通級指導教室とは?対象は?通級による指導の内容や通い方、ほかの特別支援教育との違いを紹介します

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通級による指導は小・中学校の通常学級に在籍する障害のある児童の特性に合わせた個別の指導です。保護者にとって、子どもの就学先選びは非常に大きな決断になると思います。様々な選択肢の中から、今、本人にもっとも合う学びの場を選ぶことが大切です。この記事では、通級指導教室の対象や教育環境、特別支援学級・特別支援学校・特別支援教室との違いなどについて解説します。

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目次 通級指導教室とは? 通級による指導の対象は? 通級指導教室ではどんな指導をしてくれるの? 通級指導教室の通い方 通級指導教室と特別支援学級・特別支援学校との違いは? 通級を選ぶべき?それぞれのメリット・デメリットは? 通級指導教室に入るには? 通級による指導が変わる?ニーズの増加と新しい取り組み まとめ

通級指導教室とは?

通級指導教室とは、小・中学校に通う比較的障害の程度が軽い子どもが、通常の学級に在籍しながらその子の障害特性に合った「通級による指導」という個別の指導を受けるための教室です。

通級による指導とは、小学校又は中学校の通常の学級に在籍している軽度の障害のある児童生徒に対して、主として各教科等の指導を通常の学級で行いながら、障害に応じた特別の指導を特別の指導の場で行う指導形態です(学校教育法施行規則第140条及び同施行規則第141条)。

出典:http://www.nise.go.jp/cms/13,3330,56,255.html
通級による指導を受ける子どもは、主に各教科の学習や給食などの時間はみんなと一緒に通常学級で過ごし、週に何時間かある通級による指導の時間だけ通級指導教室に移動して、それぞれの困りごとや課題に合わせた支援・指導を受けることになります。

個別に必要な支援や指導の内容が変わるので、障害の種類によって教室の種類もいくつかに分かれています。そのため、在籍する学校にその子のニーズに合った通級が設置されていない場合もあり、地域で定められた他校の通級指導教室に通うこともあります。

通級による指導は平成5年より全国で制度化されました。平成18年の改正により、情緒障害から自閉症者が独立して規定され、さらに学習障害(LD)、ADHDが新しく対象に含まれるようになり、指導時間数についても弾力化されました。通常級で学ぶ障害のある子どもが増え、そのニーズの高まりとともに小・中学校での通級指導教室による支援体制の整備が進んでいます。

ここ20年間、通級による指導を受けている児童・生徒数は増加傾向にあります。平成27年度の文部科学省の調査によると、全国の公立の小学校3693校・中学校645校に通級指導教室が設置され、義務教育段階の児童生徒全体の0.8%にあたる8万3750人の児童・生徒が通級による指導を受けています。

通級による指導の対象は?

通級による指導の対象となるのはどんな子ども?

学校教育法施行規則第140条の各号のいずれかに該当する、小学校・中学校に通い特別支援学級に在籍していない児童・生徒で、障害に応じた特別の指導を行う必要がある場合、通級による指導の対象となります。

・視覚障害
・聴覚障害
・肢体不自由
・言語障害
・自閉症
・情緒障害
・学習障害
・ADHD(注意欠陥・多動性障害)
・病弱および身体虚弱

「情緒障害」とは情緒の現れ方が偏っていたり、その現れ方が激しかったりする状態を自分の意志ではコントロールできないことが継続し、学校生活や社会生活に支障となる状態を指します。具体的には心理的な要因による選択性かん黙(場面緘黙症)などが含まれます。

上記の障害種別ごとにクラスが設置されますが、市区町村によってはすべての障害種別のクラスが設置されていない場合もあります。

通級に通うための就学基準はあるの?

通級の支援対象となる障害の基準は明確にはありませんが、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度とされています。学習面や生活面など、学校生活で子どもが困難を抱えていないか、さまざまな面から判断されます。後述する通り、就学相談などで親の希望や本人の障害の状況や困りごとなどを合わせて検討されます。

明確な基準がないために「特別な指導を必要とする程度」の判断は、地域や学校によって異なる場合があります。

通級指導教室ではどんな指導をしてくれるの?

通級指導教室では、障害に応じた特別の指導として、障害の状態の改善又は克服を目的とする指導をうけることができます。

指導内容は?

