知的障害のある人が利用できる年金制度、障害年金。種類と等級、受給要件、申請方法などを解説します

ライター:発達障害のキホン
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障害のある人の日常を支える障害年金をご存じですか?障害年金とは、手続きが複雑であり、申請を諦めてしまう人もいます。2016年9月には、精神障害や知的障害における新しいガイドラインが制定されました。この記事では、知的障害のある人が障害年金を受給したいと思ったらどうしたらいいか、制度や受給資格、申請方法などについて詳しく説明します。

目次

知的障害のある人を支える年金制度、障害年金とは

障害年金とは、障害によって生活の安定が損なわれないように、働いたり、日常生活を送ったりする上で困難がある人に支払われる公的年金の総称です。この記事では、知的障害のある人が受給できる障害年金について説明します。

(広義の障害年金について知りたい方は下の関連記事をご覧下さい)
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障害年金とは?金額や受給条件、申請方法は?働きながら受給できる?【専門家監修】

障害年金は、就労していても受給資格があります。国のデータによれば65歳未満の障害年金受給者のうち、3割以上の方が障害年金を受給しながら働いています。
出典:年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)平成26年|政府統計の総合窓口
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450411&tstat=000001021991&cycle=7&year=20140&month=0&tclass1=000001078175
参考:誰も知らない最強の社会保障 障害年金というヒント
https://www.amazon.co.jp/dp/4883206084
参考:『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』の策定及び実施について |報道発表資料|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12512000-Nenkinkyoku-Jigyoukanrika/0000130045.pdf

知的障害における障害年金の種類と等級

そもそも、公的年金って?そのしくみ

障害年金を理解するためには、公的年金の種類を知る必要があります。公的年金には国民年金と厚生年金の2種類があります。

国民年金とは、日本に住んでいる20歳以上、60歳未満のすべての人が加入するものです。国民年金には、第1号(自営業者、学生、無職の人など)、第2号(会社員など、厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務する人)、第3号被保険者(専業主婦など、第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人)の3種類があります。

厚生年金とは、会社(法人)に勤める70歳未満の会社員や公務員などが加入するものです。

国民年金に加入中の人は障害基礎年金を受給することができ、厚生年金に加入中の人は障害厚生年金を障害基礎年金に加算するかたちで受給することができます。

障害年金が加算される場合と、その等級

知的障害がある人が障害年金を受給する際には、一定の障害の状態であることを示す「障害等級」に該当している必要があります。障害等級とは、障害の状態を分けたもので、重いものから1級、2級、3級とされています。

障害の等級については以下のようにまとめられ、障害基礎年金の人は1級、2級まで、障害厚生年金の人は1級、2級、3級まで障害年金が給付されます。等級に応じて受給金額も変わってきます。

・1級
知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの

・2級
知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに一部援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの

・3級
知的障害があり、労働が著しい制限をうけるもの

ここで注意しなければならないのは、障害基礎年金の場合は、3級と判定されると年金を受給することができないということです。一方、障害厚生年金の場合、3級でも受給できます。

知的障害のある人が取得できる障害者手帳である療育手帳にも等級が定められていますが、療育手帳と障害年金とは全く別の制度で、療育手帳と障害年金の等級は必ずしも一致するわけではないことにも、注意が必要です。

また、年金とは一般的には65歳以上の方が受給対象ですが、障害年金に関しては20歳の誕生日になった時点で受給対象者に含まれます。
参考:宇佐見和哉「精神・知的障害にかかる障害年金認定の最近の動向について」
https://ci.nii.ac.jp/naid/40020770701

知的障害の等級判定のガイドライン

先に述べた障害等級の審査主体は、障害基礎年金、障害厚生年金それぞれの場合で異なります。

まず、障害厚生年金の場合は、日本年金機構の本部が一括して申請書類の審査を行います。そのため、等級判定の基準に関する地域差は生じていませんでした。

一方、国民年金に加入している受給者は、障害年金のなかでも障害基礎年金に申請するのですが、都道府県別に各地の日本年金機構が申請書類を審査します。その審査には全国共通のガイドラインがなく、地域によって支給・不支給の差が出ており、格差が大きいという問題が指摘されていました。

こういった障害基礎年金審査の地域格差問題を受けて、平成27年2月に「精神・知的障害に関わる障害年金の認定の地域差に関する専門委員会」が厚生労働省内に設置され、都道府県別の地域差を改善しようと動き出しました。

合計8回の専門家委員会における議論を踏まえて、平成28年6月に地域差を是正する目的で「等級判定のガイドライン」を制定し、運用を開始しました。平成28年9月から運用が始まり現在、日本年金機構は、障害基礎年金の認定において、ガイドラインを活用しながら支給・不支給の是非、等級を決定しています。

これにより、国民年金における地域差は改善の方向に向かっています。
参考:国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12512000-Nenkinkyoku-Jigyoukanrika/0000130045.pdf
参考:宇佐見和哉「精神・知的障害にかかる障害年金認定の最近の動向について」
https://ci.nii.ac.jp/naid/40020770701
参考:青木聖久「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」に至る背景と今後」
http://www.japsw.or.jp/kikanshi/backnumber/106.html
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