「好き」と「適性」どちらを選ぶ?自閉症の息子の接客訓練を見て…
ライター:立石美津子
好きな仕事をして食べていけるのは、人として幸せなことだと思います。“好きなこと=将来の職業”と一致しているのが望ましいのですが、なかなかそういう訳にはいきません。そんなミスマッチを感じた、自閉症の息子の授業参観のお話です。
自閉症の息子が取り組むことになった、特別支援学校での接客訓練
こんにちは。『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。
私の息子は特別支援学校高等部に通う2年生です。
この学校では重度の障害のある子は「園芸班」「ホームサービス班」「工芸班」「紙工芸班」。中度・軽度の子は「事務班」「接客班」「清掃班」「食品加工班」「施設管理班」に分かれて、将来の自立に向けて訓練を受けています。
前回のコラムでは事務班、清掃班での様子を書きました。今日は接客訓練の様子です。
私の息子は特別支援学校高等部に通う2年生です。
この学校では重度の障害のある子は「園芸班」「ホームサービス班」「工芸班」「紙工芸班」。中度・軽度の子は「事務班」「接客班」「清掃班」「食品加工班」「施設管理班」に分かれて、将来の自立に向けて訓練を受けています。
前回のコラムでは事務班、清掃班での様子を書きました。今日は接客訓練の様子です。
知的な遅れがある自閉症の息子。支援学校を卒業したその先の人生は
接客班で練習している息子を見たくて私と祖母で学校へ行きました。
授業見学というより、実際に学校内にカフェがあって一般に開放されているので、私たちは正真正銘のお客さんとして、息子の職場にお邪魔したのでした。
授業見学というより、実際に学校内にカフェがあって一般に開放されているので、私たちは正真正銘のお客さんとして、息子の職場にお邪魔したのでした。
頑張る息子。でも噛み合わない会話①
ここからは、カフェに入って実際に息子に受けた接客の様子です。
店に入り私たちがテーブルへ着きます。
息子がやってきました。
テーブルに水を置きます。
店に入り私たちがテーブルへ着きます。
息子がやってきました。
テーブルに水を置きます。
息子「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか」
私は、息子がどんな対応をするのか試してみたくなり、意地悪な客を演じることにしました。
そこでわざとメニューにはないものを注文してみたのです。
(メニューには飲み物しかありません。でも全て税込みで100円均一。しかも、クッキー付。この辺でコーヒー飲んだら最低500円はかかるので、良心的なお店です。)
私は、息子がどんな対応をするのか試してみたくなり、意地悪な客を演じることにしました。
そこでわざとメニューにはないものを注文してみたのです。
(メニューには飲み物しかありません。でも全て税込みで100円均一。しかも、クッキー付。この辺でコーヒー飲んだら最低500円はかかるので、良心的なお店です。)
私「ショートケーキを下さい」
この質問に息子は即答してきました。
息子「ありません」
率直にこたえてしまった息子は、先生から注意されて「申し訳ございません。ショートケーキはありません」と言い直しました。
意地悪な客がさらに
「え、ないの?ショートケーキを食べたかったんだけれど・・・」と追い打ちをかけます。
すると息子は
「ジュースをお選びしますか?」
と強制的にジュースを指定してきました。
私がびっくりした顔をすると、ジュースを勧めたのが良くなかったと勘違いしたのか今度は
「コーヒーをお選びしますか?」と指定してきました。
「え!お客に強要するんだ、この店員!」と心の中で笑いをこらえながら、少し不快な顔を繕いました。
結局息子は最後まで「申し訳ありません。この中でお選びください」とは言えませんでした。
そして意地悪な客はリンゴジュース、同席した私の母はオレンジジュースを頼みました。
ジュースをテーブルに置く時も、コースターを後から出してしまう間違いをし、すかさず先生に注意されていました。こうして、とりあえず一通りの接客は完了しました。
息子「ありません」
率直にこたえてしまった息子は、先生から注意されて「申し訳ございません。ショートケーキはありません」と言い直しました。
意地悪な客がさらに
「え、ないの?ショートケーキを食べたかったんだけれど・・・」と追い打ちをかけます。
すると息子は
「ジュースをお選びしますか?」
と強制的にジュースを指定してきました。
私がびっくりした顔をすると、ジュースを勧めたのが良くなかったと勘違いしたのか今度は
「コーヒーをお選びしますか?」と指定してきました。
「え!お客に強要するんだ、この店員!」と心の中で笑いをこらえながら、少し不快な顔を繕いました。
結局息子は最後まで「申し訳ありません。この中でお選びください」とは言えませんでした。
そして意地悪な客はリンゴジュース、同席した私の母はオレンジジュースを頼みました。
ジュースをテーブルに置く時も、コースターを後から出してしまう間違いをし、すかさず先生に注意されていました。こうして、とりあえず一通りの接客は完了しました。
噛み合わない会話② それは普通のお客さんにも…
その後1時間ほど、私と祖母はカフェに居座り、息子の様子を観察していました。
すると、60代くらいのおじさんが来店。
おじさんは座るなりメニューを見ないで「リンゴジュースください」と言いました。
どうも常連さんのようです。
しかし、息子はお客から既に注文されているのにも関わらず、その声を無視して「ご注文はなんですか?」と聞いていました。おじさんは再び「リンゴジュースください」と言ってくれていました。
その後、リンゴジュースの準備が整い、テーブルまで運びます。
おじさんが「おいしそうだね」と気を使って声をかけました。ところが、息子はその声も完全無視して、マニュアルの手順通り「お帰りの際に伝票をレジまでお持ちください」と言いました。
すると、60代くらいのおじさんが来店。
おじさんは座るなりメニューを見ないで「リンゴジュースください」と言いました。
どうも常連さんのようです。
しかし、息子はお客から既に注文されているのにも関わらず、その声を無視して「ご注文はなんですか?」と聞いていました。おじさんは再び「リンゴジュースください」と言ってくれていました。
その後、リンゴジュースの準備が整い、テーブルまで運びます。
おじさんが「おいしそうだね」と気を使って声をかけました。ところが、息子はその声も完全無視して、マニュアルの手順通り「お帰りの際に伝票をレジまでお持ちください」と言いました。