ベーチェット病の検査方法
ベーチェット病はさまざまな部位で症状を発現します。そのため、複数の検査を行う必要があります。
血液検査
採血をして炎症反応と白血球抗原「HLA-B51」の陰陽を調べます。
炎症反応については、白血球の増多や炎症の指標であるCRPの値などから各種炎症の有無や程度を確認します。HLA-B51は日本人の健常者を検査すると約15%の方が陽性であるのに対し、ベーチェット病患者では約50〜70%が陽性を示します。
炎症反応については、白血球の増多や炎症の指標であるCRPの値などから各種炎症の有無や程度を確認します。HLA-B51は日本人の健常者を検査すると約15%の方が陽性であるのに対し、ベーチェット病患者では約50〜70%が陽性を示します。
連鎖球菌ワクチンによるプリックテスト(連鎖球菌に対する過敏反応)
ベーチェット病患者の多くは、口腔内連鎖球菌に強い過敏反応を示すため、連鎖球菌死菌抗原を使い、プリックテスト(プリック針で対象の物質を少量皮膚に入れ反応を調べる)を行います。陽性の場合、20~40時間後に強い紅斑反応があらわれます。
病理所見
病変の組織や細胞を採取し、ガラス標本をつくって顕微鏡で、病変時特有の反応があるかを確認します。これまで、ベーチェット病患者特有の細菌やウイルスは検出されていませんが、主に特徴的な白血球の挙動や、全身的血管炎の可能性を示唆する壊死性血管炎の有無を調べます。
眼科検査
眼球に帯状の光を当て、拡大鏡で観察する細隙灯顕微鏡検査などがあります。
特殊型の検査
1. 腸管型ベーチェット病
診断や重症度チェックのためにも大腸内視鏡検査が必須です。
2. 血管型ベーチェット病
MRI、造影CT、超音波検査、血管造影検査などの画像検査を行います。
3. 神経型ベーチェット病
髄液検査やMRIの画像検査を行います。
診断や重症度チェックのためにも大腸内視鏡検査が必須です。
2. 血管型ベーチェット病
MRI、造影CT、超音波検査、血管造影検査などの画像検査を行います。
3. 神経型ベーチェット病
髄液検査やMRIの画像検査を行います。
ベーチェット病は完治するのか。治療期間は?
ベーチェット病の根本的な治療法はまだ特定されていません。症状が出ている活動期とおさまっている非活動期を慢性的に繰り返すため、通院・治療は基本的に長く続くことになります。
ただ、予後は良好で10年程度で症状が落ち着くケースが多いです。非活動期は定期通院や服薬、日常生活の気配りだけで十分な場合もあります。
特殊型と眼症状は重症化することがあり、注意は必要ですが、特殊型の症状に効果がある薬の開発が進んでおり、眼症状においても失明に至る患者数は減少しています。
ただ、予後は良好で10年程度で症状が落ち着くケースが多いです。非活動期は定期通院や服薬、日常生活の気配りだけで十分な場合もあります。
特殊型と眼症状は重症化することがあり、注意は必要ですが、特殊型の症状に効果がある薬の開発が進んでおり、眼症状においても失明に至る患者数は減少しています。
ベーチェット病の治療法
現状、完治させるための治療法はありませんが、症状を緩和するなど対処的な治療法が行われています。
症状の活動性や重症度を考慮して優先順位を決め、各部位の症状に合う治療法を選択しながら進められます。
症状の活動性や重症度を考慮して優先順位を決め、各部位の症状に合う治療法を選択しながら進められます。
皮膚粘膜症状
口腔内の再発性アフタ性潰瘍、陰部潰瘍には副腎ステロイド軟膏が有効で、眼症状でも用いるコルヒチンなどの内服薬もあります。薬物療法のほか口腔内、病変局所を清潔に保つこと、むし歯の治療も重要です。
また、結節性紅斑にもコルヒチンが有効、痤瘡様皮疹はにきびと同じように軟膏治療などを行います。
また、結節性紅斑にもコルヒチンが有効、痤瘡様皮疹はにきびと同じように軟膏治療などを行います。
眼症状
虹彩毛様体炎など眼の前側に病変がとどまる場合は、副腎皮質ステロイドと瞳孔を開く目薬で対処します。重症時には、副腎皮質ステロイドの注射を行います。