一人ひとりの障害の状況に応じた具体的な目標や計画を立て、特別の教育課程を編成して指導が行われます。特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考にした自立活動では障害による学習上・生活上の困難を改善するための指導が行われます。

特に必要があるときは、これに加えて児童・生徒の障害の状態に応じて各教科の内容を補充するための指導を行うこともできます。この「教科の補充」は、単に授業の遅れを補習するということではありません。ですが、その子にあった方法で教科を学び、学習上の苦手を克服する必要がある場合に行われます。

例えば言語障害のある子どもが音読が苦手で国語の授業ができない場合に読む練習をしたり、算数障害のある子どもが筆算しやすいようにマス目のあるプリントでかけ算を学んだりする場合があります。

指導時間数は?

通級による指導の時間数は、自立活動と教科指導の補充を併せて、年間35単位時間(週1単位時間)から年間280単位時間(週8単位時間)までが標準として示されています。

また、学習障害及びADHDの児童生徒の指導時間数については、月1単位時間程度で指導上の効果が期待できる場合もあることから、年間10単位時間(月1単位時間)から年間280単位時間までが標準として示されています。

小・中学校では定められた授業内容や授業時間数を学習要領に基づき行うことが義務付けられています。ですが特例として、児童・生徒本人の障害に応じた特別の指導を通級により受けた場合、受けた指導は小学校または中学校の教育課程に加え、またはその一部に替えることができます。

つまり他校に設置された通級指導教室で受けた授業でも、自校で行った授業と見なすことができます。

一人ひとりに合った指導が受けられる

子ども一人ひとりのニーズに合わせるため、以下のような計画のもと、具体的な支援が行われます。

・個別の教育支援計画…保護者や関係機関と連携を図って個別の教育支援計画が立てられます。それに基づいて通級による指導の教育課程が在籍校の校内委員会で編成されます。

・個別指導計画…小・中学校では障害のある子どもの個別指導計画を作成することが学習指導要綱で定められています。

特に通級による指導を受ける子どもの場合、通常学級と通級指導学級のそれぞれで支援計画が作成され、お互いの教員が連携し十分な協議を行って支援を進める必要があります。

通級指導教室の通い方

通級指導教室に通う子どもは、通常学級に在籍し、各教科の授業や給食などの学校生活の大部分を通常学級で過ごします。担任も通常学級の教員がつとめます。週・月に何時間かある通級による指導の時間のみ、通級指導教室に通います。

通級指導教室は障害別に分かれているため、必ずしも在籍校に該当する通級指導教室があるとは限りません。他校の通級指導教室に通う場合、保護者による送迎が必要なこともあります。

これらの形態は地域や学区によって違いますので、お住まいの地域の制度や通級の設置校がどこにあるか、問い合わせてみましょう。

通級指導教室と特別支援学級・特別支援学校との違いは?

特に義務教育が始まる小学校入学の前に、お子さんをどの教育環境で育てるか迷う保護者の方は多いと思います。

障害のある子どもの教育環境として、通常学級・通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校の4つの選択肢があります。それぞれの対象となる障害の程度に明確な基準はありませんが、一般的に通級指導教室は比較的障害が軽度な場合に選ぶ保護者が多いようです。
通級指導教室に通う子どもは、通常学級の学校に籍があり、通級指導の時間のみ通級指導教室に通います。通級指導教室が通常学級の学校にない場合は、通級指導教室がある他の学校に通級指導の時間のみ通います。また、担任は通常学級の先生が受け持ちます。
特別支援学級に通う場合は、特別支援学級が設置されている学校に籍を置きます。学区内に設置されていない場合、学区外の学校に通うことになります。基本的に特別支援学級で授業を受けますが、体育や図画工作、給食の時間は通常学級の子どもたちと過ごすこともあります。担任は特別支援学級の先生が受け持ちます。
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特別支援学校に通う場合は、通学する特別支援学校に籍をおきます。また、通級・特別支援学級は通常の教員免許のみでも受け持つことができますが、特別支援学校の教員は通常の教員免許に加え、特別支援学校の教員免許を取得していることが通常です。
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通級を選ぶべき?それぞれのメリット・デメリットは?

