりばいをしない、時期が早い、遅いといった不安とその理由、練習方法などを調べてみました。一般的な発達の順序、発達相談をしたい時の手順も併せて紹介します。

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目次
  • ずりばいとは?
  • ずりばいとハイハイの違いは?
  • ずりばいはいつごろから始まるの?
  • ずりばいが赤ちゃんにもたらすものは?
  • ずりばいしない、ハイハイに進まない……。理由は?
  • ずりばいもハイハイもしないまま立ってしまうのは問題?
  • ずりばいやハイハイの不安を相談するには?
  • ずりばいをひきだす工夫
  • まとめ

ずりばいとは?

ずりばいとは、赤ちゃんの首すわりが安定して、うつぶせや寝返りに慣れたころに始まる移動のための動作です。このほふく前進のような動作が始まると、赤ちゃんは自分の意思で前後左右に自由に方向転換し、移動できるようになります。

それまでパパママの抱っこに頼っていた赤ちゃんが自分の力で自由に動き始める姿は、成長を待ちわびるパパママにとっては大きな喜びですが、実はずりばいは赤ちゃんにとって絶対に必要な成長のステップではありません。まずは下の図で赤ちゃんの移動手段がどのように変化していくかを説明したのでご覧下さい。
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なお、この記事内では手のひらを「手」、足の裏を「足」と表記し、「腕」は肩下から手首まで、「脚」は脚の付け根から足首までと定義します。

1. 寝返り
寝返りは首がすわりうつぶせの姿勢に慣れた赤ちゃんに見られる動作です。首すわり完了の目安は、うつぶせの姿勢で自分から首を持ち上げ、左右に動かせること。うつぶせの時期と重なるよう下半身の動きが活発になり、ふとしたきっかけて腰と脚の動きが連動すると、赤ちゃんは寝返りをします。横方向のみではありますが、赤ちゃんにとっては初めて自力で移動する体験です。

寝返りをしない赤ちゃんもいますが、その後の育ちが遅れるような影響はないとされています。寝返りに不慣れなうちは仰向けからうつぶせになることができても、うつぶせから仰向けに戻ることができず、もがくこともあります。

2. ずりばい
お腹をつけたまま腕や脚の力で前後左右に方向転換し、進めるようになった状態が「ずりばい」です。赤ちゃんに動きたい気持ちがありうつぶせに慣れていれば、しっかり腰がすわる前でも始まる動きです。左右の腕の筋力発達が非対称だったり腕と脚の動きを連動させることに慣れていないうちは、後ろに下がったり同じ場所をぐるぐる回ったりすることもあります。

ずりばいができるということは、赤ちゃん自身で平面を自由に移動できるようになったことを意味します。赤ちゃんの活動範囲が格段に広がるので、危険物を片づけるなどの安全対策をしておきましょう。ただし「ずりばい」はみんながするわけではなくこのステップをとばす赤ちゃんもいます

3. お座り
お座りは移動を伴う動作ではありませんが、歩き始めるまでには欠かせないステップです。最初のうちは背中が丸まっていたり手で上半身を支えたりしますが、次第に支えなしで座れるようになります。この段階から手で上半身を支える動作を徐々に覚え、腰でバランスをとる感覚をつかんでいきます。誰かが支えなくても安定してお座りの姿勢をとれるようになって初めて、腰と下半身を使った移動が可能になるのです。

4. ハイハイ
両手で上半身を支え、ひざ立ちで腰とお尻を持ち上げられるようになったら、体の重心を移動する練習が始まります。重心をコントロールでき、両手脚を連動して動かせるようになると、いわゆるハイハイの完成です。中には、このステップをとばしてひとりで歩き始める赤ちゃんもいます。ハイハイが始まった後、赤ちゃんはヒザ立ちから足の裏で体重を支える動作を覚えていきます。足の裏でバランスをとる経験を積む過程では、足の裏と手の平をついた姿勢の「高ばい」というハイハイをする赤ちゃんもいます。

5. 歩く
赤ちゃんが足の裏で体重を支える感覚を覚えるにつれ、手は移動よりも「物をつかむ、つまむ」という動きに使われることが増えていきます。物をつかむことに慣れるに従い、つかまり立ち、つたい歩きが始まり、その後は一人立ち、一人歩きと、順番を前後したりとばしたりしながら二足歩行を体得していきます。

ずりばいとハイハイの違いは?

