【専門家監修】子どもの家庭内暴力、親はどう対応すべき?他害の原因・発達障害との関連・具体的対処法
家庭内暴力とは、子どもが親に対して暴力をふるうことを指し、その最大の特徴として暴力が家庭内においてのみ行われることが挙げられます。家庭内で起こる暴力にはほかに児童虐待やDV(ドメスティックバイオレンス)もあります。
家庭内暴力の原因は子どもをとりまく環境や精神疾患の影響など、さまざまなことが考えられ、大人しかった子どもがある日突然家庭内暴力を始めて困惑する保護者も少なくありません。本記事では家庭内暴力の根本的な原因や対処法、相談先を紹介します。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
家庭内暴力とは?児童虐待、DVとの違い
この記事で分かること
- 「ただの反抗期?それとも家庭内暴力?」児童虐待・DVとの違いと定義
- 自分を責める前に知ってほしい、暴力の複合的な原因
- ADHD(注意欠如多動症)や二次障害との関連性【臨床心理学の専門家が解説】
- 「なぜ急にキレるの?」暴力を振るう子どもの心理と、隠された罪悪感
- 【保護者の方へ】今日から実践できる「暴れる前・最中・後」の具体的対処法ステップ
- 「警察を呼んでもいい?」身の危険を感じた時の緊急対応と、頼れる公的相談窓口リスト
家庭内暴力の定義
警察庁では家庭内暴力について以下のように定義しています。
家庭内暴力……少年が、同居している家族等に対して継続的に暴力を振るう事案をいい、家庭内暴力を止めようとした第三者に対して暴力を振るう事案や他人の所有物を損壊する事案については含まない。
引用:令和5年中における少年の補導及び保護の概況|警察庁
つまり、家庭内暴力とは20歳未満の子どもが家族に対して行う暴力行為を意味します。ここでいう暴力には、身体的な暴力や、暴言、家具や家財の破壊なども含まれます。
家庭内暴力の特徴
・暴力が家庭内でのみ行われる
・暴力の対象が人である場合、暴力をふるう本人より弱い者が対象となりやすい
ことが挙げられます。事実、暴力の対象のうち約6割が母親であることが警視庁によって報告されています。
警視庁による認知件数
また、この数字は平成26年の2,091件と比べて約2倍となっており、近年も増加傾向が続いています。実際に家庭内暴力をおこなうのは中学生がもっとも多く、次に高校生、小学生の順となっています。
同報告書によると、家庭内暴力の動機は「不明」を除くと、
1番多いのが「しつけ等親の態度に反発して」(2,718件、全体の65%)、
2番目が「物品の購入要求が受け入れられず」(517件、全体の12%)、
3番目が「理由もなく」(309件、全体の7%)となっており、
以降「勉強をうるさく言われて」「非行をとがめられて」といった動機が続いています。
非行をとがめられた際に反発して起こる家庭内暴力は意外と少なく、保護者の態度への反発から生まれる家庭内暴力が圧倒的に多い結果となっています。
家庭内暴力の原因
保護者の育て方が悪かったという見方をされがちですが、それだけとは言い切れないこともあります。なぜなら、家庭内暴力の原因には子どもを取り巻く社会的環境、いじめなどの経験、精神疾患の影響などといった、保護者にはどうしようもないさまざまな要素が複雑に関連している可能性があるからです。
保護者への反発が暴力を誘発しているケースが存在するのは事実ですが、だからといって保護者がそもそもの原因であるとする考え方は解決を図る上で有効ではありません。本章では、以上に挙げた子どもを取り巻く環境・いじめなどの経験、精神疾患の影響といった家庭内暴力の原因となりうる3つの要素を解説します。
子どもをとりまく社会的環境
・メディアの発達による過剰刺激・暴力シーンへの慣れ
・学校生活や友人関係などのストレス
などが指摘されています。
家族間での会話や食事の機会が少ないといったコミュニケーションの希薄化があげられていますが、同時にしつけや勉強への言及などの過干渉も影響していると考えられます。
いじめ、事故などの経験
・学校でいじめられた
・受験に失敗した
・事故や病気を経験した
というような経験を通して得た保護者への反抗・復讐心、恐怖心、挫折感などの感情が家庭内暴力へとつながってしまうことが指摘されています。
精神疾患や発達障害の二次障害
家庭内暴力と二次障害ーー精神疾患や発達障害との関連は?
