身体の痛みは、心の痛み

先生のアドバイスのおかげで、その後は娘の「痛み」にもだんだん寄り添えるようになってきました。

だけど、小学校に入学してから月曜日が来るたびに「しんどい」「お腹痛い」と訴える娘を見ると、また「本当は仮病じゃないの?」という思いがムクムクと湧いてきてしまいました。学校に「今日は休ませます」と電話したらウソみたいに元気になるのですから。

だけど、看護師さんの話が頭に残っていたこと、そして私自身が神経症になったとき原因不明の熱が出続け、通勤電車でパニック発作に苦しんだ経験から「そうだ、この子は本当につらいんだ。心がつらいから体もつらくなるんだ」と、次第に心にストンと落ちるようになりました。

不登校になるとき、子どもは意外と自分では「学校に行きたくない」という意思を自覚していないこともあります。なんだかわからないけど、学校に行こうとしたら気分が悪くなる、無理に登校したら倒れそうになってしまうという症状が先に出ることが多いのです。

大人も会社に行こうとしたら体が動かなくなって、「これはひょっとして」とメンタルクリニックに駆け込み「うつ病」などと診断され、どれだけ自分が追いつめられていたか初めて気づくことがありますよね。

先に身体がサインを出すのは大人も子どもも一緒だなと思いました。

子どもの言葉を、まずはありのまま受け止めよう

身体のことだけではありません。娘は不安になると、奇想天外なことを考えて心配になってしまうことがあるようです。最近、

「夜になると、なんだかママが他の人と入れ替わっていて、本当はママじゃないんじゃないかって思ってしまう。しゃべっていたら『やっぱりママだ』と思うんだけど、それでもなんだか心配になって。こんなこと思うなんて変なのかな?

と打ち明けてくれました。

私にも経験があるので分かるのですが、神経質な人は、不安や精神的負担などが積み重なるといろいろとヘンなことを考えてしまうことがあります。大人でもそんなことが思い浮かぶようになったら不安だろうに、子どもだったらどれだけ怖いことでしょう。

口に出して打ち明けることができたらまだいいですが、黙って悩んでいるのならどれだけつらいかと胸が痛くなります。

私は、そのときはこういう風に言いました。

「誰でも頭の中では変なことを考えてしまうことはある。『そんなことはない』とその考えを打ち消そうとしたり、認めなかったらよけい考えてしまうものなの。

『ああ、いま私はこんなことを考えているな』とそのまま認めて、そのまま生活していけばいいよ。

ただ、それでどうしても怖かったり、眠れなかったりと生活で困るようになったら病院に相談に行ったほうがいいね。そんな時は『もしかしたらママじゃないママ』に言ってくれてもいいし、そのママが怖かったらおばあちゃんに言ってもいいよ。」

これは不安神経症、強迫神経症でさんざん誰にも言えない考えに取りつかれた私の実体験から出た言葉です。

不安でいっぱいの子どもに、親ができることは?

仮病じゃないの?子どもの体調不良の訴え、親はどう捉えるべきかの画像
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10161012839
もし子どもが「あれ?」と思うようなことを言ってきても、絶対に否定したリ、バカにしたり、笑わないであげて下さい。

不安に思うこともあるかもしれませんが、とりあえず「あなたはそう思うのね」と引き受けてから、専門家に相談すればいいと思います。

言っている本人も、自分がヘンなことを言っていることはどこかで分かっています。だからこそ、突き放されたらもう立ち直れなくなってしまうのです。

そして、心身の不調があまりに続くときは、まずは病院で一通り身体に本当に異常がないか検査を受けたうえで、子どもの心がSOSを出しているのではないか?と考えてみるといいと思います。

決して問い詰めるのではなく、「何か辛いことがあったら話してくれてもいいよ」と待っていることを伝えると。子どもも話しやすいかもしれませんね。
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