「心を救う音楽」と「生存率を上げる水泳」…!?検査結果はうりふたつなASD兄妹、習い事選びも目的も全然違っていた!
ライター:寺島ヒロ
わが家の18歳の息子と12歳の娘は2人ともASD(自閉症スペクトラム)があります。同じ診断名でも、特性の現れ方は兄妹それぞれ。
今回は、私にとっても思い出深い、兄妹の習い事について書いてみたいと思います。
いつから?何がいい?わが家の兄妹、それぞれの習い事選び
春が近づくと、テレビやネットのポップアップでいろいろな習い事の広告が目に入ってきます。子どもに生きる力をつけさせたい!余暇時間に好きなことで有意義に過ごしてほしい!と考えていた私は、子どもにはぜひ習い事をさせたいと思っていました。でも、いつから始めるか?何をやらせたらいいか?についてはこれといった考えがなく、「まあ、同じ年齢の子どもよりのんびり育っているわけだし、小学校に入ってからでいいや。」と、ぼんやりしていたのでした。
ところが…
ところが…
娘に引きずられるように音楽教室へ…
娘がトリコになったのは、リンゴのキャラクターでおなじみの某有名音楽教室のCM。やはり音楽に感度の高い人には何か響くようなつくりになっているのでしょうか。あのソファミッソファミレッ♪というフレーズを繰り返し歌うようになりました。
この子は音楽に親和性が高いのかもしれない…と思い、本人の言うがまま、3歳3か月から音楽教室に入会しました。
現在、娘は中学一年生。ピアノの練習は面倒な時もあるけど、音楽や楽器がない生活は考えられないという感じです。
小学校の6年生の頃は睡眠障害(概日リズム障害※)で朝どうしても起きられない日があり、学校も休みがちだったのですが、週一のレッスンには何とか皆勤できましたし、ピアノのクラスで一緒の友達とはいつもどおり接することができました。当初はもちろんそんなつもりはなかったのですが、大好きな音楽を介してつながれる人や場所が持てたことは、娘の心の安定にも寄与しました。学校以外に同じ年ごろの友達のいる居場所があるのは、逃げ場にもなるので良かったなと思います。
※概日リズム障害…昼夜のリズムと体内時計がうまく合わず、調節できなくなって睡眠リズムがくずれてしまい、社会生活に支障をきたす状態のことです。子どもの場合、朝起きられないと園や学校にも遅刻してしまい、不登校につながりやすい傾向も指摘されています。
小学校の6年生の頃は睡眠障害(概日リズム障害※)で朝どうしても起きられない日があり、学校も休みがちだったのですが、週一のレッスンには何とか皆勤できましたし、ピアノのクラスで一緒の友達とはいつもどおり接することができました。当初はもちろんそんなつもりはなかったのですが、大好きな音楽を介してつながれる人や場所が持てたことは、娘の心の安定にも寄与しました。学校以外に同じ年ごろの友達のいる居場所があるのは、逃げ場にもなるので良かったなと思います。
※概日リズム障害…昼夜のリズムと体内時計がうまく合わず、調節できなくなって睡眠リズムがくずれてしまい、社会生活に支障をきたす状態のことです。子どもの場合、朝起きられないと園や学校にも遅刻してしまい、不登校につながりやすい傾向も指摘されています。
対して、お兄ちゃんのタケルは、あまりピアノなどの楽器には興味を示しませんでした。幼稚園の頃、同じ年ごろの子どもたちには当時Jリーガーが人気で、特に男の子たちはサッカーに夢中!でしたが、タケルは動物や虫の図鑑を見ているのが好きな子だったので、そういう子どもたちの輪にも入れなかったようです。
音楽もスポーツも特に何もせず、小学生になってから、かかりつけのお医者さんの提案を受け水泳を習ってみることにしました。結局、この時入ったスイミングスクールに6年生まで通うことになりました。
音楽もスポーツも特に何もせず、小学生になってから、かかりつけのお医者さんの提案を受け水泳を習ってみることにしました。結局、この時入ったスイミングスクールに6年生まで通うことになりました。
お兄ちゃんが水泳を習う目的とは…?
しかし、そんなに運動神経がいいわけではない息子…。一緒に入学した同級生たちは、3年生になるころには全員「上級コース」に進級してしまい、「基礎コース」にはタケル一人だけになってしまいました。「上級コース」に行った子どもたちは、どんどん泳ぐのが速くなり、全国的な大会に出るためバスで泊りがけで出かけたりするのですが、タケルはずっと「基礎コース」で小さな子どもたちや、新入会してきた大人たちと泳いでいます。タイムも大して伸びませんでした。
体力づくりが目的とは言え、面白くはなかったのではないかと思い、「どうして辞めずに続けられたのか」と、聞いてみたことがあります。
すると「いざというときの生存率を上げるためだよ!」と、決まってるじゃないかという顔で返されてしまいました。生物学者になってフィールドワークをする際、ジャングルや海で遭難しても生きて帰ってこれるようにだそうです。速くは泳げないけど、長く浮いているのはみっちりやったので自信があるとのこと。
体力づくりが目的とは言え、面白くはなかったのではないかと思い、「どうして辞めずに続けられたのか」と、聞いてみたことがあります。
すると「いざというときの生存率を上げるためだよ!」と、決まってるじゃないかという顔で返されてしまいました。生物学者になってフィールドワークをする際、ジャングルや海で遭難しても生きて帰ってこれるようにだそうです。速くは泳げないけど、長く浮いているのはみっちりやったので自信があるとのこと。
子どもたちとスクールが教えてくれたこと
目的のために黙って何年も頑張れるのはASD(自閉症スペクトラム)の特性的なところとも言えますが、スイミングスクールで、タイムを縮めることだけを良いこと、遅いのはダメなこととせず、速いことと、長く泳げること、どちらも良いと指導してくれたおかげで頑張れたのかもしれません。
こういう視点を私自身忘れずにいたいものだと思います。
こういう視点を私自身忘れずにいたいものだと思います。
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