ずりばいとハイハイを厳密に区別する場合、ポイントになるのはお腹をつけたままかどうかです。脳から伸びる運動神経は、頭から首、腕や背中、腰、脚という順で上から下、中央から末端へと発達していきます。そのため、ずりばいは首がすわり、頭と肩から手指までの運動神経がつながれば可能になる動きですが、ハイハイはさらに腰がすわり、腰と脚を使って胴を支えられるようになって初めて可能になる動きです。

また、ずりばいは機能的にまだ歩けない時期の赤ちゃんが試みる移動方法で、「移動したい」という意思が先行して体を動かす状態だといわれています。対してハイハイは移動だけでなく、体を自在に動かすこと自体にも喜びを感じている状態だといわれています。
ずりばいもハイハイも赤ちゃんの移動手段の1つである点は同じですが、1章の図で説明した通り、赤ちゃんが生まれてから歩き出すまでの移動方法の完成形は二足歩行です。ずりばいでは主に腕と手を使って移動するため、ハイハイやつたい歩きに比べると手と腕の使い方のバリエーションは少なくなります。しかし、腰がすわって下半身でバランスを取りながら移動できるようになるにつれ、腕と手を移動に使う必要性は減っていきます。

代わりに手は物をつかむ、つまむといった、道具を扱うための動きを習得する段階に入ります。手指の使い道が増えていく過程で、移動を担う体のパーツが下半身にシフトしていくのです。言いかえれば、ずりばい期は主に上半身の力、ハイハイ期は主に下半身の力で移動をしている状態だといえます。
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ずりばいはいつごろから始まるの?

第1章で紹介した赤ちゃんの移動方法の変化を、この章では「時期」という観点から説明していきます。

厚生労働省が作成した母子健康手帳の省令様式には生後6~7ヶ月の発達チェックに「寝返りをしますか」、生後9~10ヶ月には「ハイハイをしますか」との問いがあります。ずりばいは寝返りとハイハイの間に出現する移動手段なので、目安は8ヶ月前後と考えられます。
しかし、実際の赤ちゃんの発達は十人十色で個人差がとても大きいもの。ずりばいの始まりを待望するのは親心ですが、神経発達の時期や動きたいという意思は、赤ちゃん自身の個性や成長のスピードにあわせたタイミングで訪れるものです。赤ちゃんの移動方法のステップは、段階を進むと前の姿はあまり見せてくれなくなるものなので、ずりばいの前限定のもごもと動く姿を楽しむことも、赤ちゃんを育てる醍醐味かもしれませんね。

それでもずりばいがいつ始まるかが気がかりで、「ずりばいをしないのではなく、もしかしたらできないのでは?」という不安がぬぐえない場合もあるかもしれません。そんな時は、日々の暮らしの中で今その赤ちゃんがどの発達段階なのかをしっかり観察することを意識してください。

その赤ちゃんの「今」の状態を理解するには、生後何ヶ月という時期よりも、早産だった、成長曲線のカーブの上がり方がゆるやかだったなど、周産期から現在までにその赤ちゃんにどんな特徴があったかを見直すほうが、その後の見立てに役立ちます。これらの情報は、専門家に相談をする際にも必要で、赤ちゃんの成育歴や発達状況、暮らしぶりについての情報があればあるほど、ずりばい「しない」という現状にどのような理由、問題があるのかを見極める精度とスピードは上がるでしょう。

巷で「子育てに正解はない」とよくいわれるように、乳幼児期の発達は、スピードも現れ方も千差万別です。多くの育児情報がある中で何を目安にすればよいかとまどうことも多いかもしれませんが、何よりも理解するべきは、いま目の前にいる赤ちゃんです。育児書通りには進まない赤ちゃんのずりばいも「その子らしさ」の表れだと考え、穏やかに笑顔で過ごせるとよいですね。

ずりばいが赤ちゃんにもたらすものは?

