4歳で受けた発達検査。児童心理司の「ある言葉」にモヤモヤが止まらなくて…

ライター:まゆん
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太郎は小学6年生。自閉スペクトラム症があり、特別支援学級(情緒クラス)に在籍しています。今回は太郎が4歳のころ、児童心理司さんの言葉にモヤモヤした話を書きます。

監修者鈴木直光のアイコン
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

4歳で初めての発達検査を受ける

太郎が年少のころ、発達相談所に発達検査を受けに行った。

案内されたのは6畳程の狭い個室。そこには小さなテーブルと椅子が2つ、子どもが遊ぶようなブロックや積み木が部屋の隅っこに置かれていた。
発達検査を行う部屋に入り、ブロックや積み木を見つけて駆け寄る太郎
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発達検査を行うのは児童心理司さんだが、まだ部屋にはいなかった。太郎は部屋に案内されると、部屋にある積み木やブロックで遊び始めた。

ちょうど遊び始めたころに、児童心理司さんが部屋に入ってきた。私が太郎に「おもちゃを片づけよう」と声をかけると、太郎はすぐに片づけに切り替えることができた。
発達検査を行う児童心理司さんが部屋に入ってきた
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机を挟んで対面で太郎と児童心理司さんは座った。私と同席していた太郎の担任の保育士さんは、部屋の隅で座っていた。いよいよ検査が始まる。児童心理司さんが「こんにちは」と挨拶をすると、太郎は「こんにちは」と挨拶をかわせていた。

検査の初めは静かに椅子に座っていた太郎だが、質問を重ねて行くうちにガタガタと椅子を揺らしたり身体を揺らしたり、落ち着きがなくなっていった。
質問を重ねて行くうちにガタガタと椅子を揺らしたり身体を揺らしたり、落ち着きがなくなっていった
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児童心理司さんの質問も頭に入らないのか、机に突っ伏してしまった。
児童心理司さんの質問も頭に入らないのか、机に突っ伏してしまった
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なかなか問題が進まなくなったとき、児童心理司さんから次の発言があった。

「太郎くん、真面目にしてくれるかな?今日はね、太郎くんのお母さんはあなたのために、わざわざ仕事を休んでここに来てくれてるの、無駄にしないでほしい!」
「今日はね、太郎くんのお母さんはあなたのために、わざわざ仕事を休んでここに来てくれてるの、無駄にしないでほしい!」と言われる
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・・・・・・・

ちょっと待て…

私の心は凍りついた。
児童心理司さんの言葉に、私の心は凍りついた
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私が思ってもいないような気持ちを代弁しないでくれないかな?いつ私が「わざわざ休みとりました」なんて、「わざわざ」なんて言ったかな?私は怒りをおさえながら、太郎と児童心理司さんのやり取りを見ていた。

強めの口調で注意された太郎は、その空気を感じることができたのか、状態を起こし渋々と質問に答え始め、最後まで受けることができた。そんな児童心理司さんとのやり取りをみながら、私の心はまださっきの「わざわざ」にモヤモヤとしていた。(切り替えが苦手なのは私の方なのかも……)

検査を終えると児童心理司さんは採点と評価をするため、一旦退室した。太郎は再びブロックで遊び始めた。私はまだモヤモヤとしていた。(やはり切り替えが苦手なのは私)

そして評価のため、児童心理司さんが再び入室。そこでの評価の中に「注意すると我慢することができ、指示の理解もあった」というのがあった。私は、さっきの「わざわざ」は、わざと注意して太郎の行動を試していたものなのか?と思いもしたが、いやいやそれにしても、とモヤモヤしていた。
さっきの「わざわざ」は、わざと注意して太郎の行動を試していたものなのか?と思いもしたがモヤモヤは続いた
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あとがき

私は太郎と一緒に、発達検査や療育リハビリへ何度も行っています。対応してくださるスタッフの方もさまざまで、強い口調で頭ごなしに注意されることもありました。今回のコラムで書いた発達検査では太郎は渋々と質問に答えることができましたが、ほかの場面では涙を流しながらすることも多くありました。先生から強い口調で注意をされ涙を流す場面を、私はどうしていいのか、これが正しい指導なのかと思いながら歯を食いしばって見ることもありました。

発達障害についての知識が増えた今だから言えるのですが、あまやかすとは別で、注意の仕方、気づかせ方の問題だと思うのです。注意の仕方一つで相手の気づき方も変わり、人の動きは変化すると思います。頭ごなしに強い口調で注意しても相手に不快な思いしか与えられず、動けるものも動けなくなると私は考えています。これは発達障害に限らず誰にとっても、どこの社会でもそうだと思います。人を育てる、伸ばす、ということと、圧をかけることとは別だと思ってます。

発達障害のある子どもはどうしても指示が入りにくく、相手の思い通りにいかないので神経を逆なでるのかもしれませんが、そういう場面を保護者が見るのはとてもつらいです。もしも同じ思いをされている方がいらっしゃるのであれば、周りにヘルプを出していただきたいと思っています。

執筆/まゆん
(監修:鈴木先生)
4歳の太郎君は、お母さんの指示に従いおもちゃを片づけて椅子に座り、きちんと挨拶ができているので、いい子です。ただ、ガタガタと椅子を揺らして落ち着きがないのは非移動性多動がありそうですね。それでも強めの口調で注意されながらも最後まで質問に答えた太郎君は偉いと思います。心理担当者は思い通りいかないと強い口調になってしまう側面がおありかなと思いきや、「注意すると我慢することができ…」との記載があったので実は試していたのかと私も感じてしまいました。そうならば、あとで試していたという説明が親に対してあるはずです。プロなら強い口調で言ってもそのあとの質問に答えられたならば「よく頑張ったね。さっきは強く言ってごめんね」というフォローの一言があって然りだと思います。発達障害(神経発達症)のあるお子さん対する接し方の基本は、「優しく・丁寧に・具体的に・肯定文で」と日ごろ外来で親御さんにお話ししています。
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