障害基礎年金の申請、ここに注意!主治医の存在が重要なワケ

ライター:立石美津子
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10521006877

息子は成人しました。障害がある場合、20歳から障害基礎年金を受け取ることができます。しかし!療育手帳や精神障害者保健福祉手帳を持っているから「それを出せば自動的にもらえる」ものでもないのです。私が経験した障害基礎年金申請、受給までの話です。

監修者鈴木直光のアイコン
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

障害基礎年金とは?

障害基礎年金は、知的障害や身体障害、精神障害があれば20歳から受け取ることができます。しかし、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳を持っているから「それを出せば自動的にもらえる」ものではありません。

私が経験した障害基礎年金申請、受給までを紹介します。
障害基礎年金には、1級と2級があり、それぞれの受給額は下記のようになっています。

1級は年間 約97万5千円/月額 約8万1千円
2級は年間 約78万円/月額 約6万5千円
障害基礎年金パンフレット
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/0000084312.pdf#search='%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E5%B9%B4%E9%87%91'
障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150514.html
息子は今は就労しておらず、就労移行支援の事業所に通所していますが、仮に法定雇用率による障害者雇用枠で就労することができたら、給料と障害基礎年金の額を合わせれば新卒の初任給くらいになります。

しかし!「申請すれば…」なのです。

療育手帳も申請しない限り、役所から親切丁寧に「障害のあるお子さんがお生まれになったのですね。3歳になったら療育手帳を申請してくださいね」と連絡はきません。保護者、もしくは本人が自己申告しなくてはなりません。
自閉症の息子
成人した自閉症の息子
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自動的には受け取れない

それから…

障害基礎年金は障害者手帳を持っているからといって、自動的に受け取れるものではありません。再度、医師の診断書や申立書など書類を用意し自治体の窓口での手続きをしなくてはなりません。

こちらから用紙をダウンロードすることも出来ます。
日本年金機構 ダウンロードページ
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/shindansho/20140516.html
「昔、主治医はいたが、今は状態が落ち着いている。だから、ここ数年一切、病院には行っていない」この場合は要注意です。主治医探しに苦労することがあるからです。
療育手帳を持っているだけでは「障害基礎年金」は受給できない?わが家が直面した、ある問題とは…!のタイトル画像

療育手帳を持っているだけでは「障害基礎年金」は受給できない?わが家が直面した、ある問題とは…!

内容が乖離してはいけない

さて、年金申請する場合、本人と付き合いの浅い医師に依頼して、医師が書く診断書は診断書、親が書く申立書は申立書としてしまうと…

年金事務所の職員が「あれ?診断書と申立書、書いてあることが全く違うぞ!保護者は障害基礎年金をもらうために『あれも出来ない、これも出来ない』と大げさに書いているのではないか」と判断されてしまい、障害基礎年金を受け取れなくなることもあるようです。医師の診断書と保護者の申立書は整合性があることが重要なのです。
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保護者が書く申立書は盛ってはならない

次は逆のケース

例えば「一人で食事ができますか?」の項目について
保護者と同居して親の世話の元、食べられるのは「一人で食事できる」とは言えないそうです。自分で買い物して料理して…など一人暮らしを想定して書く必要があるのです。

「うちの子は成長している」と保護者が思うのは良いことなのですが、それはそれ、「あれもできる、これもできる」と申告すると、障害年金を受給できないこともありえます。「できないことはできない」と正直に書く必要があります。
ここにも書いてあります(9ページ)
障害基礎年金 診断書の記載要綱
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20160715.files/B.pdf?fbclid=IwAR1j78XpnY5dokf1PZD1GALMDS9UbhTSssVoqyy28sXpR3jZ86IdPWtvXtc

乖離を防ぐため

本人のことを幼いころから知っていて、きちんと書いてくれる主治医がいれば、診断書を開封して、それを元に親が申立書を書いてもよいです。
※診断書は開封していいと役所の人が言っていました。我が家の場合、封筒もなく医師が記入した用紙だけが渡され、私も見ることができました。
でも、息子の場合は19歳で転院して1年しか経っておらず、診察は二か月に一度くらいなので息子と医師は6回くらいしか会っていません。しかも大病院なので患者数も多く診察は5分程度です。

ですから、主治医は息子のことを幼い頃から診ている訳ではありませんでした。主治医から「立石君とは一年しか付き合いがないので、今までのことは細かく分からない。手本としてお母さんが書く申立書見て、診断書を書く参考にしたい」と言われました。
病院の庭に立つ息子
病院の庭で
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医師の書く内容と一致させるには

要は診断書と申立書が一致している必要があります。

そのためには次のような方法があるでしょう。

①幼いころからずっと診てくれている主治医がいて診断書を書いてもらう。保護者がそれを開封し、内容を確認の上、申立書を書く。
②保護者が書く申立書を主治医に渡し、これを参考に医師に渡して診断書を書いてもらう。

障害基礎年金の更新時にも申請が必要になります。更新の際に参考にできるよう、診断書と申立書のコピーは必ずとっておくことも大切です。

療育手帳取得や区分認定の際は、我が子を人が診てくれたうえで判断してくれますが、障害基礎年金は診断書と申立書の書類だけで支給するかどうか判断されます。つまり、本人には会わないで決められてしまうのです。ですから、診断書と申立書に書かれていることだけで等級も受給資格も決められます。

障害基礎年金は、障害のある我が子が生活していくうえで重要なものです。
まだまだ、知らないことが多い私ですが、私の子育ての経験が皆さんの参考になればと思います。

執筆/立石美津子

専門家コメント 鈴木直光先生(小児科医)

長年、小児科医として神経発達症の外来を担当していると、かつて小学生だったお子さんが成人を迎え、障害年金の診断書を作成する機会も多くなりました。その主な対象となるのは、特別支援学校で学び、ASD(自閉スペクトラム症)と知的発達症を併存して療育手帳を交付されている方々です。

一方で、手帳を持たず一般就労をされている方が、普段は診察に同行されない親御さんと共に来院され、診断書の作成を強く希望されることもあります。しかし、もしそれが受給のみを目的とされているような場合には、医師としての立場から作成をお断りしています。ASD(自閉スペクトラム症)は一つの特性であり、ADHD(注意欠如多動症)は継続的なケアを要する慢性疾患であって、それ自体を安易に(障害年金の対象となる)「障害」と定義すべきではないと考えているからです。

知的な発達に遅れがあり、これからの社会生活において切実な困難が予想される方については、将来を支える一助として診断書を作成しますが、実際に受給が認められるかどうかの最終的な判断は行政側に委ねられるという点も、現実的な視点として心に留めておいていただければと思います。(監修:小児科医 鈴木直光先生)

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