通級を選ぶべきかどうか、子どものことを考えて迷うのは当然です。

教育システムや制度の違いから、通級・特別支援学級・特別支援学校それぞれにメリット・デメリットがあります。お子さんの学校選びの参考にしてみてください。

メリット

■通級
・通常学級に在籍し、いろいろな子どもとのコミュニケーションなどの経験が積める
・通常学級で授業が受けられる
・本人の障害に合わせた必要な支援やフォローを通級指導教室で受けられる

■特別支援学級
・発達・障害の程度に準じたカリキュラムで指導を受けられる
・給食の時間や昼休みなどには通常学級での子どもとのコミュニケーションなどの経験ができる

■特別支援学校
・個々人の障害の程度に合わせたカリキュラムで、専門性を持った先生からきめ細かい指導が受けられる
・高等部では職業教育が受けられる

デメリット

■通級・特別支援学級
・基準があいまいである
・すべての学校に通級指導教室や特別支援学級があるわけではなく、場合によっては遠くの学区に通学しなければならない
・高校では通級制度はまだ整えられておらず、特別支援学級も設置されていないのが現状(ただし、2018年度から高校でも通級指導を始めるよう文部科学省が準備を進めている)
・学級数や受け入れ可能人数などに地域差が大きい
・通常学級との行き来がお子さんのストレスになることもある
・制度や対象となるかの基準に地域差が大きい

■特別支援学校
・通常学級の子ども、同世代の子どもと触れあう機会が少ない
・転学・転校は可能だが手続きが必要
・障害の程度によっては入学できない可能性がある
・特別支援学校高等部を卒業しても、通常の高卒資格は得られない(ただし大学入学資格を得ることはできる)
・地域差、学校差がある

通級指導教室に入るには?

子どもが小学校に入る前の場合は「就学相談」へ

初等教育(小学校)へあがる前年度に、障害のある子どもや発達が気になる子どものいる家庭が、通常級、通級(通級指導教室)、特別支援学級、特別支援学校などの選択肢の中からどこへ進学するかを選択する機会が就学相談です。

小学校入学後に通級による指導を受けたい場合、一般的には以下のような就学相談のプロセスを経ることになります。

しかし、就学相談は、地域によって内容や呼び方、その過程が異なります。お住まいの地域の就学相談についてはご自身で行政や学校に問い合わせてみてください。
■年中期~6月ごろ:情報収集
お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせたり、ホームページを参照して、地域にある特別支援学校や、小学校の特別支援学級の有無などについて情報を集めましょう。

また4月から6月ごろにかけて、教育委員会が幼稚園や保育園、発達支援センターや療育センターに「個人調査票」「就学に関する調査票」の作成を依頼します。

通常の学級・学校に就学することに不安があると思われるお子さんについて、園やセンターは保護者の了承を得て調査票を作成します。そして該当のお子さんをもつ保護者向けに、教育委員会が就学についての説明会を行います。

説明会では小学校全体および通常学級、特別支援学級、特別支援学校ではどのような支援が行われているのか、就学指導・就学相談の流れ、手続きの方法などがアナウンスされます。

ただし、私立や認可を受けていない保育園や幼稚園は教育委員会の管轄外なのでこういった情報が回ってこない可能性があります。その場合はご自身で市区町村の教育委員会に問い合わせをして、就学相談を受けることをおすすめします。

■7~9月ごろ:就学相談
園やセンターの調査票がなくても、市区町村の教育委員会へ連絡すれば就学相談を受けることができます。

就学相談では、専門の就学相談員と保護者との面談(複数回のこともあります)を通して子どもにとって最適な就学先を決めます。子どもの状態を把握するための検査が行われたり、相談員がお子さんの在籍園・在籍校に赴いてお子さんの様子を確認することがあります。

障害の状態、障害に基づく教育的ニーズ、保護者・専門家の意見、学校や地域の状況などを考慮して、就学指導委員会がお子さんにとって良いと思われる就学先を決定します。

この決定に保護者の方が同意をすれば就学先が決定します。もし同意できない場合はその旨を教育委員会に申し立て、再度就学相談を受けることもできます。最終的には保護者の方の意向が尊重されます。

就学相談では、子どもの状態を正確にしっかりと伝えることが大切です。医療機関で受けた診断書や療育手帳などがあれば持参することをおすすめします。

入学後に通級指導教室に通いたい場合は?

