娘に、本に書いてあったことを話すと…

あまりにもわが家の状況とピッタリだったので私は娘に「明石さんの本にこんな事が書いてあるんだけど…」と話すと
本に書いてある内容を伝えたら、私は失敗例なの?とネガティブモードになっている娘
Upload By 荒木まち子
当時は「娘が休職や転職を望むならそうするしかないだろう。もう娘が限界で、そうすることで娘が幸せになるというなら仕方ない。」と私は覚悟していました。

障害児育児のヒント

この本には障害児育児のヒントが書かれています。
今も、知的障害を伴うASDと診断されている彼は、れっきとした障害者です。「明るく元気に働く大人になります」と自己決定して、公務員として働いています。(中略)思いが育てば、自立への道筋がついていく、と言う証でもあろうかと思っています。先に挙げた相談事例と徹之の場合の大きな相違は、「自己決定をしたかどうか」であるように思えます。

『思いを育てる、自立を助ける (発達障害の子の子育て相談 1) 』より
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4907582064
幸いにもその後、娘の症状は落ち着き、現在も同じ職場で働いています。週末には職場の先輩と食事やカラオケを楽しんでいます。

娘が復活したきっかけは何だったのでしょうか。

仕事や職場に慣れてきたこと。
入社時から積み上げてきたジョブコーチとの信頼関係が確たるものになったこと。
会社での休憩時間の使い方を学んだこと。
親との価値観の違いを主張して良いと知ったこと。
支援者は親の味方ではなく本人の味方であると再確認したこと。

さまざまな要因があったと思いますがやはり娘自身が「その会社で働き続けたい」と思った(自己決定した)ことが一番の要因なのだと思います。

自己決定の大切さ

障害児育児の大先輩、明石さんからのメッセージにはいつもさまざまな事を気づかされます。
鍵は自己決定、そして本人のまわりに「知って理解して支援する人」がどれくらいいるかです。(中略)
子育ては「子どもの成長を助ける」ことと思っています。

『思いを育てる、自立を助ける (発達障害の子の子育て相談 1) 』あとがきより
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4907582064
私は自分の子育てを振り返りました。

娘は学生時代、本当に「自己決定」をしてきただろうか?
私はありのままの娘を受容できていただろうか?
「それを娘が望んでいるから」という言葉を隠れ蓑にして実際は自分の価値観を娘に押しつけてはいなかっただろうか?

そして思いました。
自立は決して子どもに“させる”ものではない。
自立するのは本人であって親はそれを“助ける”ことに徹しよう。
子どものできる事を増やすより幸せを増やそう。
今後、娘を支えるのは親ではなく支援者になっていく。これからも信頼できる支援者との繋がりを大切にしていこう。
過去は変えられないけど、気づけたことでこれからは変わることができる。

――と。

これからも子育てで行き詰まった時、私はこの本を読み返すことでしょう。きっと自分の中でその時その時の“気づき”を見つけられるはずだから。

『思いを育てる、自立を助ける (発達障害の子の子育て相談 1) 』著者・明石洋子さんについて

明石洋子(あかし ようこ):社会福祉法人あおぞら共生会副理事長、一般社団法人川崎市自閉症協会代表理事(川崎市自閉症児親の会会長)、NPOかわさき障がい者権利擁護センター理事長。薬剤師、社会福祉士。

2008年に第4回ヘルシー、ソサエティー賞、2012年に厚生労働大臣賞を、また2017年に、徹之氏と共に第19回「糸賀一雄記念賞」を受賞。

おもな著書に『ありのままの子育てー自閉症の息子と共に①』(ぶどう社、2002年)、『自立会の子育てー自閉症の息子と共に②』(ぶどう社、2003年)、『お仕事がんばりますー自閉症の息子と共に③)』(ぶどう社、2005年)などがある。
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