一方、眼の奥のほうで起きる網膜脈絡膜炎では、注射・点滴など全身に薬の成分がいき渡る方法で対処します。
これらの眼症状が頻発する場合は、症状や患者の体質に合わせて、コルヒチン、シクロスポリン、インフリキシマブなどの内服薬が使われます。
眼症状は症状の反復が視力の低下につながります。そのため、症状が落ち着いている時期でも、予防として服薬を継続することが重要です。
一方、眼の奥のほうで起きる網膜脈絡膜炎では、注射・点滴など全身に薬の成分がいき渡る方法で対処します。
これらの眼症状が頻発する場合は、症状や患者の体質に合わせて、コルヒチン、シクロスポリン、インフリキシマブなどの内服薬が使われます。
眼症状は症状の反復が視力の低下につながります。そのため、症状が落ち着いている時期でも、予防として服薬を継続することが重要です。
関節炎
コルヒチンが効果的ですが、対症的には消炎鎮痛薬も使用します。
これらの効果がない場合に副腎皮質ステロイド薬を用いることもありますが、短期間の使用が推奨されています。
これらの効果がない場合に副腎皮質ステロイド薬を用いることもありますが、短期間の使用が推奨されています。
血管病変
主な治療法は副腎皮質ステロイド薬と免疫抑制薬の併用です。日本では国内の経験上、深部静脈血栓症をはじめ血管病変に対しては血を固まりにくくする治療法を選択することが多いです。
血管病変の中には、動脈瘤破裂による出血のように命の危険が伴うものもあり、その場合は緊急手術を適応することになります。破裂する前など、症状が落ち着いている期間に手術をする方法もありますが(待機的手術)、病変の再発率が高く、かえって危険を伴うという見解から、極力保存的に対処すべきと考えられています。待機的手術を行なった場合には、再発の防止のための治療を十分に行う必要があります。
血管病変の中には、動脈瘤破裂による出血のように命の危険が伴うものもあり、その場合は緊急手術を適応することになります。破裂する前など、症状が落ち着いている期間に手術をする方法もありますが(待機的手術)、病変の再発率が高く、かえって危険を伴うという見解から、極力保存的に対処すべきと考えられています。待機的手術を行なった場合には、再発の防止のための治療を十分に行う必要があります。
腸管病変
クローン病などの炎症性腸疾患に準じた治療で、副腎皮質ステロイド薬などを使用します。
副腎皮質ステロイド薬は状態を見ながら、徐々に減らし長期投与を避けることが好ましいですが、難治性の病であるため、薬をやめることは難しい傾向があります。そのため、副腎皮質ステロイド薬の副作用対策も行い、生活の質の向上を図ります。
消化管の出血、穴があいてしまった場合には手術を要します。再発率が高いため、血管病変と同様に術後の免疫抑制剤を用いた治療が重要です。
副腎皮質ステロイド薬は状態を見ながら、徐々に減らし長期投与を避けることが好ましいですが、難治性の病であるため、薬をやめることは難しい傾向があります。そのため、副腎皮質ステロイド薬の副作用対策も行い、生活の質の向上を図ります。
消化管の出血、穴があいてしまった場合には手術を要します。再発率が高いため、血管病変と同様に術後の免疫抑制剤を用いた治療が重要です。
中枢神経病変
急性型の脳幹脳炎、髄膜炎には炎症を抑えるためステロイドが主に使用されます。急性型はこれらの治療に比較的よく反応します。一方、精神症状などが主体である慢性進行型に有効な治療方法は確立されていません。
眼病変に対するシクロスポリン服用患者では、20〜25%に神経症状が出現するとされています。神経症状に対してシクロスポリンは禁忌であり、神経症状が出現したら中止し、ほかの治療薬に変更します。ほとんどが急性型ですので、シクロスポリンの中止と副腎ステロイド薬投与で改善します。
眼病変に対するシクロスポリン服用患者では、20〜25%に神経症状が出現するとされています。神経症状に対してシクロスポリンは禁忌であり、神経症状が出現したら中止し、ほかの治療薬に変更します。ほとんどが急性型ですので、シクロスポリンの中止と副腎ステロイド薬投与で改善します。