「着替えが必要な濡れ」に明確な基準をつくる

「着替えが必要な濡れ」を表現する時「たくさん」や「ちょっと」などの、あいまいな言葉では認識を共有することが難しいと考え、濡れを判断できる共通のものさしを探しました。水濡れはいつ、どこで起こるかわかりません。いつでもどこに居てもすぐに使えるもの…というわけで、体の一部、てのひらを使って濡れの量を判断することに決めました。

選択肢はいたってシンプル。
てのひらより大きく濡れたら着替える。
てのひらより小さいときはそのままでもいいし、気持ち悪いなら乾かす。


てのひらより小さな濡れをドライヤーを使ったり、短時間干せば乾くことも実演しました。
当時5歳半だったむっくんは興味を持って私の話を聴いてくれました。
『手のひらスケール』を着替えの基準に
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すると翌日から、むっくんは水濡れの範囲を自分のてのひらを合わせて確認するようになりました。水濡れが手のひらより小さいと、ホッとした顔で「大丈夫だね」と笑います。
むっくんはその日を境に、小さく濡れた服であれば着続けることができるようになりました。保育園では濡れた服を干して乾かしてもらい、もう一度着ることもできるようにもなりました。着替えの回数は減り、濡れでパニックを起こすこともやがてなくなっていきました。
選択肢が増えたことで心が少しでも楽になれば
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想像以上の変化への戸惑い

正直に言うと、こんなにも本人のこだわりに影響を与えると私は思っていませんでした。私が一方的に決めた定義が本人に浸透してしまった現状に戸惑うこともあります。着替えることで本人の困り感が解消されていたのだから私がそのまま見守っていれば、むっくんは暮らしにくいと感じたタイミングで、自力で工夫を考えたかもしれません。考えるチャンスを奪ってしまったのかなぁと悶々とする日もあります。

でも雨が苦手でパニックを起こしていたむっくんが、雨の一粒は小さいから濡れても平気なんだよと、雨の中ではしゃぐ姿を見ていたら、これもまたあり!なのかな?と思ったりもします。

今でも水濡れはやっぱり苦手なむっくん。最近は靴の濡れを回避するために、自分からロング長靴なら安心できる!と、道具での対策を試したりしています。私のつくった水濡れの定義が、いつかむっくんが自分でつくり出した定義に変わっていくことを願いつつ、私は今日も濡れた服を洗濯しています。
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