次に、ずりばいをすることが赤ちゃんにとってどんな意味を持つかを解説していきます。

1. 運動面
上半身の筋肉を使った動きにより、腕の筋肉や体幹、握力などが鍛えられます。また、下半身を動かす練習の手始めにもなるので、ハイハイをスムーズにする準備にもなります。上半身を手で支えられる段階になると手指への刺激が増えるため、お座り以後の、物をつかむ、つまむといった手の繊細な運動と強弱を体験的につかみやすくなるともいわれています。

2. 機能面
ずりばいによる全身運動をくり返すことで、血流が増えて心肺機能が高まります。また、場所を移動することにより、嗅覚や聴覚、視覚などを司る脳への刺激量が増えます。それに伴い、多くの情報を処理することで脳が活発化します。上半身の動きに連動して下半身が動くことも、腰周辺から脚の筋肉を刺激し、スムーズなハイハイへの移行に役立ちます。

3. 精神面
まず、自らの意思で移動できるということ自体が赤ちゃんの喜びになるといわれています。行きたいところに行くことで好奇心を満たしたり、愛着のあるオモチャやパパママに近づけるという満足感が持てることで、情緒が安定する時間が増えていきます。社会的な体験が増え、コミュニケーションの意欲や自我を育むきっかけにもなります。

4. 生活面
ずりばいするようになると、それ以前より運動量も刺激量も増えるため、食欲や睡眠欲を感じることが多くなり、食事や睡眠の時間が規則的になっていきます。一人遊びをする時間が若干増えるので、パパママは直接赤ちゃんのお世話をする負担が軽くなり、その分お出かけや知育遊びに費やせる時間が増えるかもしれません。

このように、赤ちゃんとってのずりばいは、大人にとっての運動や勉強のような、「しないよりはしたほうがいい」という位置づけになる動作です。パパママが赤ちゃんの成長段階に合わせて、適度に促してあげることを意識してみてはいかがでしょうか?

ずりばいしない、ハイハイに進まない……。理由は?

まずは、寝返りはできるのにずりばいしないという赤ちゃんには、どんな理由があるのか考えてみましょう。

うつぶせの姿勢が苦手

首がすわった直後の赤ちゃんにとっては、首で頭の重みを支えることは負荷が大きいものです。首だけでなく肩や背中に十分な筋力が備わらないうちに赤ちゃんをうつぶせにすると、頭を持ち上げた姿勢を維持できず、頬や顔面が床についてしまいます。うつぶせによる頭の重みや息苦しさを嫌う赤ちゃんもいるし、うつぶせが苦手なうちは窒息の危険性もあるので、目は絶対に離さないでください。苦しそうに泣く時は無理強いせず、短時間であお向けに戻してあげてください。

次に、うつぶせは嫌がらないのにずりばいしない、首がすわっているのにハイハイに進まない、という赤ちゃんについて考えてみましょう。

腰すわりが不充分

ずりばいは腰がしっかりすわっていなくても始まる動きですが、安定してすわっているほうがより楽にできるそうです。ずりばいからハイハイへの過渡期であれば、誰かの支えがなくても手を使わずにお座りの姿勢がとれ、ぐらぐらしないことを確かめましょう。ぐらぐらする間はハイハイ適齢期ではないので、腰がすわる時期まで見守りましょう。

ハイハイは、手をつかずにお座りできるくらい腰が安定して初めて可能になります。ずりばいを嫌がらない赤ちゃんであれば、しっかり腰がすわるにつれ、お腹を持ち上げたよつんばいの体勢をとることが増えていくでしょう。よつんばいのままゆらゆらする姿勢には、重心をコントロールする練習の効果があります。その姿が見られたら、ハイハイはもうすぐです。

筋力の不足

上半身を肘や腕で支えて移動するずりばいには、首や肩だけでなく腹筋、背筋が必要です。腰すわり同様、ずりばいは下半身の筋力もあるほうがスムーズです。また、腰すわり後の赤ちゃんがハイハイをするにも、全身の適度な筋力発達は欠かせません。筋力は日々の暮らしの中で徐々についていきます。

ずりばい前なら、うつぶせの赤ちゃんの背中をマッサージしたり、両腕を前に伸ばして上半身を支える姿勢を促してみたりしてください。この姿勢をとらせる時は肩関節を脱臼する可能性があるので、強く腕をひっぱらないようにご注意ください。赤ちゃんに無理のない範囲で姿勢を援助してあげましょう。背中を反らす姿勢は、赤ちゃんの腕力と背筋が鍛えらます。

