学校で提出物を出さない問題。ASD息子に担任の先生が考えてくれた「今年限定で行える」支援とは?

ライター:丸山さとこ
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小学校に入学して以来、提出物を出さないことがしばしば問題になっているコウです。やり忘れたり間に合わなかったりするときはまだ分かるのですが、できあがった提出物も未提出のままになっていることがあるのは不思議です。

そんなコウの未提出を防ぐべく、担任の先生が『さりげない支援』の方法を考えてくださいました。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

先生からの”さり気ない支援方法”は予想外のもので…!?

提出物を出さないコウに対して先生が考えてくれた方法は「名簿順で回収」することでした
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”できている提出物を出さない”コウ

学校に通っていると、ノートやプリントなど”子どもから学校への提出物”がたくさんあります。息子のコウは、小学校入学以来それらの提出物を出さないことがしばしば問題になっています。

宿題の方は、朝一斉に集めることもあり年々出し忘れが減ってきているそうですが、授業中に配布と回収を行うプリント類は未提出が目立つようです。

先生が考えてくれた、「丸山コウ」ならではの支援方法!

そんなコウに対して先生は声掛けをしてくださるのですが、回収し終わってから声をかけるとクラス内で目立ちますし、提出物が一斉に集まるときはコウが出しそびれていても気づきにくくなってしまいます。

そこで、担任の先生は提出物を集めるにあたって『名簿順に提出するルール』を作ってくださいました。
『丸山』は名簿順で一番最後。これによってコウが提出物を出していないことに先生が気づきやすくなりました。
『丸山コウという名前でよかった』と盛り上がるコウと私
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これもまた『その子一人ひとりに合わせた支援』なのかも?

その時々の状況に合わせてフレキシブルに考え出される支援方法たち

定番の支援方法として紹介される支援には、普遍性が高く汎用性に優れたものが多くあります。それにより、支援を必要とする当人や周りの支援者たちは優れた支援方法を共有でき、本当に素晴らしいものだと感じます。
しかしその一方で、実際に学校内での支援を望む際には、それら定番の支援方法を活かすのが難しいこともしばしばあります。

先生のポリシーとかみ合わなかったり人手が足りなかったりすることもありますし、支援を受ける子ども本人が「みんなと違うと嫌だな」「目立ちたくないな」と思う場合もあります。
支援を受けることで目立つのがゆううつな子も…
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そんな中、「集団への指示が通りにくい児童に対して個別に声をかけて促す」という定番の支援を、集団への支援と合わせてさり気なく行うために作られた「名簿順に提出する」ルール。

たまたま今年はクラス名簿の最後尾だったことで行えたその支援方法は、来年以降は使えないものかもしれません。けれども、その「今年限定で行える支援」は、現在のコウに合わせて考えられたピッタリの支援と言えるのだろうと思いました。

担任の先生が考えて下さった工夫と細やかな配慮を、とてもありがたいなと感じました。
「先生が声をかけてくれる今が『提出物を出す練習』のチャンスかもね」と話す私
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余裕をもって支援を行えるだけのマンパワーがあったり、子どもたち一人ひとりがそれぞれの違いを認めて支援を受け入れられるのであれば、それはとてもよいことだと思います。

それを念頭において目指しつつ、「実際に今できそうなこと」や「支援を受ける子ども当人の気持ち、その子の周りにいる子どもたちの気持ち」も大切にして、”そのときのその子に合った支援”を実現していけたらいいな…と思うこのごろです。

執筆/丸山さとこ
(監修:井上先生より)
クラス全体に有効なユニバーサルな支援のほかに、個別の支援としての合理的配慮があります。
このような合理的配慮を選択する際に、コウくんの体験のように本人にとっての受け入れやすさという視点も必要になります。
例え最初は考えた支援がフィットしなくても、先生とコミュニケーションしていくことで、よりよい支援に調整していけると良いと思います。
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