掃除当番をサボる理由は、「嫌い」だけではなくて…!?ADHD息子が感じていた意外なハードル

ライター:かなしろにゃんこ。
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ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は小学4年生まで掃除に困っていました。そんな簡単なことに困る?と思うかもしれませんが、本人は大真面目。
みんなが当たり前にやる掃除当番なのにリュウ太は自分はどの場所を掃除する係なのか、やり方はどうすればいいのか?苦手なことはサポートがないと動けない特性だったのでした!

今週はどこを?今日の担当は?毎回混乱していた「掃除」の時間

掃除場所をクラスの友達に尋ねるリュウ太。
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掲示板を見ていないリュウ太。
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ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は小学4年生まで掃除に困っていました。

みんなが当たり前にやる掃除当番なのに、リュウ太は自分はどの場所を掃除する係なのかがわからず、毎回誰かに聞かないとできなかったと言います。

当番表は教室の掲示板にあり、どの班がどこを担当するのか一目でわかるようになっていますよね。

でも、リュウ太は掲示板をほとんど見たことがなかったのです。

興味がなかったこともあり、クラスのルールや目標など学校生活に必要なことはだいたい掲示板を見ればわかるようになっていることを知らなかったのです。

班の親切な女の子に質問して「うちの班は今週は廊下だよ」と教えてもらっていたそうです。でも「今週は」と言われていても、次の日にはまた忘れてしまいます

間違ったら注意されるし、やりたくなくなる...「やっているフリ」をして教室をウロウロ

勝手に行動して「違う」と言われるのが怖いから、毎回指示してもらいたいと思うリュウ太。
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学校のルールがいまいち分からない。
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リュウ太は2年生~4年生の期間は人に否定されることに恐怖を感じていたそうで、わかっているつもりで勝手に行動して「違うよ」と後から注意されたり文句を言われたりすることを恐れていました。そのため、毎回誰かに聞いてからでないと動けなかったようです

リュウ太(22歳)「学校のルールがイマイチわからなくて、戸惑うことが多かった。みんなはわかっているみたいだけど、オレは知らないことが多くて大変だった。

例えば掃除も雑巾担当なのか、ほうき担当なのかわからないし、ほうき係はどこから掃いていったらいいのか?どこまでやるのか?こんなこともわからない」
掃除の時間のリュウ太の様子。ウロウロ歩いて掃除をしているフリをする。
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リュウ太(22歳)「雑巾係も、オレは雑巾をすぐになくしちゃうから、できないことが多かった。明日になればまた汚れるんだから、掃除なんてしなくていいと思うようになって、掃除の時間に別の場所をウロウロ歩いて掃除をしなくていい状態にしてた。

やり方が違うと周りから文句を言われるし、やりたくなくなる。だんだん掃除が苦痛になっていって、4年のときはやってるフリをしてさぼった。

掃除のやり方が学校できちんと決められていないことが苦手だったのかも!?個人が担当する区域はどこからどこまで、道具がない場合はどこに相談するべきか、いろいろなルールに気を使いながら行動することや、決まりごとに対しての「?=はてな」が多すぎて疲れちゃうんだよね。それで掃除が本当に嫌になったんだ。別にオレが掃除をやらなくてもいいかって」

という掃除にまつわる困り感の一通りを話してくれましたが、母は「掃除どんだけキライだよっ」とツッコミましたよ (笑)

困っていたのは、「掃除そのもの」ではなく...?

掃除のやり方の説明を聞いていないリュウ太。
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掃除がキライという感情が息子の中にあるのは知っていたのですが、学校のルールにはてな?がありすぎて困っていたことは知りませんでした

確かに掃除だけでもたくさんのやり方があります。トイレ掃除は水を撒いてブラシでこすること!など初めて行う作業だと戸惑うこともあります。

ほうきでの掃き掃除や雑巾がけでも、教室の前から後ろに向かって履く、一列になって拭く...など、決まりごとがたくさんありますよね。おそらく先生や上級生が最初に手本を見せてくれて、みんなはそのやり方を見て覚えたのでしょうが、リュウ太は細かいルールや手順が把握できていなかったのでしょう

「こうでいいの?」とやり方を確認してもらいながら進めることができたら安心なのでしょうけれど、息子リュウ太はクラスの中で浮いている存在でしたから周りが手取り足取り教えてくれることもなく、苦手な分野ではとことん臆病で消極的になっていたことがわかりました。
サポートが得られず困るリュウ太。
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実は困っていたのは掃除という作業ではなくて、作業サポートが得られないことだったんですね。

「困ったときに質問をする、相談する、お願いすることができて、SOSが出せたとしても、周りがいい対応をしてくれるわけじゃないってことが一番困ったことなのかもしれない。学校生活のほうが社会よりも大変だったかも!?給食のルール・プールのルール・図書室のルールでしょー。ルールについては意外と覚えること多かったかもなー」とリュウ太はいいます。

社会に出てからは、「質問したらみんな答えてくれるし、丁寧に教えてくれる。それに社会人になってからすごくイヤな人って周りにいないかも。学校よりも社会はオレにやさしい」ということなんだそうです。

それなりに学校の中で一人でどうにかしようと踏ん張っていたんだな、母に相談しないでわからないものと戦っていたんだな~と思ったのでした。

学校生活を母も振り返って、本当に覚えることたくさんあったんだな~って思いました。そりゃ大変だったかも!

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