ハイハイ前で腰すわりが不安定な間は、お座りの赤ちゃんを両脇をしっかり支えて、ゆっくりと左右に傾ける動きを取り入れてみてください。赤ちゃんが背中と腰、お尻でバランスをとる練習になり、腰回りの筋肉を鍛えることもできます。ただしこちらもやりすぎは禁物。未熟な腰の神経や筋肉に負担をかけすぎないよう、赤ちゃんのご機嫌をみながらサポートしてあげてください

意欲が薄い

神経や筋力が十分に発達していても移動する意欲がないのかもしれません。体を動かしたい、気になるものがある、誰かのそばに行きたいといった気持ちが薄いうちは、自力で移動しようとは思わないものです。

好奇心や探究心は心の成長に伴いある程度は自然に現れるものですが、心地よく五感が刺激される働きかけが多いほど意欲は旺盛になります。呼びかけに反応し、近づいてきたらほめてあげる、といった関わりを増やしていくことも、赤ちゃんのずりばいの意欲を促します。

ほかの移動方法で満足している

赤ちゃんにとっての移動手段はずりばいだけに限りません。移動をしたいだけならパパママに抱っこしてもらう、寝返りをするという方法もあります。

赤ちゃんにとってその時にできるいちばん効率のよい移動方法がずりばいでないならば、ずりばいはしないということも十分に考えられます。その場合でもずりばいを促したいのであれば抱っこを控える、うつぶせの時に前後左右から呼ぶなど、各方向に興味を持たせ、自分で動くことの便利さを赤ちゃんに気づかせるような関わり方を増やしてあげましょう。

環境が整っていない

ずりばいやハイハイをしやすい環境とは、安全に動き回れる平らなスペースが十分にある場所です。障害物を片づけること、適度な明るさと温度であること、動きやすい服装にすることも、できる範囲で調整してあげてください。うるさすぎたり不衛生な場所では、パパママもずりばいさせることに抵抗を感じると思います。赤ちゃんの目線で考えた時に不快なものは、取り除くほうがよいでしょう。

股関節に問題がある

股関節脱臼の可能性も考えられます。大腿骨の先端が骨盤におさまらず、外れていたり外れかけている状態です。「脚のつけねの皺の数が左右で明らかに違う」「左右の脚の長さが違う」「股関節が開きにくい/開きすぎる」「足を曲げた状態で股を広げるとポキポキ音がする」などの特徴がありますが、ハイハイ前後の時期の乳児の股関節脱臼は発見が難しく、専門家でも診断に時間がかかることもあるそうです。治療方法は確立されているので、まずは最寄りの小児科や整形外科に相談することをお勧めします。

知覚機能の未発達

まれに、聴覚や視覚が弱いケースが考えられます。これらの機能は1ヶ月と3~4ヶ月の乳幼児健診でもチェック項目に入っているので、ずりばいの時期に入る前に経過観察を指示されているなら、これも原因の1つでしょう。医師からの指摘がない場合でも、追視(対象物を目で追うしぐさ)が少ない、呼びかけに対する反応が薄いと感じることがあるなら、専門機関に相談し、医師の診断を必ず受けてください。

以上の理由には当てはまらなくてもなお違和感がぬぐえない時は、低緊張である可能性も考えられます。低緊張とは、自分の体を支えるための筋肉の張りが弱い状態のことをいいます。低緊張の赤ちゃんは、体がふにゃふにゃとしていたりするという印象がもたれます。というのも、低緊張の赤ちゃんは体を支え動かすための筋肉の張りが弱く、思うように体の動きをコントロールすることができないためです。
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低緊張の赤ちゃんは、脳性麻痺(マヒ)、自閉症スペクトラム障害や、筋ジストロフィー、先天性ミオパチーなどの疾患を持っている可能性が出てきます。しかし、赤ちゃんがずりばいやハイハイをしないという点だけで発達障害や疾患があるという自己判断は禁物です早合点は赤ちゃんのためにならないので、冷静に専門機関に相談し、診断や支援を受けてください
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