小学校入学時は通常学級に在籍していた子どもが、その後通級による指導が必要となることもあります。その場合、小・中学校の校内委員会が関係しています。

校内委員会とは、子どもの状態に早期に気付き、適切な支援を行うために小・中学校に設置されたものです。その役割は以下の通りです。

・学習面や行動面で特別な教育的支援が必要な子どもに早期に気付く。
・特別な支援が必要な子どもの実態を把握し、担任の指導への支援方策を具体化する。
・保護者や関係機関と連携して、個別の教育支援計画・個別の指導計画を作成する。
・特別な支援が必要な子どもへの指導とその保護者との連携について、全教職員の共通理解を図る。また、そのための校内研修を推進する。
・専門家チームに判断を求めるかどうかを検討する。 ※LD、ADHD、自閉症スペクトラムの判断は教員が行うものではない
・保護者相談の窓口となるとともに、理解推進の中心となる。

こういった支援体制が小・中学校内にあるため、最初に通常学級に入学したお子さんでも、通級による指導や特別支援学級の支援を受けることができます。

通級による指導が変わる?ニーズの増加と新しい取り組み

2017年度から通級指導の教員が拡充されます

通常学級に在籍する子どもの中に発達障害があったり何らかの支援を必要とする子どものニーズは増えていますが、今までは通級による指導の教員は、加配措置の対象となっていました。そのため通級指導を希望しても先生の数によって、通級を利用できる子どもの数が決まる仕組みになっていました。そのために利用したくてもできない「通級待機児童」が発生してしまうこともありました。

そこで2017年3月に、「義務標準法の改正法案」が国会に提出・可決されました。通級による指導及び外国人児童・生徒等への日本語指導に係る教職員定数の基礎定数化に向けた法律の改正が行われたのです。これにより10年間で通級による指導を行う教員を段階的に増やすことが決まりました。

初年度となる2017年度については、通級による指導及び外国人児童・生徒等への日本語指導合わせての数ですが、計868人の教職員定数を増やすことになりました。

またこの法改正により、通級指導の教員1人当たりの子どもの数は2016年度の16.5人から13人になり、よりきめ細やかな指導ができるようになるのではないかとの期待もあります。

特別支援教室構想

通常学級に在籍する学習障害(LD)、ADHD、自閉症スペクトラムなどの発達障害のある子どもはどの学校にもいるといわれており、さらに適切な支援を受けられるようにすべきとの声も高まってきました。

これを受け、文部科学省はインクルーシブ教育の一環として「特別支援教室(仮称)」として、さらに弾力的な支援ができる制度を進めようとしています。
◇東京都の特別支援教室

東京都では全国に先駆けて2016年度から小学校の情緒障害等通級指導教室が特別支援教室という制度に変わりました。それまで自校に通級指導教室が設置されていない場合、他校に通わなければいけなかったのですが、特別支援教室の制度では、東京都の全ての公立学校に特別支援教室がおかれ、拠点校から教員が巡回して指導を行います。

これにより、在籍校で指導が受けられるため、
・多くの子どもが支援を受けられる
・子どもや保護者の移動・送迎の負担が少なくなる
・在籍学級の担任と巡回指導教員の連携が密になる
などの効果が期待されています。

東京都では新しく特別支援教室専門員を非常勤で配置したり、臨床発達心理士を巡回させるなど、支援を進めています。

一方で、巡回による指導を行い、支援を受ける子どもが増える特別支援教室の制度は、教員の負担が大きくなります。そのため教員の数を増やしたり、制度の導入によって指導の質が下がらないようにする必要があるという指摘もされています。
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まとめ

その子のタイプや学校の体制によっても、どのような支援体制が子どもに合っているかは変わりますが、大切なのは子どもにとって何が最善か、どんな支援があれば子どもが困り感を感じずに学校生活を送れるか。通級による指導もその選択肢の一つとしてみる価値は十分にあるでしょう。

文部科学省によると通常学級に在籍する6.5%の子どもに特別な配慮や支援が必要だという調査結果があります。そのような子どもたちには、弾力的かつ必要な支援が受けられる通級指導教室の存在は重要になってくるのではないでしょうか。

特に、発達障害の子どもの中には、得意なことと苦手なことがある場合があり、通常学級での学習におおむね困難がなくても、苦手なところや特性にあった指導が必要になる場面が出てくることも少なくありません。

通級のメリット・デメリットを含め内容をよく知り、またほかの学びの場とも検討した上で、子どもに合うのはどのような環境か考えてみてはいかがでしょうか?

まずは学校に問い合わせたり、子どもと一緒に見学に行くのもよいでしょう。
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