息子の言葉に救われて

通級を選択していたものの、小学校に入学して間もない間、息子は通常級のみで過ごすことになりました。最初は楽しく通っているように見えましたが、みるみる息子の体力は削られていったようでした。

ただでさえ新しい環境でいっぱいいっぱいの状態なのに、通常級は息子にはとても不快な刺激の多い場所だったようです。朝になっても疲れが抜けない日が続き、登校中に腹痛を訴えて戻ってくる日も増えました。

そのうちに、息子は帰宅してから学校の話ができなくなりました。「思い出そうとすると疲れる」「まとまらない」と青ざめた顔で横たわるようになりました。明らかに、息子の頭の中のメモリは多々の情報でオーバーワーク状態でした。

しかし、ゴールデンウィーク明けぐらいからでしょうか。息子の様子に変化が訪れます。

帰宅したときの息子に笑顔が増え、学校の話をいろいろとしてくれるようになり、頭痛や腹痛の訴えもなくなったのです。どうしたのかと学校側に聞いてみたところ「特別支援学級での授業が開始されました」とのお話でした。

息子に話を聞いてみたところ、教室内の刺激が通常級と特別支援級では全く違うということ、そして何よりも、特別支援級の先生はよく褒めてくれると話してくれました。また、情報の洪水に頭が疲れてしまったときは、クールダウンスペースがあって、本当に助かるとのこと。

何よりも驚きだったのが、特別支援級に通うようになってすっかり元気を取り戻した息子を、なんと同級生たちがみんなで羨ましがるのだそうです。

「いいなあ~、〇〇学級僕も行きたい」とみんなに言われて、息子は「君たちも頑張れば、僕みたいになれるよ!!」と言ったというではありませんか!

これは本当にびっくりで、息子にとっても息子の同級生たちにとっても、特別支援級に通っていることは「かわいそう」でもなんでもなく、「羨ましい」ことだったのです。

息子を「かわいそう」にしていたのは、

無事一学期が終わり、通常級と特別支援級と特別支援員の先生方みんなに可愛がられた息子は、小学校が大好きになりました。特別支援級に行くことは、息子にとっては「違う人間だと選別される」ことではなく、自分を見てくれる先生方を複数の場所に持つということだったのだと分かりました。

この一件を通して私は気付いたのでした。息子を「かわいそう」と思っていたのは自分であったこと、そして、そんな自分自身に対して怒りを覚えていたからこそ、友人に「息子くんかわいそう」と言われた途端にどうしようもない怒りが湧いてきたのだとも…。

多くの場合、誰かに対して意味もなく怒りを感じるときは、自分自身が抱える何かに怒りを感じている場合が多いのかもしれません。

発達障害のある息子を「かわいそう」にしていたのは誰か?それは紛れもなく、私自身だったのです。
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