子ども用ハーネスは「ペットの散歩」のよう?葛藤もあったけれど…多動なわが子と「安心して出かけるためのお守り」だから

ライター:みん
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外出の際、時と場合によっては息子のPに子ども用ハーネスを使っていたことがありました。ハーネスとは子ども用の迷子紐のことですが、使用している様子を見ると「ペットを散歩をさせているみたい」と思う方もいるかもしれません。実際に私も子どもが生まれる前や必要に迫られる前は心の中でそう感じることもありました。そのため「ハーネスを自分の子どもに使う」ということに対しては心の中での葛藤がありました。ですが、Pと出かけた際に起こったできごとを通じ「やっぱりハーネスを使ってみよう」と思ったのでした。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

危険が分かっていないわが子の行動にヒヤヒヤする日々…

自閉症のある息子のPは激しい多動があるわけでもないのですが、目に入ってくる情報や刺激が人一倍強いので、気になる物が目に入った瞬間に、そこへ向かって突然走りだしてしまうようなことがよくありました。

手をつないでいても振り払ってしまうし、一瞬でその場から走り去ってしまうので何度もヒヤリとした体験をしていました。Pは何の前ぶれもなく突然行動することがあるので、前もって危険を回避したくても予測が困難なことばかりでした。これまでに1番ヒヤッとしたのは、道路の向こう側に電車が走っていたのをPが目にした瞬間に、歩道から道路へ急に飛び出したときです。道路と歩道の境界にはガードレールがあったので私も少し油断をしてしまっていたのですが、たとえそばを歩いていたとしてもとっさには防ぎきれないことがあるかもしれないことを実感しました。
道路へ急に飛び出してしまいヒヤリとする!
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そんなこともあり、3歳ころまではリュックに紐がついているタイプのハーネスを使っていたのですが、ハーネスをつけていると何となく周りの人の目が気になるなと感じていました。

ハーネスを使っている私たちに「それ便利そうね!私が育児をしていたときにも使えば良かった」と言う人もいれば、「犬の散歩をしているみたいじゃない!自由に歩かせてあげられないの?」と言う人もいました。私も子どもを持つ前なら「ハーネスってそんなに必要なのかな?」と、ハーネスを使う親子を見かけたら不思議に思っていたかもしれません。

でも自分が親になって初めて、ハーネスが怪我や事故の防止になり、周囲にも迷惑をかけずに済む場合があることを痛いほど理解できました…というより必要に迫られたのです。
子ども用ハーネスについては、いろんな意見がありました。
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Pにはなかなか指示が通らなかったし、手をつないでいても振り払い平気で走り去ってしまったり、自分では危険を認識できていなかったりなど、ハーネスがなければ防ぎきれなかったであろう場面がたくさんあり、実際ハーネスには何度も救われました。ハーネスは迷子になることを防止するためだけのものではなく、私にとってはどちらかというと子どもの「命綱」のようなイメージになっていました。

そしてPが4歳になり身体が大きくなってくると、小さい子が使うようなリュックに紐付きのハーネスという見た目が少し気になり始めたので、次は手をつないだ上でさらに保険になるよう手首にもハーネスをつけるようにしました。

でも5歳を過ぎてからは大分落ち着いて歩けるようにもなってきたので、ハーネスは交通量の多い場所や、海や川など危険な場所で限定的に使うようになりました。

私たち親子にとってハーネスは安心してお出かけする為のお守りです

お守りとして子ども用ハーネスを使っています。
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こうして最初は人の目を気にしてしまっていた私は、いつからか「子どもを守るために必要だからハーネスを使っているんだ」と、人の目は気にせずに堂々と使えるようになりました。子ども用ハーネスに対する理解が少しでも増え、ハーネスが必要な親子が安心してお出かけできるようになると嬉しいなと思います。

執筆/みん
(監修:初川先生より)
突発的な行動があるお子さんにとって、ハーネスは心強い味方ですね。確かに見た目から犬の散歩のように見え、心ない言葉をかける人もいるかもしれません。が、お子さんの安全を守れるのは行動を共にする保護者だけなのですよね。また、ハーネスの存在によって、必要以上に子どもにきつく叱ることもなくて済む面もあると思います。言葉で言って聞かせてもまだまだ自分で行動を制御するのが難しい年齢の場合は、上手にハーネスを使うことで危険と折り合いをつけつつ“自由に歩く経験”ができるのではないかと思います。
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