ダウン症の子の将来に不安でいっぱいだった私、ある日友人の結婚式で言われた一言

ライター:菅原光穂
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ダウン症と診断されたわが子を前に、母親の私は

不安と焦りで、いっぱいな日々でした。

ダウン症と診断されたわが子を前に、母の私は

私の長男は、出産後すぐにダウン症と診断されました。当時は、正直複雑な心境で受け入れられませんでした。

出産は普通だったら、祝福すべきことで赤ちゃんの将来を夢見るもの。それなのに、なぜ、私は不安ばかり抱かなくてはならないのだろうと手放しで喜べないのが悲しくて、何よりもせっかく生まれてきてくれた我が子に対して、こんなひどい気持ちでいることがたまらなく嫌でした。

幸い両親や夫は受け入れてくれて私を励まし、子どもを可愛がり、育児にも協力的でした。それでも気持ちは重く、ゆううつな毎日でした。

そんなある日、夫から「君がそんなに暗かったら、家に帰るのが嫌になるよ」と言われたのです。

ショックでした。戸惑いながらも育児を頑張っているのに、そんなふうに言われるなんて…

でも、今思えば 、夫も初めての我が子に対して、先の見えない様々な不安を抱えていたのだと思います。

焦るばかりの育児、ふっ切れたのはほんのささいなきっかけでした

担当医に「ダウン症のお子さんはできる限り多くの人達と接し刺激をもらうのが成長につながります。兄弟がいるといいですね」と言われ、他に子どものいなかった私は、生後三ヶ月くらいから、長男の友達作りのために児童館に通い始めました。

しかし、我が子は、寝返りどころか首も座らない。泣きもしない。人見知りもしない。いつもおとなしくゴロンとしているだけ。

それでも私は、お友達を作らないといけない。刺激をもらわなくてはいけないと、焦りを覚えながら児童館に頑張って通い続けました。

ママ友は、うすうす、長男はダウン症であると気づいていたでしょう。でも、自分からはカミングアウトできずにいました。この頃が一番苦しかったと思います。

ふっ切れたのは、生後半年くらいたった頃、子どもを預けて友達の結婚式に出席した時のことです。

私は出産してから自分のことを気にかけずにいたため、この日ばかりはとメイクもきちんとして、目一杯オシャレして出かけました。

そんな私に対して久々に会った友達が「今日、とてもキレイだね」と言ってくれたのです!

お世辞でしょうが、出産してから最も心に染みた一番嬉しい出来事でした。大げさですが、今までの苦しかった日々も救われたような気がしました。

この一言をきっかけに、「そうだ。私は私。私自身にほかならないのだ」と強く実感したのです。

子どもの将来を勝手に不安に思わない

障害のある子どもを産んだからといって、なぜ、不安ばかりになっているのだろう。

なぜ、卑屈にならなくてはならないのだろう。

なぜ、私は生まれたばかりの子どもの将来を悲観しているのだろう。

障害があって辛いとしたら、親の私ではない、この子自身ではないか。私は、既成概念や情報に流されて、自分から不安になっているのではないか?

不安事ばかり考えて、解消されるのならいくらでも考えればいいけれど、そうではありません。

だとしたら、勝手にこの子の将来を決めつけることはやめようと、この日を境にふっ切れたのでした。

私は、ただ私自身の存在を認められたかったのかもしれません。この時、まさに育児に一心不乱だった私は、自分を不安の中に見失っていたのだと思います。それでも心の底では、「私がこの子を一生見守らなくてはならない」という意識がまだあります。

しかし、我が子は一心同体でもなければ、所有物でもありません。私がこの子より長生きできる保証もありません。だから必ずいつか社会に送り出さなくてはいけないのです。社会に送り出すということは、「この子が独りぼっちになってしまう」という意味が、はからずも出てくるかもしれませんが、それは私は違うと思うのです。

この子が将来どのように成長発達し、どんな道を進んで行くのか。私はまだ知らないですし、今、私が勝手に決められることでもないからです。

現在、障害児を持つ親にとっては幸いなことに、障害者に対する福祉や環境が確実に良くなってきています。そして、同じ状況の親御さんもたくさんいます。また、我が子に対して不安になった時には、その人たちに相談したり、助けてもらえばいいのではないか。何とかなるはず!そう思うようになりました。

それよりも少し育児から離れて、自分のこと、楽しいこと、笑顔で毎日を埋めていこう!

笑顔が増えた分だけ、不安は減ります。

この子のために、夫のために、ひいては自分のために笑顔でいよう!

誤解を恐れずに言えば、人生の主役はあくまでも自分です。ダウン症の我が子が生まれた時にはどうしようかと不安ばかりでしたが、今ではそう思えるようなりました。
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