平均値に届く・届かない能力は必ず存在する

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しかし、もし、世の中の身長の低い人がみんな成長ホルモンを使ったら、どうなるでしょうか? 平均身長が上昇して、その中で、また平均値に届かない低身長の人が出てくるだけのことです。  
 
同様のことは、知能や学力についても言えます。数値化できませんが、「空気を読む」「微妙な対人関係の調整をする」などの能力についても相対的なものですので、周囲の人よりも苦手なことが多く、生きづらいと感じる人は、どうしても出てくる可能性はあります。人に多様性がある限り、社会的に不利な少数派の人たちは、必ずある一定の割合で存在します。そのような場合には、福祉的支援を受けることをためらってはなりません。

苦手の克服が美徳とは限らない

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教育界にしばしば見られる幻想ですが、「どんな人でも時間をかけて繰り返し量をこなせば、必ずできるようになる」という考えを持つ教師がかなりいます。

また、何かを目指すときには、苦手なことを克服することが美徳だと、私たちは思いがちです。漢字が苦手なら、ドリルを30ページやればよい。そんなふうに量をこなして時間をかければ覚えられるはずと考えがちです。

しかし、それがうまくいかないのが発達障害の人たちなのです。苦手の克服を最優先課題にするのは、発達障害の人たちにとってはしばしば逆効果となり、特訓すればするほど嫌いになってしまいます。
 
発達障害の人の特性について、広く知っていただきたくて、『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』『自閉症スペクトラム』(いずれもSB新書)という本にまとめました。発達障害の特性について関心のある方には、ぜひお読みいただければ幸いです。
発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち (SB新書)
本田 秀夫 (著)
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自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体 (SB新書)
本田 秀夫 (著)
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個性とは何が違うのか?専門医の私が、発達障害を「少数派の“種族”」と表現するワケ

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