食物アレルギーの息子の「命をかけた食事」- 自閉症であることよりも悩んだこと
ライター:立石美津子
「自閉症では死なないけれど、食物アレルギーでは死んでしまう」このことに翻弄されていました。自閉症の行動で悩まされることも多々ありましたが、もっと悩んでいたのはアレルギーに関係することで、「試食コーナーのおばさんからチクワもらって口にして死ぬのではないか」「ママ友の集まりで大皿に盛られた菓子を食べて死んでしまうのではないか」と常に心配していました。
ショックを起こしたときのための予行練習
『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。
私には知的発達の遅れを伴う自閉症の息子がいます。現在、特別支援学校高等部に通う2年生です。
自閉症に加えて、息子には生まれた直後から食物アレルギーがありました。
自閉症は生まれつきの障害、アレルギーも生まれつきの体質ですから16歳になった今でも治っていません。
これはアナフィラキシーショックを起こしたときの自己注射、「エピペン」の注射を練習しているところです。
私には知的発達の遅れを伴う自閉症の息子がいます。現在、特別支援学校高等部に通う2年生です。
自閉症に加えて、息子には生まれた直後から食物アレルギーがありました。
自閉症は生まれつきの障害、アレルギーも生まれつきの体質ですから16歳になった今でも治っていません。
これはアナフィラキシーショックを起こしたときの自己注射、「エピペン」の注射を練習しているところです。
※アナフィラキシーショック=原因となるものを食べる、触る、吸い込むことによって発生する重篤なアレルギー反応。血圧が低下して意識が混濁し、死亡することもある。
自閉症では死なないが、食物アレルギーでは死んでしまうかも
自閉症が直接の原因で死ぬことはありません。でも、食物アレルギーで命を落とすことはあります。ですから、常に緊張感バリバリで冷や冷やしながら子育てしてきました。
平成24年12月にも、調布市立富士見台小学校5年の女児が給食で出されたチーズ入りのチヂミを食べて死亡する事故がありました。乳製品に対してアナフィラキシーショックを起こし、口にしてわずか数時間で亡くなるという痛ましい事故でした。
平成24年12月にも、調布市立富士見台小学校5年の女児が給食で出されたチーズ入りのチヂミを食べて死亡する事故がありました。乳製品に対してアナフィラキシーショックを起こし、口にしてわずか数時間で亡くなるという痛ましい事故でした。
アレルギーは、一時も気を抜くことができない、命に関わる重大な問題なのです。
義務と推奨の境目で命にさらされる
息子はナッツ類をわずかでも口にするとアナフィラキシーショックを起こします。
ところが!
ところが!
<義務品目>特定原材料7品目
表示が必要となる食品のうち、原材料表記として必ず表示しなければならないものは「乳・卵・小麦・そば・落花生・えび・かに」の7品目です。その他のアレルギーの原因物質になるものは表記を推奨されているだけで、法律で義務化されていません。
例えば、一般にナッツ類として扱われる食品の中でも、落花生(ピーナッツ)のことしか触れられていません。表記義務のないアーモンド・カシューナッツ・クルミなどについては書かれていないこともあります。
すると息子は「入っている危険物はこれだけ。アーモンドは入っていない」と勘違いしてしまうのです。知的障害があるので、表示の“義務と推奨の違い”がわからないのです。
それでも、袋菓子は入っている原材料の多くを表記しているので、「白か黒か」「全か無か」はっきりしていてわかりやすくなっています。
すると息子は「入っている危険物はこれだけ。アーモンドは入っていない」と勘違いしてしまうのです。知的障害があるので、表示の“義務と推奨の違い”がわからないのです。
それでも、袋菓子は入っている原材料の多くを表記しているので、「白か黒か」「全か無か」はっきりしていてわかりやすくなっています。