「早くして!」を「擬人化」で、着替えや歯磨きもスムーズに!毎日の子育てをラクにする声かけのコツ

2021/12/10 更新
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年中無休の子育てで、慌ただしい日々の中でお世話がスンナリと運ばないと、家庭内の空気もついピリピリしがちに…。また、久しぶりのお孫さんの帰省などで、いざ子守りを任されると、接し方に戸惑う方もいるかもしれません。でも、困ったときの秘伝の策「擬人化の声かけ」なら、だれにでもスグにできて、子どものハートをわし掴みできるかも。発想を転換して、ちょっとだけ伝え方を工夫してみると、お子さんが進んで楽しくできること、やる気が出ること、泣きやめることって、結構あるんですよ。

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楽々かあさん
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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 客員研究員
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。

子どもの興味を引くには「擬人化」が鉄板!

こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。

親業は年中無休ですし、毎日バタバタと慌ただしい中で、お子さんの身支度やハミガキ、身体のケアなどのお世話がスンナリと運ばないと、家庭内の空気もつい、ピリピリしがちにもなるというもの。
また、普段小さな子やお孫さんに接する機会が限られている方は、いざ、「ちょっとだけみてて」と子守りを任されると、未知の生物過ぎて「どう接していいのか、わからない」なんて、戸惑うこともあるかもしれません。

でも、大丈夫。だれにでもできる、秘伝の策がありますから。

それは「擬人化の声かけ」。子どもの興味を引く鉄板技の擬人化テクニックで、小さなハートをわし掴み!パパもママも、じいじもばあばも、発想を転換して、ちょっとだけ伝え方を工夫してみると、お子さんが進んで楽しくできること、やる気が出ること、泣きやめることって、結構あるんですよ。

だれでもスグにできる!擬人化テクを駆使した声かけのコツ

「ピンクのかぶとむし」筆者の長女の落書き作品
「ピンクのかぶとむし」長女作
Upload By 楽々かあさん
小さな子のお絵かきを見ると、ニッコニコの太陽やお花を描いたりしますよね。これは、子どもがモノや自然と距離が近い世界に住んでいて、自分と同じような心があるように感じているから。
また、人と関わるのが苦手なタイプの子でも、モノに対する興味や愛着が強いこともあります(大人だって、「他人の気持ちはイマイチよく分からないけど、自然や地球の気持ちなら、手にとるようにわかる」なんて方もいるでしょう)。

だから、「言いたいことが、子どもになかなか伝わらない」「反応がイマイチ」と思ったら、擬人化してモノの口を借りてみると、素直に話に耳を傾けてくれたり、理解・納得しやすくなったりする可能性大。それに、大人のほうも発想を転換して、子どもに目線を合わせることで、気持ちが和らいだり、肩の力が抜けることだってありますから。

つまり、「困ったら、擬人化!」は、ぜひ、試してみたい声かけ技の筆頭、というワケなのです。

この擬人化テクニックを駆使するコツは、まずは「子どもをよく観察すること」です。
久しぶりにお孫さんに会って、少々緊張気味のおじいちゃん・おばあちゃんも、好きなものや最近ハマっていることなどをそれとなくリサーチしたり、服装や身の回りのものなどをよく見ておくと、擬人化ネタがゴロゴロ落ちていますから、心のネタ帳にストックするといいでしょう。

では、実践編をうちの具体例で紹介しますね。

「くつ下のうさちゃんが、一緒に連れてって〜!って言ってるよ」

まずは、入門編。身の回りのモノの擬人化です。
登園・登校やおでかけ前に、子どものお着替えに手間取ってしまうと焦りますよね。ましてや冬は、着せるモノがいーっぱいありますから!
小さなころ、やや肌が敏感なうちの長女も、くつ下を履くのがあんまり好きじゃなくて時間がかかっていたのですが、あるとき、その日のくつ下についていた、うさちゃんのワンポイントが目に止まり……

「うさちゃんが、一緒に連れてって〜!って言ってるよー」

……と、パタパタさせてみせると、お世話大好きの長女は目をキラキラさせて、「しょうがないなあ。じゃあ、いっしょにいく?」と満更でもない様子で履いてくれました。(その日を境にしばらくの間、くつ下たちが「今日はぼくが一緒」「ずるい!私が先よ」と長女を取り合って争奪戦を繰り広げる展開が「朝のお約束」になってしまいましたが……)

このように、身につけるモノのちょっとしたキャラクターやワンポイントに注目して擬人化したり、「この茶色のモコモコを着たら、ワンちゃんみたいでかわいいよ」「この服の組み合わせは、〇〇ジャーのブルーっぽくてかっこいいね」などと、その子の好きなものにちょっと寄せたプチ・コスプレなども、進んで着替えてくれる可能性大です。

「ムシバキンが、ハンバーグありがとう〜!だって」

次に、少々演技力が必要な、見えないモノの擬人化。
時に、子どもという生き物は、「やって!」と言われれば「ヤダ!」と即座に返し、「やらないで!」と言われれば言われるほど、好奇心がうずうずとしてしまう、天の邪鬼な性質がありますよね。
うちの長女も、寝る前のハミガキを「しないとダメでしょ」と言われても、イマイチ乗り気になれなくて時間がかかっていたことも。こんなときも擬人化の声かけの出番です。例えば、夕食にハンバーグを食べたあとで、長女の口の中をじーっと覗き込んで……

