感覚過敏な高校生のリアルな日常。「周囲と同じようにできない」悩みながら見つけた感覚回避の工夫

2021/11/30 更新

感覚過敏があると日常生活で困ることが多く、周囲と同じように行動できない自分に落ち込んだりコンプレックスに感じることもあります。自分の感覚過敏に向き合いながら、どうすれば少しでも快適に過ごせるかを自分なりに考えた生活の工夫をお伝えしたいと思います。

加藤路瑛
15618 View
監修者井上雅彦のアイコン
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 客員研究員
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。

感覚過敏、日常生活での対策

こんにちは。加藤路瑛です。15歳、高校1年生です。自分の困りごとである感覚過敏の問題を解決したいと思い13歳のときに「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏の課題解決に取り組んでいます。当事者目線、特に子どもの視点で感覚過敏について話していきたいと思います。

今回は、感覚過敏な私が日常をどう工夫して過ごしているか、包み隠さずお伝えしたいと思います。

視覚過敏の工夫

まず先にお伝えしておきますと、私は視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚といういわゆる五感の中で視覚過敏はそこまでありません。よって、眩しさ対策としての、調光グラスやサングラスを日常的に使用することはしていません。

まず、生活空間の工夫としては、部屋の明かりは、蛍光灯や白色電球ではなく、全てオレンジ色の電球色の照明を使用しています。部屋の天井のライトも色を切り替えられるタイプで、基本は電球色を選んでいますし、机の電気スタンドもオレンジ色のライトです。

以前、私が運営している感覚過敏当事者コミュニティーのメンバーと話した際に、「太陽光もつらく、カーテンを閉め、間接照明で生活している」とおっしゃる方がいました。私は照明の色を白からオレンジにすることで、視覚的には楽になりますが、本当につらい方は間接照明の暗い部屋で生活されているのだと知ることができました。
視覚的な工夫は、パソコン背景色の設定でしょうか?現在の多くのSNSは、背景色を白だけでなく、黒やダークグレーなどに設定できます。白い背景画面は視覚過敏がほとんどない私でも眩しいので黒背景を設定することが多いです。

私は現在、通信制高校に在籍しており、オンライン学習がメインのため、文房具を使用する機会はほぼありませんが、学校に通っている人の場合は、ノートの色やペンの色も工夫できるかと思います。現在は、白い紙以外に、緑や黄色などのカラーノートもありますので、白い紙が眩しい場合は使ってみてください。私はノートを使わない生活をしていますが、以前から青色のペンで文字を書くと見やすかったです。ノートでもパソコンでも白背景に黒文字はコントラストが強くて目が疲れやすいです。

調光グラスやサングラスは使用していないと伝えしましたが、時々、夜に部屋を暗くしてゲームをするときは画面が眩しいのでPCメガネを使用しています。

聴覚過敏の工夫

中学生時代は教室の騒がしさで頭痛や体調が悪くなることが多かったのですが、現在の私はノイズキャンセリング機能付きのワイヤレスイヤホンで、かなりの音を遮断しています。電車の中や周囲の音が気になる場所では、自分の好きな音楽を聞いています。

それでも、うるさくて嫌だなと思う状況のときは、ノイズキャンセリングイヤホンをつけて、さらにその上から音楽再生用のワイヤレスヘッドホンをつけて防御しています。聴覚保護具としてイヤーマフがありますが、私にはイヤーマフを装着した際の圧迫感が苦手で、普通の音楽再生用ヘッドホンを使用しています。

そのほかの工夫としては、うるさい場所に好んで出かけません。生きる上での工夫でもありますが、遊園地などのレジャーの楽しみを回避していることにもなり、聴覚過敏の対策を優先し、楽しむという部分を後回しにしています。その意味でも、感覚過敏を緩和させる方法を私自身が発見したいと考えています。
感覚過敏な高校生のリアルな日常。「周囲と同じようにできない」悩みながら見つけた感覚回避の工夫の画像
イヤーマフではなく、音楽再生用のヘッドホンを使用しています。
Upload By 加藤路瑛

嗅覚過敏の工夫

私の個人的な考えですが嗅覚過敏の課題が一番解決が難しいと感じています。ほかの感覚に関しては、対処する道具やテクノロジーで解決していけると思うのですが、嗅覚過敏に関しては時間がかかるのではないかと思います。