素行障害(行為障害)の一種である「家庭限局性行為障害」
詳しくは以下の関連記事をご参照ください。
素行障害(素行症)とは?症状や原因、発達障害との関連は?【専門家監修】
家庭限局性行為障害がある場合、精神科医への相談をおすすめします。
※ICD-10について:2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。
ADHD(注意欠如多動症)の二次障害として現れる「反抗挑戦性障害(反抗挑発症)」
発達障害が背景にあり、失敗経験を重ねて子どもが自信を失ったり落ち込んでしまったりした結果現れる二次的な情緒・行動の問題を二次障害といいます。二次障害は周囲への反抗や家庭内暴力、非行など問題行動が外に出るタイプと、うつや対人恐怖、引きこもりなど内面に向かうタイプがあります。
二次障害の中でも、反抗挑戦性障害(反抗挑戦症)は、保護者や教師など目上の人に対して拒絶的・反抗的な態度をとり、口論をしかける、暴言を吐くなどの挑戦的な行動をおこしてしまう疾患です。
反抗挑戦性障害(反抗挑戦症)とADHD(注意欠如多動症)は強い関わりがあるといわれており、年齢を重ねるとともに合併する可能性が高くなるといわれています。そのような場合、元々ADHD(注意欠如多動症)がある人が二次障害として反抗挑戦性障害(反抗挑戦症)を発症する場合が多いそうです。
ADHD(注意欠如多動症)とは?見た目では分からない困りごとなどイラストで解説【専門家監修】
反抗挑戦性障害(反抗挑戦症)の子どもへの対応方法・接し方などに関しては、以下の関連記事を参考にしてください。
反抗挑戦性障害(反抗挑発症)とは?攻撃的で人のせいにする?対応や原因、発達障害やADHD(注意欠如多動症)との関係など【医師監修】
家庭内暴力を行う子どもの心理
家庭内暴力をふるう子どもの心理としては、自分のことを「ダメだ」と感じてしまい、そのやりきれなさを暴れることによって発散しようという気持ちと、そのような自分をつくった親に対する反抗という、二つの側面があります。
ほとんどの場合、外でおとなしくて家族にだけ暴力をふるう子どもは、「暴力が悪いことだ」とは自分でも理解しています。なので、「本当は暴力をふるいたくない。でもやってしまう」という罪悪感に苦しんでしまうことも珍しくありません。暴力行為をどんなに繰り返してもモヤモヤした感じが残ってスッキリしないのは、罪悪感から自己嫌悪に陥ってしまうからなのです。
暴力をふるうことで自らも傷つき、暴力をふるう自分が許しがたく、しかしそのような「許せない自分」を育てたのはやはり両親なのだ、という自責と他責の悪循環に苦しんでいる場合があるのです。
子どもが家庭内暴力を行なった際の対処方法
ここでは、専門家に伺った家庭内暴力の対処法を5つ紹介します。家庭内暴力の原因や対応はさまざまです。これを参考に一人で取り組むのではなく、信頼できる相談機関や専門家と一緒に対応を考えていってください。
Q:過干渉が家庭内暴力につながることがあると聞いたのですが、どのように距離感を計ったらいいでしょうか?
Q:家庭内暴力が起こったときの対応を教えてください。
身体的な暴力の場合は、抵抗するよりも、助けを呼ぶ、家の外に逃げるなどによって距離をとることが大切です。暴言の場合は、言い返したり訂正させると逆にヒートアップしてしまう可能性があります。「子ども自身が苦しんでいる叫びのようなものだ」と考えることで、やりすごせる場合もありますが、暴言や子どもの行動について相談できる方にお話することで、保護者自身の感情や悩みについてサポートを受けることが大切です。
Q:家庭内暴力を起こした後の子どもへの接し方を教えてください。
Q:家庭内暴力を起こさないための対策を教えてください。
Q:子どもが悩みを話してくれません。どのように対話したらよいでしょうか?
家庭内暴力に悩んだ時の相談先は?
児童相談所
全国精神保健福祉センター
精神科・心療内科
警察
まとめ
家庭内暴力の原因はとても複雑で、必ずしも親の教育やしつけが原因というわけではありません。子どもをとりまく環境やいじめなどの経験、精神疾患などが原因となる可能性もあります。そうした事実を踏まえて、家庭だけで抱え込むのではなく、家庭外の第三者の協力も得ながら解決を目指していくことが大切です。
参考資料
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