「加配が必要です」自閉症診断前の息子。保育園での姿をモニターで見て衝撃を受けた年少のころ
ライター:まゆん
太郎は小学6年生。自閉スペクトラム症があり、特別支援学級(情緒クラス)に在籍しています。
太郎が年少クラスになってから数ヶ月後、保育園側から太郎の行動について指摘を受け、教室に設置されているカメラのライブ映像で太郎の様子を見ることになりました。
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
太郎の様子を保育園のライブ映像で見ることに
現在、自閉スペクトラム症のある太郎は小学6年生。太郎は保育園の年少クラスになってから数ヶ月後、保育園側から行動について指摘を受け、私は教室に設置されているカメラのライブ映像で太郎の様子を見ることになった。
保育園に到着し、教室の前を通る。年少のクラスの園児は30人近くいた。園児一人ひとりは小さいが30人近くがひとつの教室にいるとひとつの大きななにかに見えた。それに対して保育士の先生は1人。子どもに比べ大きいはずなのに小さく見えた。
数ヶ月前までの未満児クラスでは担任の先生も複数人の体制だったが、それから急に一人体制…。これも太郎の行動が目立ちだしたひとつの誘因なのかもしれないと1人で分析していた。
保育園の行事毎にいただく写真で太郎はだいたい先生の隣に写っていた。私と私の母は写真を見ながらいつも「今回も先生が隣に写ってるね」「やっぱりちょっと落ち着きがないもんね」「太郎が先生に近づいてるんじゃなくて、先生が太郎についてくれてるんやろうね」などと話をしていた。
保育園に到着し、教室の前を通る。年少のクラスの園児は30人近くいた。園児一人ひとりは小さいが30人近くがひとつの教室にいるとひとつの大きななにかに見えた。それに対して保育士の先生は1人。子どもに比べ大きいはずなのに小さく見えた。
数ヶ月前までの未満児クラスでは担任の先生も複数人の体制だったが、それから急に一人体制…。これも太郎の行動が目立ちだしたひとつの誘因なのかもしれないと1人で分析していた。
保育園の行事毎にいただく写真で太郎はだいたい先生の隣に写っていた。私と私の母は写真を見ながらいつも「今回も先生が隣に写ってるね」「やっぱりちょっと落ち着きがないもんね」「太郎が先生に近づいてるんじゃなくて、先生が太郎についてくれてるんやろうね」などと話をしていた。
先生がついていないといけない状況なのに、先生1人に30人近い園児となると太郎も先生も大丈夫なのかな…と進級してから不安には思っていた。そして不安が的中した。
モニターにうつしだされた太郎は…
教室での太郎の様子をライブ映像で見るため事務室に入った。私は見ることが怖かったが、目を逸らしてはいけないと思った。モニターの前でドキドキしながら太郎を探した。ドキドキしながらモニターにうつる太郎を見つけた。
そこに映っていたのは、いつも通りの太郎だった。
いつも通り動き回っていた。いつも通りに椅子に黙って座って居られず、ガタガタと動いていた。いつも通り人の話を集中して聞いていなかった。いつも通り急に動き出して…授業中に1人教室を飛び出して…なんと年長クラスへ侵入して行った…。
私が知っているまんまの太郎だった。それはもう楽しそうに、体を大きく弾ませながら走っていた。
いつも通り動き回っていた。いつも通りに椅子に黙って座って居られず、ガタガタと動いていた。いつも通り人の話を集中して聞いていなかった。いつも通り急に動き出して…授業中に1人教室を飛び出して…なんと年長クラスへ侵入して行った…。
私が知っているまんまの太郎だった。それはもう楽しそうに、体を大きく弾ませながら走っていた。
私は声も出ないほどの衝撃を受けた。太郎の行動に衝撃を受けたのではない…私が衝撃を受けたのは…周りの園児たちの落ち着いた様子で、太郎との『違い』だった。誰一人として太郎と同じような行動はしておらず、教室の中で先生の指示通りに作業を行っていた。
私は放心状態だったが、園の先生は私にこう話しかけてきた。「こういう状況であるため保育士の加配が必要です。加配のためには、太郎くんに発育テスト(知能検査)を受けてもらうことが必要なんです」と。
先生がおっしゃっていることの理解はできていた。しかし心が追いついてなかった。心が震えながら返事をしていたが、どう返事をしたのかは覚えていない。
私は放心状態だったが、園の先生は私にこう話しかけてきた。「こういう状況であるため保育士の加配が必要です。加配のためには、太郎くんに発育テスト(知能検査)を受けてもらうことが必要なんです」と。
先生がおっしゃっていることの理解はできていた。しかし心が追いついてなかった。心が震えながら返事をしていたが、どう返事をしたのかは覚えていない。
あとがき
太郎の行動に日頃から『発達障害』ではないかと不安はあったものの、確実なものがあるわけではありませんでした。モニターで周りの子どもたちとの違いというものを目の当たりにしたときに、1歳7ヶ月のころの運動会でひっかかっていた『何か』が明確になったのでした。
『みんなと同じ』ということが正しいというわけではありませんが、『みんなと違う』となると何かあるのか?この子の未来は?など不安が一気に押し寄せてきました。
執筆/まゆん
『みんなと同じ』ということが正しいというわけではありませんが、『みんなと違う』となると何かあるのか?この子の未来は?など不安が一気に押し寄せてきました。
執筆/まゆん
(監修:鈴木先生より)
自治体で行っている3歳児健診でも集団から外れてしまう子がいます。3歳児健診で行動の問題があっても残念ながら、たいていの場合は「様子を見ましょう」になってしまいます。従って、次の就学時健診までの数年間、そのままの状態が続くことになり、今回のケースのように保育園や幼稚園から行動の問題点を指摘されることが多いのです。そのため、最近は自治体によっては集団に入る年中さんあたりで5歳児健診を行い、お子さんにどんなつまずきがあるかを診るようになってきました。5歳児健診は親にお子さんのつまずいている現状に気づいてもらうための健診です。しかし、残念ながらまだ一部の市町村しか行えていません。就学時健診でもスルーしてしまい、小学校の担任に言われて初めて気づく親御さんも珍しくありません。
自治体で行っている3歳児健診でも集団から外れてしまう子がいます。3歳児健診で行動の問題があっても残念ながら、たいていの場合は「様子を見ましょう」になってしまいます。従って、次の就学時健診までの数年間、そのままの状態が続くことになり、今回のケースのように保育園や幼稚園から行動の問題点を指摘されることが多いのです。そのため、最近は自治体によっては集団に入る年中さんあたりで5歳児健診を行い、お子さんにどんなつまずきがあるかを診るようになってきました。5歳児健診は親にお子さんのつまずいている現状に気づいてもらうための健診です。しかし、残念ながらまだ一部の市町村しか行えていません。就学時健診でもスルーしてしまい、小学校の担任に言われて初めて気づく親御さんも珍しくありません。
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