そんな私の嗅覚過敏対策は、マスクです。コロナ禍になる前から、私は不快なニオイから自分をガードするためにマスクをして生活していました。真夏もマスクをつけていることが多く、親にも「見ているだけで暑い」と言われていました。私は触覚も過敏ですので、マスク自体も好きではありませんが、ニオイガードが優先していました。

今は、活性炭入りで多少のニオイをガードしてくれるマスクを利用しています。

といっても、マスクでは期待するほどはニオイをガードできません。でも、嫌なニオイがしたとき、他人の目の前で鼻をつまむのは失礼な感じがしてできません。マスクをつけていると、マスクの位置を直すふりをしながら、マスクを手で覆いニオイをガードすることもできます。そういう意味でマスクは便利アイテムです。
マスク姿の著者
Upload By 加藤路瑛
私が運営している感覚過敏当事者コミュニティーでは、ニオイの防御に防毒マスクを使用して外出されている方がいらっしゃいます。本当につらい方の選択肢が、防毒マスクしかないのは大変です。何かいい対策方法を見つけたいと思っています。

私は食べ物のニオイがごちゃ混ぜになるファミリーレストランが苦手なので、私の嗅覚過敏に理解のある家族や仲間としか飲食店には入りません。以前は、友達の付き合いや、カフェで打ち合わせを指定されることもありましたが、初めて会う方とは飲食店には行かないようにしています。

味覚過敏の工夫

食べ物に関しては、食べられるものが少ないので行動範囲を狭くします。家にいれば家族が私の好みを知っているので、食べられるものしか食べなくていいのでそれほど困ることはありません。食べることは大切ですので、ここは家族の理解がとても重要な部分かと思います。いろんな種類の食べ物を無理に食べさせようとすると、味覚過敏のある人は強いストレスになりますし、残すことで叱られたり非難されることがあれば、食べること自体が恐怖になります。「食べられるものを食べられるだけ」と考えていただけたらと思います。

これは家族だけでなく、本人のマインドセットも必要だと思っています。食べられないことのコンプレックス、プレッシャーなどを強く感じていると、食べることが本当に苦痛です。私は「食べられないのは仕方がない」と割り切ることができました。

どうしても他人と食事をする場合は、事前に食べられるものが少ないことを伝えておきます。多くの場合は、私が食べられるものに合わせてくださいます。私は、ざるそば、ざるうどんは食べられるので、観光地などでは、蕎麦屋さんやうどん屋さんに付き合ってもらうことが多いです。

学校行事など、集団で食事をする状況は現在はありませんが、小学生の宿泊学習では食べられるもの、飲めるものがなくて栄養不足と脱水症状で具合が悪くなり、途中離脱した過去があります。それ以来、宿泊学習では食べられるものを持参できるように学校と相談していました。修学旅行の食事に関することは、以前、コラムを書いているので、是非ご覧ください。
脱水と栄養不足で途中離脱した宿泊学習―ー感覚過敏の僕が具合が悪くなったワケと、必要だった対策【感覚過敏な15歳社長】のタイトル画像

関連記事

脱水と栄養不足で途中離脱した宿泊学習―ー感覚過敏の僕が具合が悪くなったワケと、必要だった対策【感覚過敏な15歳社長】

今の悩みは、いつか留学をしてみたいのですが、食べられるものがあるのかが心配です。生活の工夫は、実際に挑戦して見て、試行錯誤をしながら見つけていくしかないと思っていますが、その過程では、体調が悪くなったり、気持ち悪くなったりしますので、工夫・改善を見つけることは、感覚過敏の人にとって大変な過程だなと感じています。

触覚過敏の工夫

私の目下の悩みは「履ける靴下が見つからない」ことです。小さいころから靴下の縫い目部分が本当に苦手で、いろいろな靴下を親が買ってきてはくれるのですが、どうしても受け入れられる靴下に出会えません。唯一、受け入れられた1足の靴下はもう穴が空いてきました。同じ商品にも関わらず、ロット違いのせいかのか、同じであると思えず、いまだに靴下は見つかっていないので、自分で作る道を選びました。ネットでは、海外の感覚過敏向けキッズ靴下を入手できますが、残念ながら私には合いませんでした。触覚は多様であり、自分が受け入れられるものは人によって違うことが難しいところなだと思います。
縫い目のない靴下を開発中
靴下メーカーさんの協力のもと、縫い目のない靴下を開発中です!
Upload By 加藤路瑛
靴下同様に、下着も新しいものがみつからずボロボロに破れています。肌着も自分で作ろうと挑戦中です。

