凸凹兄弟、ピアノ発表会に挑む!練習法の違いから見えた「生き方のヒント」とは

ライター:GreenDays
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自閉症スペクトラム&ADHDの診断がおりている娘と息子は、幼い頃からピアノを習っています。先日発表会が行われ、3ヶ月前から練習を重ねて挑んだ本番で、子どもたちはなんとか思うように演奏ができてほっととしています。そして親子でひとつの目標に向かって努力を重ねることで、いろんなことが見えてきたのです。

我が家には、自閉症スペクトラムの診断が下りている9歳の娘と7歳の息子がいます。

同じ診断名がありながらも、娘はアスペルガー症候群、息子はADHD不注意優勢型の要素が強く出ており、それぞれ異なる困りごとに直面していることも珍しくありません。

そんな2人は幼いころからピアノを習っているのですが、発表会に向けての練習の姿勢もまったく違うものでした。3ヶ月間、練習を重ねる間に、2人の違いが浮き彫りになってきました。

アスペルガーの娘に色濃く映る「完璧主義」

娘は課題曲が決まってからというもの「本当に自分に弾けるのか」「本番で失敗したらどうしよう」という不安が強く、その反動から苦手な譜読みを必死でこなす日々が続きます。

大好きな曲をなんとかイメージ通りに弾きたい、でもピアノから響いてくる音は自分の想像しているものとはかけ離れている。そのジレンマから、数小節弾くたびに泣いたり怒ったりを繰り返していました。

ピアノに関わらず、絵を書くときも勉強をするときも、娘の頭の中には100点万点の完成図が思い描かれています。そして始めたばかりであるにもかかわらず、完璧にできない自分を呪い、自責の念に駆られているのです。これは、娘の持つ「完璧主義」という特性が作用しているせいだと思います。

娘がこの完璧主義という特性を持っているがゆえに困ることは2点あります。

・ 娘が自分自身を責めて癇癪(かんしゃく)を起こすため、本人も周囲も辛い
・ 周囲の人にも完璧さを求めてトラブルを起こすことがある

また、これを放置してしまうと、

・ 失敗を恐れて行動できなくなる
・ 完璧に出来ない人を見下してしまう

といった弊害が出るのではないかと危惧していました。

娘の成長。その第一歩。

そこで幾度となく、紙に階段や山の絵を描いて「あなたはまだ登り始めたばかり。頂上にいないのは当たり前だよ?一歩一歩登っていけばきっと目標地点に辿り着けるよ」と話してみるのですが、娘はなかなか受け入れられません。

それでも、繰り返しこの考え方を伝えていくことで、他人に対しては完璧を求めることは少なくなってきました。

なかなか上手く弾けずに落ち込んでいる息子に「大丈夫だよ、今はまだ階段を登り始めたばっかりでしょ?少しずつ完成に近づいていくから、ね?」と声をかけられるようになってきたのです。

この調子で成長してくれれば、他人を見下すことによって歓びを感じるような大人にはならないかな、今まで声をかけ続けてきたことは無駄ではなかったかな、とほっとしながら見守っています。

しかし、まだ自分自身に対してはその考えを適用することができず、あっさり癇癪を起こします。今は私がそれを受け止めていますが、あきらめずにその都度「今すぐ100点じゃなくていいし、最終的に100点でなくてもいい」というメッセージを娘に発信し続けています。この考えを伝えていくことで、娘の頭にも完璧でないことを許容する回路ができてくれればいいなと思います。
また、完璧主義であることは、マイナス面が捉えられがちですが、とても良い面もあると思うのです。

完璧でありたいという子どもの願いを否定せず、とことん付き合ってあげると、時として驚くべき成長を遂げることがあります。

娘の場合は、鞠つきに始まり、二重跳びや逆上がりなど、出来ない自分を罵り泣きわめきながらも着実にマスターしてきました。それこそ、手の皮がめくれても、夜中になってもひたすらずっと練習を重ねるのです。

そうして人より随分長い時間をかけてマスターしたことは、何となく出来てしまったお友達よりも形や方法が正確で、がんばってマスターしようとしているお友達をバカにすることなく、的確なアドバイスを送ってあげることができるのです。

完璧主義も使いよう、というと語弊があるかもしれませんが、癇癪や他人への攻撃をコントロールすることができるようになれば、とっても良い方向に作用するのではないかと期待しています。

いつか娘が私の手を離れるまでに、自分の特性の活かし方をマスターしてくれればと切に願っています。

コツコツ努力が苦手な息子が自分で見つけたモチベーションUPの方法!

一方、不注意優勢型の息子は、過去や未来ではなく「いま目の前にあること」にしか、なかなか注意を向けることが出来ません。

ですので、何ヶ月か先のことを話されてもイメージが湧かない様子。「発表会でカッコよく弾くためにしっかり練習をしようね」と声をかけても、「もう弾けるから、大丈夫大丈夫」とあまり本気で練習をすることはありませんでした。

そんな息子に変化が訪れたのは、リハーサルの日。リハーサルとはいえ大勢の人が聴いている中での息子の演奏は、ぼろぼろで間違いだらけでした。

人前で弾くことを体験し、本番はもっと大勢のお客さんの前で弾かなくてはならないと身を持って知った息子は、それから大慌てで練習を開始しました。

日々の私のアドバイスよりも、たった1回の体験が息子には強烈な学びの場となったのです。

注意があちこちに向いてしまったり、衝動性が邪魔をしてひとつのことをコツコツと積み上げていくのが苦手なADHDの息子。ですが、リハーサル以来、YouTubeで同じ曲を演奏しているお子さんの動画を自分で観るなど、視覚優位の息子らしいモチベーションの保ち方が見られ、少しずつ自分に合った方法が身についてきていることに気付かされたのです。
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