母子分離で癇癪・パニックの自閉症息子。自由に動けない苦しさの中、スモールステップで離れる訓練を始めて

ライター:みん
母子分離で癇癪・パニックの自閉症息子。自由に動けない苦しさの中、スモールステップで離れる訓練を始めてのタイトル画像
Upload By みん

何をするにも何処へ行くにも、私と離れることができなかったP。
このままでは誰にも預けられないし、療育へ単独で通うこともできない、そして私自身も休まるときがないと不安に思っていました。
今回はそんな私たちが、母子登園中に「離れる為の訓練」を積み重ねて来たお話です。

【コラム後半で母子分離不安、後追いについて専門家の解説を掲載!エッセイと共にご覧ください】

監修者井上雅彦のアイコン
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

普通の後追いとはレベルが違う?

Pが私の存在に気がつくようになってからは、酷い後追いがありました。
幼児によくある後追いの様子とは違い、「母子分離不安」といえるくらいの癇癪とパニックがあったのですが、一度私と離れてしまったら最後、私がPの元へ戻ってくるまで何時間であろうと泣き続けていました。
母親としての存在の私を後追いしているというよりは、普段クレーンで要求するとそれを叶えてくれる人(手)がいなくなってしまうような不安…きっと当時のPにとっては、自分の身体の一部が急に消えてなくなってしまうかのような感覚に近かったのかもしれません。
自分の体の一部が消える感覚に近い?
Upload By みん

トイレも家事も…自由に動けない苦しさ

そんなPとの生活は私にとっては壮絶なものでした。部屋から出て行くだけでも泣くので、トイレへもまともに行けないし、家事をしているときも全く思うように動けませんでした。酷いときは私がその場を立とうとするだけで泣いてしまったりもして、私はまるで見えない鎖のようなもので四六時中Pと繋がれているような、自由になれない苦しさがありました。
まるで鎖で繋がれているような感覚に
Upload By みん

経験を少しずつ積み重ねることで離れることにも慣れる

そんなPと私が離れるようになるためには、スモールステップが必要でした。

療育は週2回短時間の母子通園から始めたのですが、まずは母子で通って先生とお友達と場所に慣れてから、私と少しずつ離れる訓練をしたのです。最初は10分離れることから始め、離れる前には必ず「今からお母さんは部屋から出て行きます。でもこのタイマーが鳴ったら戻って来ます」とPに予告しました。

もちろん、まだ言葉や状況を理解できていなかったPは、私が部屋を出た瞬間から10分間ずっと泣き続けました。でもタイマーが鳴ると、私が「ただいま」と戻って来る。そんな訓練を何度も何度もくり返すと、回を重ねる度に少しずつ私と離れることにも慣れていき、離れる時間も10分から20分…30分…と伸ばせるようになってきました。そして離れるときには泣いていたとしても、そこから泣き止む時間も徐々に短くなってきました。
Pくんに予告をしてから離れるように
Upload By みん
ライフバナー
児童支援最大化バナー

安心できる場所と安心できる人との出会いが大切

しかしこの方法は慣れた人と場所だからこそ有効で、また新たな場所や人となると同じようなスモールステップが必要でした。でもPも経験を積み重ねて身につけているので、以前ほど離れるのは大変ではなくなりました。
今でも分離不安は少し残っていますが、その場所に数回通い慣れさえすれば、安心して私とも離れられるようになってきたように思います。
慣れた場所ならお母さんと離れていても安心できるように
Upload By みん
さて、かつてはトイレすらゆっくり行けなかった私ですが…療育で訓練を積み重ねてPも成長したおかげで、現在はゆっくり行けるようになりました。何をするにも時間のかかるPですが、スモールステップでいろんな経験を重ねて成長することで母子共に生活も少しずつ改善していくんだなと実感しています。

母子分離不安とは?3歳過ぎても後追いが終わらない原因は?

母子分離不安とは、母親などの保護者、愛着対象と離れることで、子どもが不安を感じることを言います。
乳幼児期にみられる発達段階のひとつで、母親などの愛着対象から物理的に離れることに強い不安を感じ、泣き叫ぶなどの症状が見られます。生後8か月頃から始まり、生後10か月~1歳半頃にピークを迎え、2歳~3歳頃になると次第におさまってくると言われています。母親などの愛着対象が必ず戻ってくるということを学ぶと自然に不安が和らいでいくことが多いです。
分離不安自体は、早期の発達段階において誰にでも起こるものですが、不安感が長期間続いたり、腹痛・頭痛といった身体的症状、無気力などの精神的症状、通園・通学拒否などが見られる場合、「分離不安症」と診断される場合があります。

「3歳になってもママにべったりで後追いする……」と悩む人もいるかもしれません。3歳以降の母子分離不安の原因は、主に環境の変化と言われており、例えば新しい場所へ行く、進級や進学・転校などストレスを感じたりといったことが原因であることも多いでしょう。

こうした現象は一時的にしか続かない場合がほとんどですが、ASD(自閉スペクトラム症)や発達障害などの特性が関連し、不安がおさまらず母子分離不安が長期化し、登園・登校を嫌がり、不登校になる場合もあります。強い不安が1か月以上続いている時は、医療機関や保健センターなどに相談してみるといいでしょう。
井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
Upload By みん
(監修:井上先生より)
子どもさんが起きている間中、側にいないと行けない状態が続くというのは、親御さんにとって大きな心理的なストレスになると思います。みんさんが実施された方法のように、本人が安心できて楽しめる環境、活動を用意して一定の予測性を持たせたうえで少しずつ離れる時間を伸ばしていくというのは、有効な方法です。みんさんが書かれているようにこのようなスモールステップが成功するためには、新しい環境で本人が安心して楽しめる活動があることが条件になります。スモールステップは時間がかかりますが、機関の協力を得ながら無理なく進めていけるといいと思います。
LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
https://h-navi.jp/column
【新連載】「自閉症っぽい」から「自閉症だ!」に変わった瞬間、声を震わせて泣いたーーそして今、療育・医療とつながり、奔走する日々へのタイトル画像

【新連載】「自閉症っぽい」から「自閉症だ!」に変わった瞬間、声を震わせて泣いたーーそして今、療育・医療とつながり、奔走する日々へ

自閉症息子の園生活、慣れたころには年度末…!場所見知り、人見知りで大号泣。トラブル続出の年少時代のタイトル画像

自閉症息子の園生活、慣れたころには年度末…!場所見知り、人見知りで大号泣。トラブル続出の年少時代

母子分離不安とは?ママにべったり?年齢ごとの特徴や原因、分離不安症の診断基準も【小児科医監修】のタイトル画像

母子分離不安とは?ママにべったり?年齢ごとの特徴や原因、分離不安症の診断基準も【小児科医監修】

ライフバナー
児童支援最大化バナー


年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。