衣服に関しては、

①自分に合う衣服を探しまくる
②着られる衣服があれば、販売中止の可能性を見越して多めに購入しておく
③自作する


という方法があるかと思います。

また、私は家ではできるだけ身軽でいたいので、1年中、タンクトップとパンツだけで過ごしています。けれど、冬はとても寒いです。夏もクーラーで体が冷えます。いつも「寒い」と言っています。親にも「寒いなら何か着なさい」と言われるのですが、寒いのと服が痛いのを天秤にかけると、寒くてもいいから身軽な服装でいたいと思ってしまいます。ですので、冬場の部屋はできるだけ暖かくしています。(暖房費がかかりますが…)

また、冬場の外出も、近所ならば裸足にサンダル、コートなしという状態で出かけます。いろいろと服を着るくらいなら寒い方がましなのです。なので、少しでも温かくなるようにと貼るカイロをつけています。
感覚過敏な高校生のリアルな日常。「周囲と同じようにできない」悩みながら見つけた感覚回避の工夫の画像
家の中は真冬でも薄着で過ごします
Upload By 加藤路瑛
衣服に関しても、工夫といえる状態ではありませんが、「世の中に自分の着られる服や靴下がないなら自分で作る」という覚悟を持って、今、服作りに挑戦中です。

中学生のときは、制服が重くて痛くてつらかった記憶があります。ただ、その重さが自分を守ってくれている防護服のような感覚もあって、学校では夏でも冬用のブレザーを着て登校していました。家では身軽な服装なのに、外では真逆な行動をしていましたが、今思えば、学校生活は五感へのさまざまな刺激が多すぎて、無意識ですが自分を守るために服を着る選択をしたのだと思います。

このように書くと、「感覚過敏もメンタルの問題なのでは?」と思われるかもしれません。でも、努力すれば、服が着られるようになったり、マスクがつけられるようになる訳ではないことはお伝えしたいです。

まとめ

今回は、私の感覚過敏の対処法について書かせていただきました。対処や工夫というより、感覚刺激を避ける行動の工夫をしているかもしれません。

自分の感覚過敏を把握していない状態でなんとなく不快な状況を回避してしまうのと、自分の感覚過敏を把握し、どのようにすれば体調不良を起こさないか考えることは同じ感覚回避でも違います。


まずは、自分にはどんな感覚の過敏さがあり、どのような状況や環境でその過敏さによって体調の変化が起こるのかを把握できれば、それを避ける工夫をしていけると思います。

ただし、感覚刺激がある状況を避けるということは、多くの人が楽しんだり、チャンスだととらえるものを諦める行為でもあります。感覚過敏の対策や工夫をしながらも、自分が楽しいと思えることを諦めることなく挑戦できる社会になればいいと思っています。
(監修者・井上先生より)
加藤さんが書いているように、自分の感覚の苦手さがどの感覚から起こるのか、感覚過敏がどのような状況で厳しくなるのかを本人が理解したうえでご自身の過敏さに付き合うことが大事だと思います。例えば体調や睡眠不足なども関係することもあります。そうしたことを知ったうえで対策をとることで、ご自身の感覚過敏とも客観的に向き合うことができるようになると思います。

加藤さんが、ご自身の感覚過敏に向き合うだけでなく、さまざまな情報分析や製品開発等、感覚過敏に対しての工夫をし、留学などを含めさまざまな可能性を示してくださることは、同じように困難さを持つ方々に対して勇気を与えてくれることになると思います。
聴覚過敏の原因と、具体的な改善方法は?のタイトル画像

関連記事

聴覚過敏の原因と、具体的な改善方法は?

感覚の過敏さ(感覚過敏)、鈍感さ(感覚鈍麻)とは?発達障害との関係、子どもの症状、対処方法まとめ【専門家監修】のタイトル画像

関連記事

感覚の過敏さ(感覚過敏)、鈍感さ(感覚鈍麻)とは?発達障害との関係、子どもの症状、対処方法まとめ【専門家監修】

バナー画像
当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。