「ああ! ムシバキンたちが喜んでるっ!今日はごちそうだ、やったー!ハンバーグありがとう、今からみんなでパーティするからハミガキしないでね!?だって」

……なーんて言ってみたら、慌ててガシガシと磨き始めました(笑)。このあとも「大変だー!みんな、隅っこに隠れろー!」「ぎゃー!流さないでー!ずーっと〇子ちゃんと一緒にいたいんだよォ〜」などと臨場感を盛り上げると、自分でとても丁寧に仕上げてくれました。
「演技力に自信がない」「恥ずかしい」なんて方もいるかもしれませんが、ここは覚悟を決めて新しい扉を開いてしまったほうが、ぐずる子どもと押し問答を続けるよりも断然ラクだと思いますよ(子育て中の恥はかき捨てでOK!)。

また、小さな子は声かけだけでは難しいこともあるので、お支度やお世話がなかなか進まないときには、親の足の甲に子どもの足を乗せたペンギン歩きや、「ママタクシーが迎えに来たよ」「パパバスにご乗車のかたはいませんか〜?」などと、おんぶや四つん這いで、トイレ→洗面所→着替えルートなどを巡回してしまうのもGood。また、逆に「じいじを洗面所に連れてって」「ばあばのお着替え手伝って」などと、子どもに頼むとやる気を出す子もいるでしょう。

「おへそちゃんとお話させて?」「ガサガサくんたち、並んで並んで〜」

最後は応用技。目のつけどころがポイントの、パーツの擬人化です。
風邪の流行る季節や、なにかと子どものケアに気を配る必要があるときには、親も神経を使いますよね。ましてや、今は新型コロナウイルスのことを気にしながらの生活が続いていますから、毎日の体調チェックに加えて、こまめな手洗いや衛生管理なども大変でしょう。
これらの必要な身体のケアも、毎日のこととなると、子どもも大人も面倒でテキトーになりがちですし、お世話を嫌がる子もいるでしょう。

こんなときは、子どもの身体のパーツを擬人化して、名前をつけてしまうのもテです。そして、子ども本人ではなく、そこに向かって直接話しかけるようにすると、子どもも協力的になってくれるかもしれません。
例えば、うちでは子どもたちが風邪を引いたときの体調チェックには、「おへそちゃん」に向かって……

「ちょっと、おへそちゃんとお話させて。もしもーし? 今日はゴロゴロしてないかな?」

……と、お腹に耳を当てたり、「おへそちゃん、なんて言ってる?」と子どもに聞いたりしていました。また、寝るときに「おへそちゃんが、寒いんだって」というと素直に布団をかけてくれたりも。

また、乾燥しやすい季節や、こまめな手洗いの結果、手が荒れがちな子もいますよね。うちの次男も肌が荒れやすく、いつも保湿クリームを塗っていました(今もです)。毎日のこととなると本人もうんざり気味。こんな時は、手や肘の「ガサガサ君」たちに向かって……

「ガサガサ君たち〜、保湿クリーム塗ってあげるよ。並んで、並んで〜」

……なんて言うと、協力的になってくれたりも。子どもだって、「自分がやらなくてはいけない」と思うと面倒に感じても、他人事だと思えば多少気がラクなのかもしれませんね。それに親のほうも、たとえ子どもがお世話に非協力的でも「おへそちゃんがヘソを曲げている」「今日はガサガサ君の心が荒れている」と解釈すると、気持ちが多少和らぐのではないでしょうか。

ときには大人の言い訳にも……

こんな風に「擬人化」は、子どもの興味を引くのに非常に便利で手軽な声かけテクニックなのです。
ですから、「本当は子ども相手にあんまりピリピリせずに、柔軟にユーモアで切り返したいのに思いつかない」なんて方でも、「困ったら擬人化」を頭の片隅に入れておくと、発想の転換がしやすくなるでしょう(脳トレにもなりますよ)。

そして、ときには、擬人化は大人の言い訳にも使えちゃったりもするんです。
たとえ仕事や世間のみなさまがお休みの日でも、子育てだけは年中無休で営業中ですから、せめて家事くらいは少々手を抜いたってバチは当たらないというもの。例えば、私は時々、夕食作りの直前に炊飯ジャーのスイッチを”つい、うっかり”入れ忘れたことに気がつくのですが、こんなときには……

「今日は、炊飯ジャーがごはん作りたくないんだって。しょーがないから、宅配ディナーをたのもうか」

……なんて、モノの口を借りて適度に本音を混ぜ込みつつ、都合よく家事をサボっています。
このように擬人化の声かけ技を身につけると、だれでも簡単にユーモアで返すことができますし、何より、子どもの世界に目線を合わせて、発想を転換するクセをつけていくと、自然と大人の頭の中も、家庭内の空気も、柔らかくなるのではないでしょうか。
文:大場美鈴(楽々かあさん)

(監修者・井上先生より)
擬人化のテクニックを使うことによって、保護者から子どもへの「~やって」という命令口調が柔らかいものになりますね。また自らのかかわりをうまく整理されていてわかりやすく素晴らしいと思いました。擬人化をすることで、大人側の気持ちの癒しにもなると思います。擬人化することが分かりやすいというお子さんには、この方法はよいですね。
ただ、なかには擬人化が分かりにくいというお子さんもいるので、お子さんの様子をよく見るようにしましょう。
自閉スペクトラム症のあるお子さんで、歯磨きが嫌いだがお医者さんごっこが好きだという子がいました。そのお子さんは、診察券をつくり、「次の方どうぞ~」と医師役の保護者が呼びかけるごっこ遊びの形であれば、嫌いな歯磨きもできました。このようにごっこ遊びなどの文脈にのせていくのも同様の効果が得られると思います。
大場さんも書いておられるように、お子さんの好きな文脈・ストーリーを踏まえた擬人化や声がけが大切なのだと思います。

このコラムを書いた人の著書

発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換
大場美鈴 (著)
あさ出版
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